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293.3 邪神の使徒4(異形のモノ)✔
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近くに転がっていた使徒の三人を取り込むと、ベコベコと形を変え、三倍から四倍にまで大きくなっている。
肉の塊にしか見えず、攻撃もしてこない。今なら簡単に討伐できそうだ。しかし、強力な炎の魔法を使うと、精霊も傷つけてしまうだろう。
取り込んだ全ての魔石を除去すれば、元の姿に戻せ、囚われている精霊を解放できるのではないだろうか?
ベビとチビが風の刃を操り結界を攻撃している。取り込んだ精霊の力なのか相殺されているようだ。
〈アルママ、精霊が悲しんでいるダォ!〉〈助けてあげたいノ!〉
火は使えないし、風も効果が見えない! 土ならどうだろうか?
肉の塊から顔と腕や脚が現れ、キマイラやコカドリアスとも違う、見たことのない異形のモノに変わっていく。
取り込んだ三人を合わせた顔が四つ、手足の合計が十六本だ。かなり醜い怪物が目の前にいる。
怪物はウインドスラッシュを飛ばしてくる。ファイヤーボールも飛んで来た。魔法が発射される一瞬、結界が解除される。
解除された瞬間に精霊が助けを求めてくる。魔石に閉じ込められているようで、破壊できれば逃げ出せるみたいだ。
怪物の動きは遅くどう見ても失敗作にしか見えない。もしかすると余分なモノを取り込んだせいで、想定外の事が起きているのかもしれない。
体の表面を覆っている結界は、形を変えるタイプのため、物理的な衝撃は伝えることができた。
魔力は相殺してくるが、衝撃はそうはいかないはずだ。
土の精霊に頼んで地面に穴を掘ってもらった。風の精霊が怪物をどんどんと穴に押していく。抵抗していたがパワーが違い過ぎる。穴に綺麗に落とされ身動きがとれなくなった。
穴の上も塞いでもらう。どんどんと締め付けて圧をかける。穴の中で怪物が押し潰されるように小さくなっていく。真っ暗ではあるが土の精霊がモノクロの映像を見せてくれている。
ビキビキと音がし、悲鳴が聞こえてきた。外圧に何かが潰れそうになっているのだろう。
更に圧力を加えてもらう。
ビキビキ、ビシ!
結界が壊れたようだ。更に圧力を加えると、ビシ! ビシ! ビシ! と立て続けに音が聞こえた。
囚われていた精霊が逃げ出せたと言ってきた。風も火も土の精霊も無事で良かった。
ビシ! と、小さな音が聞こえた。飲み込んだ魔石が砕けたのかもしれない。
「助けて……解放して……」
怪物から聞こえた気がした。土の精霊にお願いして蓋を外してもらう。ボコボコと形を変える魔物が見える。流石にこれだけ混ざり合うと元には戻れないのかもしれないな。
「助けて……」
表面のひとつの顔が助けを求めている。魔力鑑定眼を発動させると、肉の塊の中に禍々しい魔力の塊がいくつも見える。きっと飲み込んだ魔石だろう。あれを壊せれば、元の姿に戻せるかもしれない。
土魔法で細くて硬い棒手裏剣を作り出す。ピンポイントに魔石を狙い投擲する。硬いな。
何度も同じ場所を狙い続けると、ついに魔石はピシッと音を立てて亀裂が入った。
ひとつずつ同じように魔石を狙い続けて破壊する。ついに最後の魔石を破壊することに成功した。段々と元の体を取り戻し始めた。
四人にはなれたが、元の姿には戻れないようで苦しそうにしている。
俺は、四名に癒しの魔法を行使するが、痛みを和らげる程度にしかならない。
ひとりの使徒が口を開いた。
「この体では長くはもたないだろう。右胸に隷属の魔石が埋め込まれており、逆らうことができないんだ。この事が言えるという事は隷属からやっと解放されたのかもしれない。解放してくれてありがとう!」
そう言い残すと息を引き取ってしまった。
また、ひとり口を開く。
「解放してくれてありがとう。異神国パズズに召喚され、落ち人として隷属されていたんだ。やっと自由になれる……」
何かしゃべろうとしていたが、静かに息を引き取ってしまった。
ひとりは口を開くことなく、既に亡くなっていた。
最期のひとりだが、俺と会話をしていたやつみたいだ。
肉の塊にしか見えず、攻撃もしてこない。今なら簡単に討伐できそうだ。しかし、強力な炎の魔法を使うと、精霊も傷つけてしまうだろう。
取り込んだ全ての魔石を除去すれば、元の姿に戻せ、囚われている精霊を解放できるのではないだろうか?
