296 / 415
連載
294. アルフレッド似の精霊(ついて来ちゃったんです!)✔
しおりを挟む
やはり、使徒が言っていたとおり、施設の書類は全て灰になり何も残っていなかった。振り絞るように語ってくれた重要な情報は絶対に無駄にはしない。
全ての通路と部屋は土の精霊が埋めてくれる。魔大陸にあるという邪神の施設だが、精霊が調べてくれることになった。
ママ龍さんの洞窟に戻って来ると、パパ龍さんと一緒に出迎えてくれた。
〈無事に帰りました。チビとベビも活躍してくれたんですよ!〉
〈チビは活躍したダォ!〉〈ベビもいっぱい活躍したノ!〉
いつものようにふたりの尻尾が嬉しそうにピッピッと左右に振られている。
〈チビもベビも活躍したのね! ママも嬉しいわ!〉
やっぱり親子だよな、ママ龍さんの尻尾もピッピッと左右に振られているがそっくりだ。ママ龍さんの視線がチビとベビから、俺の後ろに移ると左右に往復している。そうなりますよね。
〈連れて来ちゃったの?〉
〈連れて来たわけではなくて、離れるのを嫌がってついて来ちゃったんです!〉
〈あらあら、大変そうね! 神聖力も溜まったようで安心したわ。あなたの神聖力は精霊にはご褒美みたいなものだからそうなるのも無理ないわ!〉
俺の後ろには、今回共闘した風の中位精霊と火の中位精霊が、風や火を使って人の形になっている。
ママ龍さんと話を始めた途端に土の精霊は洞窟の土を使って、一メートル程の土人形になってしまった。みんな、人は俺しか見たことが無いのだろう、俺の顔を真似ているようだ。
チビもベビも喜んで精霊の周りをクルクルと周り出した。
〈ベビも人間になるノ!〉〈チビもなるダォ!〉
二人まで小さくなり、段々と人の形に変わっていく。俺は袋からふたりの服を出し渡す準備をする。変身が終わるまで五分程と短く、二人のかわいい子供の姿になった。
変身になれたようで早いし安定している。安心してみていられるな。魔力鑑定眼で確認したところ、ふたりの変身の魔道具から神聖力に近い光が見えるようになっている。
なるほどな、最初の頃はあんな力は見えなかったから、魔道具にも神聖力のようなものが溜まったんだろうな。そのお陰で、早くて安定した変身が可能になったんだな。
〈あらあら! 土の精霊も連れて来ちゃったのね! ふたりとも上手く人間に変身できるようになって、ママ嬉しいわ!〉
だから、精霊が勝手について来たんですって。思いはしたが反論するのは止めておいた。
チビとベビは精霊と遊びだしたが、服が燃えないか心配になる。
〈服を燃やさないでね!〉
〈大丈夫ダォ!〉〈任せてなノ!〉
実は洞窟の中に木が無いからいないだけで、外に木の中位精霊もいるんだよね。みんな、もう少しで上位精霊になるらしい。
最上位精霊が面白がっていたんだが、上位精霊になると名前を付けて契約もできるそうだ。と言うか、契約してくれとお願いされたんだ。
もう一つお願いされたことがある。迷いの森には湖があり、水の精霊ウンディーネも会いたがっているから、行ってやってくれないかと言われた。俺が会いに行かないと機嫌を損ねて面倒なことになるみたいなんだ。
〈あらあら、そんなことになっているのね!〉
「え! ママ龍さんに念話してないよ!」
思わず声が出てしまった。もしかして、チビとベビと繋がっている魔道具のせいか。
〈当たりよ! 連れてきていないと言おうとして止めたのも分かっているわ!〉
〈流石は賢者アールス・ハインドではなかった。今はアルフレッドだな!〉
パパ龍さんの言っていることが正しければ、俺の前々世が『賢者アールス・ハインド』になる。
〈あなたったら、あれほど、ダメだと言ったでしょ!〉
〈すまんすまん、つい、ポロっとだな!……おっと、エリクシアの材料を砕いている途中だった。あー忙しい忙しい!〉
パパ龍さんが無理やりエリクシアの話題に変えて洞窟の奥に逃亡した。俺の前々世は賢者アールス・ハインドの可能性が高くなったが、残念なことに賢者だった記憶が残っていない。思い出せるといいんだけどな。
全ての通路と部屋は土の精霊が埋めてくれる。魔大陸にあるという邪神の施設だが、精霊が調べてくれることになった。
ママ龍さんの洞窟に戻って来ると、パパ龍さんと一緒に出迎えてくれた。
〈無事に帰りました。チビとベビも活躍してくれたんですよ!〉
〈チビは活躍したダォ!〉〈ベビもいっぱい活躍したノ!〉
いつものようにふたりの尻尾が嬉しそうにピッピッと左右に振られている。
〈チビもベビも活躍したのね! ママも嬉しいわ!〉
やっぱり親子だよな、ママ龍さんの尻尾もピッピッと左右に振られているがそっくりだ。ママ龍さんの視線がチビとベビから、俺の後ろに移ると左右に往復している。そうなりますよね。
〈連れて来ちゃったの?〉
〈連れて来たわけではなくて、離れるのを嫌がってついて来ちゃったんです!〉
〈あらあら、大変そうね! 神聖力も溜まったようで安心したわ。あなたの神聖力は精霊にはご褒美みたいなものだからそうなるのも無理ないわ!〉
俺の後ろには、今回共闘した風の中位精霊と火の中位精霊が、風や火を使って人の形になっている。
