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334.ハイルーン町の見学(途中脱落者大量発生)✔
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温泉に入り、ゆっくりと長旅の疲れを癒してもらった。と言いたいところだが、人数が多くここに泊まれるスペースがないんだ。だから温泉から上がると急いで領地へと向かっている。
エグザイルエルフ達が経験したことのないであろうスピードが出ている。最初はみんな驚いていたが、段々と静かになり始めた。心地よい振動は眠くなるからな、振り返ってみると、疲れが出ているのだろう、うつらうつらとしている。
魔蟻製のリーフスプリング、ショックアブソーバー、車輪、ベアリング、丈夫な馬車、オークから抽出したグリス、大沼ガエルの粘液と黒スライムから造ったタイヤ、ローマンコンクリートで作られた凹凸のない道、そしてレックスの子供達の持久力にスピード、どれか一つ欠けても不可能なミッションだった。
約三百キロメートルを六時間程で走ったことになる。平均時速五十キロメートルでこれは普通の馬車の三倍を超える。
屋敷の裏手にある練習場に到着したのは夜暗くなってからのことだった。流石にレックスの子供も息が荒い、魔力水を造り出すとペロペロと舌を使って飲んでいる。体が大きいだけあって飲む量も多い。
ミトだけ変なスイッチが入ったのか、「地上でこんなに早い乗り物があるのか」と、やけにハイテンションのままだった。ミルトは普通だが、エグザイエルフの中の数人とガンツさん達は乗り物酔いを起こしたようで、少し顔色が悪い。直ぐに癒しの魔法を行使しておいた。
もう少し早く到着していれば、サーシャが喜んで癒しの魔法をかけて回っていたんじゃないかな。
遅くなってしまったが、夜食を準備しよう。時間のかかるハンバーグはできない、お肉を食べやすいスティック状に切り分けて、自分達で焼いてもらう。お肉には塩コショウしかしていないので、いつものように調味料セットからお好みで食べてもらおう。
エグザイルエルフもドワーフも美味しいと言って、結構な本数を食べている。美味しいはずだよ、お肉は上位種のオーク肉を熟成させているからね。食べ過ぎて、あとで胃がもたれたりしなければいいけど、少し心配になる。
夜なので静かに食べるようにお願いしている。ガンツさん達はお酒を飲んでいるが、ワインでは悪酔いをすることはないみたいだ。だけど、いつグラッパを飲ませてくれるのかと何度も聞いてくるんだ。あまりしつこいと飲ませませんよと少し強めに言ったら、黙れば飲めるのだなと静かになった。黙ってはくれたが、目で催促してくるのも止めてほしいな。
レックスの子供たちにも、また肉を焼いて食べさせお礼を言っておいた。中濃ソースがマイブームなようだ。また、送る時にお願いすると伝えて家に帰ってもらった。
以前はレックスに通訳してもらう必要があったんだけど、片言だが、直接念話できるようになっていたのには驚いた。魔狼の成長は早く、パートナーを見つけてくるのも分かる、いつの間にか一人前の大人になっていたんだな。
エグザイルエルフとドワーフは、地下のシェルターに泊まってもらう。避難用にと造ったんだけど、大勢の宿泊施設として利用することが多く、こういう利用方法ならいつでも大歓迎だ。
最初は五百人の人口の村だったが、二千人で町になり、ロプト村からハイルーン町に昇格した。急激に人口が増えているそうだが一年近く確認していないからな、もしかすると三千人を超えているかもしれない、後で確認しておこう。
シェルターは余裕を持って造ったつもりだったが、人口が増えており、収容できるのは千人が限界なので、あと二つは必要だ。新しく開拓している場所に造りたいが、マシューさんの計画が狂うといけないので相談しないとね。
おっと、話が完全に脱線してしまった。明日からの予定だけど、魔大陸組に町を案内して回るつもりでいるんだ。後回しにするとガンツさんが暴れそうだから、最初に農業法人に行ってブランデーやグラッパの蒸留施設を見学しよう。
