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294. アルフレッド似の精霊(ついて来ちゃったんです!)✔

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 やはり、使徒が言っていたとおり、施設の書類は全て灰になり何も残っていなかった。振り絞るように語ってくれた重要な情報は絶対に無駄にはしない。

 全ての通路と部屋は土の精霊が埋めてくれる。魔大陸にあるという邪神の施設だが、精霊が調べてくれることになった。

 ママ龍さんの洞窟に戻って来ると、パパ龍さんと一緒に出迎えてくれた。
    
〈無事に帰りました。チビとベビも活躍してくれたんですよ!〉

〈チビは活躍したダォ!〉〈ベビもいっぱい活躍したノ!〉

 いつものようにふたりの尻尾が嬉しそうにピッピッと左右に振られている。

〈チビもベビも活躍したのね! ママも嬉しいわ!〉

 やっぱり親子だよな、ママ龍さんの尻尾もピッピッと左右に振られているがそっくりだ。ママ龍さんの視線がチビとベビから、俺の後ろに移ると左右に往復している。そうなりますよね。

〈連れて来ちゃったの?〉

〈連れて来たわけではなくて、離れるのを嫌がってついて来ちゃったんです!〉

〈あらあら、大変そうね! 神聖力も溜まったようで安心したわ。あなたの神聖力は精霊にはご褒美みたいなものだからそうなるのも無理ないわ!〉

 俺の後ろには、今回共闘した風の中位精霊と火の中位精霊が、風や火を使って人の形になっている。

 ママ龍さんと話を始めた途端に土の精霊は洞窟の土を使って、一メートル程の土人形になってしまった。みんな、人は俺しか見たことが無いのだろう、俺の顔を真似ているようだ。

 チビもベビも喜んで精霊の周りをクルクルと周り出した。

〈ベビも人間になるノ!〉〈チビもなるダォ!〉

 二人まで小さくなり、段々と人の形に変わっていく。俺は袋からふたりの服を出し渡す準備をする。変身が終わるまで五分程と短く、二人のかわいい子供の姿になった。

 変身になれたようで早いし安定している。安心してみていられるな。魔力鑑定眼で確認したところ、ふたりの変身の魔道具から神聖力に近い光が見えるようになっている。

 なるほどな、最初の頃はあんな力は見えなかったから、魔道具にも神聖力のようなものが溜まったんだろうな。そのお陰で、早くて安定した変身が可能になったんだな。

〈あらあら! 土の精霊も連れて来ちゃったのね! ふたりとも上手く人間に変身できるようになって、ママ嬉しいわ!〉 

 だから、精霊が勝手について来たんですって。思いはしたが反論するのは止めておいた。

 チビとベビは精霊と遊びだしたが、服が燃えないか心配になる。

〈服を燃やさないでね!〉

〈大丈夫ダォ!〉〈任せてなノ!〉

 実は洞窟の中に木が無いからいないだけで、外に木の中位精霊もいるんだよね。みんな、もう少しで上位精霊になるらしい。

 最上位精霊が面白がっていたんだが、上位精霊になると名前を付けて契約もできるそうだ。と言うか、契約してくれとお願いされたんだ。

 もう一つお願いされたことがある。迷いの森には湖があり、水の精霊ウンディーネも会いたがっているから、行ってやってくれないかと言われた。俺が会いに行かないと機嫌を損ねて面倒なことになるみたいなんだ。

〈あらあら、そんなことになっているのね!〉
 
「え! ママ龍さんに念話してないよ!」

 思わず声が出てしまった。もしかして、チビとベビと繋がっている魔道具のせいか。
 
〈当たりよ! 連れてきていないと言おうとして止めたのも分かっているわ!〉

〈流石は賢者アールス・ハインドではなかった。今はアルフレッドだな!〉

 パパ龍さんの言っていることが正しければ、俺の前々世が『賢者アールス・ハインド』になる。

〈あなたったら、あれほど、ダメだと言ったでしょ!〉

〈すまんすまん、つい、ポロっとだな!……おっと、エリクシアの材料を砕いている途中だった。あー忙しい忙しい!〉

 パパ龍さんが無理やりエリクシアの話題に変えて洞窟の奥に逃亡した。俺の前々世は賢者アールス・ハインドの可能性が高くなったが、残念なことに賢者だった記憶が残っていない。思い出せるといいんだけどな。
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