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俺の妹が天然だった。
しおりを挟む「見てよお兄ちゃん。……見付けた時は少し驚いたけど、勿論お兄ちゃんは覚えてるでしょ?」
「……友達から押し付けられた奴か。」
花蓮が本棚から取り出して来たのは、『女王様への服従』という何とも被虐趣味の人が好きそうな性癖本。表紙には鞭で男を打ちながら、男に対し酷い言葉の数々をぶつけている黒いボンテージパンツを履いた女性が載っている。
タイトルの通り、目次には被虐趣味の男が好きそうな言葉が並々と並んでいて、奴隷の心得とかあまり理解出来ない内容も載っていた気がする。
「……友達から押し付けられた?」
「そうそう。勘違いさせてたかもしれないけど、別に俺は被虐趣味なんてないぞ。捨てるにも内容が内容で、仕方なく本棚に俺は置いてただけで。」
母親が殺されているのを目前にした時のように、花蓮の表情はどんどんと深刻な表情へと変わっていく。
「え?………もしかして、花蓮は勘違いしてたの? 花蓮に悪口とか強く当たられて嫌だった?」
「ま、まぁ。多少はキツかったが、そこまでは……な?」
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい………」
女性に対して少しトラウマを植え付けられたことを多少の範囲に入れてよかったのかは疑問だけれど、俺が言葉を言い終えた直後、花蓮は何かに取り憑かれたようにごめんなさいという言葉を繰り返す。
花蓮のことはまた罵倒されるのではないかと俺は恐れている。
何も意識しなくても、少し痙攣するかのようにプルプルと体の一部が震えるのだ。
だから、正直俺の部屋に今花蓮がいるのも嫌だし、もう家を出て一人で暮らそうというくらいには花蓮と距離を取りたいと思っている。
でも、こんなに謝られて許せない程器量が狭い俺ではない。
気付けば目のハイライトが消えていて、少し見つめると闇に吸い込まれてしまいそうな漆黒の目に変わっている花蓮も可愛い妹だし、何より事情が事情だ。
花蓮は俺が被虐趣味だと予想して、わざと冷たく当たってきたのだ。やっていることは俺を喜ばせる行動とは真逆だったが、俺を喜ばせようとしてやってくれたのだ。その気持ちを蔑ろにするのは些か自分勝手過ぎる。
本能のまま俺を苛めていたなら絶縁も考えていたが、理由も理由だし許そうと思う。
それに、このまま許さないでいると多分このまま恐怖を感じさせる表情で、黙々どごめんなさいといい続けられるのはーー恐い。
「怒ってないから大丈ーーーー」
「……言葉だけの謝罪って、良くないよね。お兄ちゃんを物凄く傷付けてしまったのに、こんな言葉だけで許されようとするなんて最低な女だよね。土下座したところでお兄ちゃんに許される資格なんて無いし、反省文を何百枚と書いたところで結局本心何を考えているか分からないし、そんなの見るのは時間の無駄だよね。」
「ちょっ、ちょっと落ち着いーーーー」
安心の言葉を掛けようとした瞬間、早口言葉かよと疑うスピードで物凄いネガティブ発言をどんどんと繰り広げる花蓮。
許そうとしていた俺は、花蓮の言葉に頭の理解が追い付かない。
ここまで花蓮は重く考えていたのか?