ママ龍さんと話を始めた途端に土の精霊は洞窟の土を使って、一メートル程の土人形になってしまった。みんな、人は俺しか見たことが無いのだろう、俺の顔を真似ているようだ。
チビもベビも喜んで精霊の周りをクルクルと周り出した。
〈ベビも人間になるノ!〉〈チビもなるダォ!〉
二人まで小さくなり、段々と人の形に変わっていく。俺は袋からふたりの服を出し渡す準備をする。変身が終わるまで五分程と短く、二人のかわいい子供の姿になった。
変身になれたようで早いし安定している。安心してみていられるな。魔力鑑定眼で確認したところ、ふたりの変身の魔道具から神聖力に近い光が見えるようになっている。
なるほどな、最初の頃はあんな力は見えなかったから、魔道具にも神聖力のようなものが溜まったんだろうな。そのお陰で、早くて安定した変身が可能になったんだな。
〈あらあら! 土の精霊も連れて来ちゃったのね! ふたりとも上手く人間に変身できるようになって、ママ嬉しいわ!〉
だから、精霊が勝手について来たんですって。思いはしたが反論するのは止めておいた。
チビとベビは精霊と遊びだしたが、服が燃えないか心配になる。
〈服を燃やさないでね!〉
〈大丈夫ダォ!〉〈任せてなノ!〉
実は洞窟の中に木が無いからいないだけで、外に木の中位精霊もいるんだよね。みんな、もう少しで上位精霊になるらしい。
最上位精霊が面白がっていたんだが、上位精霊になると名前を付けて契約もできるそうだ。と言うか、契約してくれとお願いされたんだ。
もう一つお願いされたことがある。迷いの森には湖があり、水の精霊ウンディーネも会いたがっているから、行ってやってくれないかと言われた。俺が会いに行かないと機嫌を損ねて面倒なことになるみたいなんだ。
〈あらあら、そんなことになっているのね!〉
「え! ママ龍さんに念話してないよ!」
思わず声が出てしまった。もしかして、チビとベビと繋がっている魔道具のせいか。
〈当たりよ! 連れてきていないと言おうとして止めたのも分かっているわ!〉
〈流石は賢者アールス・ハインドではなかった。今はアルフレッドだな!〉
パパ龍さんの言っていることが正しければ、俺の前々世が『賢者アールス・ハインド』になる。
〈あなたったら、あれほど、ダメだと言ったでしょ!〉
〈すまんすまん、つい、ポロっとだな!……おっと、エリクシアの材料を砕いている途中だった。あー忙しい忙しい!〉
パパ龍さんが無理やりエリクシアの話題に変えて洞窟の奥に逃亡した。俺の前々世は賢者アールス・ハインドの可能性が高くなったが、残念なことに賢者だった記憶が残っていない。思い出せるといいんだけどな。
1
お気に入りに追加
7,590
あなたにおすすめの小説
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアーリー
不慮な事故で死んでしまった僕は転生することになりました
今度は幸せになってほしいという事でチートな能力を神様から授った
まさかの転生という事でチートを駆使して暮らしていきたいと思います
ーーーー
間違い召喚3巻発売記念として投稿いたします
アーリーは間違い召喚と同じ時期に生まれた作品です
読んでいただけると嬉しいです
23話で一時終了となります
転生したので好きに生きよう!
ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。
不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。
奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。
※見切り発車感が凄い。
※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。
結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください
シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。
国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。
溺愛する女性がいるとの噂も!
それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。
それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから!
そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー
最後まで書きあがっていますので、随時更新します。
表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。
明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。