乳製品や野菜にブドウ畑、砂糖の精製工場も見せた方がいいだろうな、魔大陸でも塩と砂糖は高価だったからね。
昨日、製塩所を見学したときに、ミトとミルトがかなり興味を持っていたから、きっと砂糖も興味があるはずだ。魔大陸でも甜菜は育てられそうだから、上手く栽培できれば、儲かるんじゃないかな。
翌日になり、一番に農業法人に案内した。蒸留施設の見学から始めたが、ガンツさん達ドワーフが飲ませてほしいと言い出した。少しだけですよと、了解を取って、造ってあまり期日の経っていないグラッパを試飲してもらった。
「これはキツイ! 美味しいのだが、まだ少し味が若いな」
ガンツさんが顔をしかめた。そうだろうアルコール度数が五十パーセントとかだから、喉が焼けるように痛いのではないだろうか。
「グラッパはフレッシュさも味わうお酒なんです! これを寝かせるとまた違った美味しさになるんですよ!」
そこから、一年前のモノや、ブランデー、ワインも試飲してもらったが、美味しいと、もっと飲めないかしか言わなくなってしまった。
他の見学に行こうとしたら、ガンツさん達は残ると言い出して早々に脱落してしまった。エグザイルエルフもお酒好きなので、かなり多くの脱落者を作り出してしまった。
最期にするべきだったかな、だけどそれではガンツさんが暴れているだろうし難しいな。
他の見学では脱落者は出ることなく、無事に回りきることが出来たんだ。蒸留施設に戻るとみんな真剣にメモを取っていた。
俺はてっきり飲んだくれになっているのだろうと勝手な想像をしていたが、違ってしまった。心の中で謝っておく、ごめんなさい。
今日もシェルターに泊まってもらうことになる。料理は農業法人の皆さんにチーズやバターなども使ってほしいとお願いしたので、色々な料理が出てくるんじゃないかな。
料理だが、ホワイトソースのパスタや、ピザにオムライス、オムレツ、チーズインハンバーグ、サラダや、オークの味噌汁まで出てきたのには感動した。
デザートは定番のプリンだったけど、生クリームが乗っていてすごく美味しかった。エグザイルエルフもドワーフも虜になっていたからね。
いつの間にか、かなり料理が進化していた。俺が作るより種類が多かったし、どれも美味しくて好評だったからね。
エグザイルエルフ達が経験したことのないであろうスピードが出ている。最初はみんな驚いていたが、段々と静かになり始めた。心地よい振動は眠くなるからな、振り返ってみると、疲れが出ているのだろう、うつらうつらとしている。
魔蟻製のリーフスプリング、ショックアブソーバー、車輪、ベアリング、丈夫な馬車、オークから抽出したグリス、大沼ガエルの粘液と黒スライムから造ったタイヤ、ローマンコンクリートで作られた凹凸のない道、そしてレックスの子供達の持久力にスピード、どれか一つ欠けても不可能なミッションだった。
約三百キロメートルを六時間程で走ったことになる。平均時速五十キロメートルでこれは普通の馬車の三倍を超える。
屋敷の裏手にある練習場に到着したのは夜暗くなってからのことだった。流石にレックスの子供も息が荒い、魔力水を造り出すとペロペロと舌を使って飲んでいる。体が大きいだけあって飲む量も多い。
ミトだけ変なスイッチが入ったのか、「地上でこんなに早い乗り物があるのか」と、やけにハイテンションのままだった。ミルトは普通だが、エグザイエルフの中の数人とガンツさん達は乗り物酔いを起こしたようで、少し顔色が悪い。直ぐに癒しの魔法を行使しておいた。
もう少し早く到着していれば、サーシャが喜んで癒しの魔法をかけて回っていたんじゃないかな。
遅くなってしまったが、夜食を準備しよう。時間のかかるハンバーグはできない、お肉を食べやすいスティック状に切り分けて、自分達で焼いてもらう。お肉には塩コショウしかしていないので、いつものように調味料セットからお好みで食べてもらおう。
エグザイルエルフもドワーフも美味しいと言って、結構な本数を食べている。美味しいはずだよ、お肉は上位種のオーク肉を熟成させているからね。食べ過ぎて、あとで胃がもたれたりしなければいいけど、少し心配になる。