ベビとチビが風の刃を操り結界を攻撃している。取り込んだ精霊の力なのか相殺されているようだ。
〈アルママ、精霊が悲しんでいるダォ!〉〈助けてあげたいノ!〉
火は使えないし、風も効果が見えない! 土ならどうだろうか?
肉の塊から顔と腕や脚が現れ、キマイラやコカドリアスとも違う、見たことのない異形のモノに変わっていく。
取り込んだ三人を合わせた顔が四つ、手足の合計が十六本だ。かなり醜い怪物が目の前にいる。
怪物はウインドスラッシュを飛ばしてくる。ファイヤーボールも飛んで来た。魔法が発射される一瞬、結界が解除される。
解除された瞬間に精霊が助けを求めてくる。魔石に閉じ込められているようで、破壊できれば逃げ出せるみたいだ。
怪物の動きは遅くどう見ても失敗作にしか見えない。もしかすると余分なモノを取り込んだせいで、想定外の事が起きているのかもしれない。
体の表面を覆っている結界は、形を変えるタイプのため、物理的な衝撃は伝えることができた。
魔力は相殺してくるが、衝撃はそうはいかないはずだ。
土の精霊に頼んで地面に穴を掘ってもらった。風の精霊が怪物をどんどんと穴に押していく。抵抗していたがパワーが違い過ぎる。穴に綺麗に落とされ身動きがとれなくなった。
穴の上も塞いでもらう。どんどんと締め付けて圧をかける。穴の中で怪物が押し潰されるように小さくなっていく。真っ暗ではあるが土の精霊がモノクロの映像を見せてくれている。
ビキビキと音がし、悲鳴が聞こえてきた。外圧に何かが潰れそうになっているのだろう。
更に圧力を加えてもらう。
ビキビキ、ビシ!
結界が壊れたようだ。更に圧力を加えると、ビシ! ビシ! ビシ! と立て続けに音が聞こえた。
囚われていた精霊が逃げ出せたと言ってきた。風も火も土の精霊も無事で良かった。
ビシ! と、小さな音が聞こえた。飲み込んだ魔石が砕けたのかもしれない。
「助けて……解放して……」
怪物から聞こえた気がした。土の精霊にお願いして蓋を外してもらう。ボコボコと形を変える魔物が見える。流石にこれだけ混ざり合うと元には戻れないのかもしれないな。
「助けて……」
表面のひとつの顔が助けを求めている。魔力鑑定眼を発動させると、肉の塊の中に禍々しい魔力の塊がいくつも見える。きっと飲み込んだ魔石だろう。あれを壊せれば、元の姿に戻せるかもしれない。
土魔法で細くて硬い棒手裏剣を作り出す。ピンポイントに魔石を狙い投擲する。硬いな。
何度も同じ場所を狙い続けると、ついに魔石はピシッと音を立てて亀裂が入った。
ひとつずつ同じように魔石を狙い続けて破壊する。ついに最後の魔石を破壊することに成功した。段々と元の体を取り戻し始めた。
四人にはなれたが、元の姿には戻れないようで苦しそうにしている。
俺は、四名に癒しの魔法を行使するが、痛みを和らげる程度にしかならない。
ひとりの使徒が口を開いた。
「この体では長くはもたないだろう。右胸に隷属の魔石が埋め込まれており、逆らうことができないんだ。この事が言えるという事は隷属からやっと解放されたのかもしれない。解放してくれてありがとう!」
そう言い残すと息を引き取ってしまった。
また、ひとり口を開く。
「解放してくれてありがとう。異神国パズズに召喚され、落ち人として隷属されていたんだ。やっと自由になれる……」
何かしゃべろうとしていたが、静かに息を引き取ってしまった。
ひとりは口を開くことなく、既に亡くなっていた。
最期のひとりだが、俺と会話をしていたやつみたいだ。
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