夜なので静かに食べるようにお願いしている。ガンツさん達はお酒を飲んでいるが、ワインでは悪酔いをすることはないみたいだ。だけど、いつグラッパを飲ませてくれるのかと何度も聞いてくるんだ。あまりしつこいと飲ませませんよと少し強めに言ったら、黙れば飲めるのだなと静かになった。黙ってはくれたが、目で催促してくるのも止めてほしいな。
レックスの子供たちにも、また肉を焼いて食べさせお礼を言っておいた。中濃ソースがマイブームなようだ。また、送る時にお願いすると伝えて家に帰ってもらった。
以前はレックスに通訳してもらう必要があったんだけど、片言だが、直接念話できるようになっていたのには驚いた。魔狼の成長は早く、パートナーを見つけてくるのも分かる、いつの間にか一人前の大人になっていたんだな。
エグザイルエルフとドワーフは、地下のシェルターに泊まってもらう。避難用にと造ったんだけど、大勢の宿泊施設として利用することが多く、こういう利用方法ならいつでも大歓迎だ。
最初は五百人の人口の村だったが、二千人で町になり、ロプト村からハイルーン町に昇格した。急激に人口が増えているそうだが一年近く確認していないからな、もしかすると三千人を超えているかもしれない、後で確認しておこう。
シェルターは余裕を持って造ったつもりだったが、人口が増えており、収容できるのは千人が限界なので、あと二つは必要だ。新しく開拓している場所に造りたいが、マシューさんの計画が狂うといけないので相談しないとね。
おっと、話が完全に脱線してしまった。明日からの予定だけど、魔大陸組に町を案内して回るつもりでいるんだ。後回しにするとガンツさんが暴れそうだから、最初に農業法人に行ってブランデーやグラッパの蒸留施設を見学しよう。
乳製品や野菜にブドウ畑、砂糖の精製工場も見せた方がいいだろうな、魔大陸でも塩と砂糖は高価だったからね。
昨日、製塩所を見学したときに、ミトとミルトがかなり興味を持っていたから、きっと砂糖も興味があるはずだ。魔大陸でも甜菜は育てられそうだから、上手く栽培できれば、儲かるんじゃないかな。
翌日になり、一番に農業法人に案内した。蒸留施設の見学から始めたが、ガンツさん達ドワーフが飲ませてほしいと言い出した。少しだけですよと、了解を取って、造ってあまり期日の経っていないグラッパを試飲してもらった。
「これはキツイ! 美味しいのだが、まだ少し味が若いな」
ガンツさんが顔をしかめた。そうだろうアルコール度数が五十パーセントとかだから、喉が焼けるように痛いのではないだろうか。
「グラッパはフレッシュさも味わうお酒なんです! これを寝かせるとまた違った美味しさになるんですよ!」
そこから、一年前のモノや、ブランデー、ワインも試飲してもらったが、美味しいと、もっと飲めないかしか言わなくなってしまった。
他の見学に行こうとしたら、ガンツさん達は残ると言い出して早々に脱落してしまった。エグザイルエルフもお酒好きなので、かなり多くの脱落者を作り出してしまった。
最期にするべきだったかな、だけどそれではガンツさんが暴れているだろうし難しいな。
他の見学では脱落者は出ることなく、無事に回りきることが出来たんだ。蒸留施設に戻るとみんな真剣にメモを取っていた。
俺はてっきり飲んだくれになっているのだろうと勝手な想像をしていたが、違ってしまった。心の中で謝っておく、ごめんなさい。
今日もシェルターに泊まってもらうことになる。料理は農業法人の皆さんにチーズやバターなども使ってほしいとお願いしたので、色々な料理が出てくるんじゃないかな。
料理だが、ホワイトソースのパスタや、ピザにオムライス、オムレツ、チーズインハンバーグ、サラダや、オークの味噌汁まで出てきたのには感動した。
デザートは定番のプリンだったけど、生クリームが乗っていてすごく美味しかった。エグザイルエルフもドワーフも虜になっていたからね。
いつの間にか、かなり料理が進化していた。俺が作るより種類が多かったし、どれも美味しくて好評だったからね。
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