そして、そんな花蓮はこんな言葉を続ける通り、目がハイライトオフで表情が暗いこともあって、美少女であるけれどかなり近付き難い。純粋無垢な幼稚園児が見たら、トラウマレベルの物だ。
止めなければ、止めなければと思いストップを掛けようと声を掛けようとするも、次から次へと出てくる花蓮の言葉に搔き消される。
「だったら、せめてお兄ちゃんを傷つけた分だけ私が傷つけられるのが普通だよね。殴る。蹴る。罵倒。拷問。 お兄ちゃんは私に傷つけられた好きなだけ私の体弄んでいいよ? 陵辱や輪姦だって好きにしていいよ? 無駄に大きくなった胸やお尻だって、揉んだり叩いたり舐めたりお兄ちゃんの好き放題にしていいんだよ? いつでも好きな時に、これからはお兄ちゃんの思うがままに弄っていいんだよ?」
「そんなことする訳なーー」
「……もしかして、妹だから気を遣って私のことを傷つけないってこと? 私ももう今年から高校三年生。大人なんだから、子供みたいに誰かに守って貰わなくて、自分で自分のした行いの責任は取るよ? だから、好き放題思うがままにお兄ちゃんは私の体を使って? 」
「だから、そんなことしなーーー」
「ーー何もしてこないってことはお兄ちゃんは私に奉仕されたいってこと? お兄ちゃんの方からしてくるだろうという分を弁えない最低な思考ーーごめんなさい。でも、お兄ちゃんを満足させることが出来るように、頑張る…ね?」
「ちょっ、ちょっーーー」
ベッドに押し倒され、そのまま俺の腹の上に花蓮が乗っかってくる。アメリカに留学している間も、結構体は鍛えていた筈なのだが簡単に押されてしまった。
花蓮の豊満なムチムチな尻が俺の腹に押し付けられ、何ともいえない柔らかい感触が腹の上で広がる。この感触は幸甚の至りといって良いものだろうけれど、この状況は非常に不味い。
恍惚とした表情で顔を赤らめ、息を荒くする花蓮に押し倒されている俺。
何故このような状況になったのか全く理解することは出来ていないが、とりあえず何とかして止めないといけないということは分かる。
「お兄ちゃんは奉仕されるんだから、体の力を抜いてね? えーっと、まずは服を脱がしてと。」
「そんなことさせる訳ないだーー」
言葉を告げようとした瞬間、俺の言葉を封じるかのように花蓮の艶のある真紅の唇が強く俺の唇に押し付けられる。
柔らかい。
温かい。
ーーそして、そんなことを感じることが出来ない程、暴力的に愛を押し付けられる。
強引に口の中に入り込み、歯垢を隅々まで舐め取るかのように花蓮の舌が俺の口内を荒らす。そして、花蓮の舌が俺の口内を荒らすと共に、花蓮のほんのり甘い涎も口内に広がり、口内が瞬く間に花蓮の涎まみれになる。
その後少しして、満足したのか花蓮の舌の勢いが弱まる。
これで終わったのかという安心から体の力を抜いた途端、今度は俺の舌に花蓮の舌が絡み付き、俺の舌の身動きが取れなくなる。
「ーーんっ。はぁはぁ。全く、お兄ちゃんは何も喋らなくていいんだよ?花蓮に身を任せて?抵抗なんて忘れてさ。 それとも、キスされたくてやってるの? なら、幾らでもしてあげるよ?」
「………」
感じたことがない快楽に思考が止まり、反抗しなければいけないと分かっていても、口が動かない。
気付けば、またしても花蓮のプルプルとした唇が近付いて来て、俺の唇を貪る。
何十秒か経ったところで花蓮の唇は離れ、俺の呼吸がある程度戻ったところでまたしても俺の唇が犯される。
それが何度も何度も繰り返され、遂に俺の思考は完全に回らなくなった。
花蓮に傷つけられていたという事実も忘れ、花蓮が妹というすらと認識出来なくなる。
目の前に居るのは、雌。
そう、自らを愛する雌。
気付けば、自ら服を脱いでいたーーーーーーー
「えへへ。お兄ちゃんって昔から攻めに弱かったもんね。花蓮のことが嫌わてしまったかと思って焦っちゃったけど、最後はお兄ちゃんの方から求めて来てくれて花蓮は嬉しかったよ。一生……愛し合おうね?」
何時間と互いの体を感じ、互いの体液を全身で浴び、糸のような物が引いているベットで疲れから強制的に目を閉じようとした瞬間。
心底嬉しそうに、狂ったように微笑む花蓮が視界に映った。
ーーーーー
これで本編は終わりです。
本当はもっと書こうかなと思ったんですけど、内容的にBANされると嫌だったのでこのくらいにしておきました。
ここまで読んでくれてありがとうございます。(*- -)(*_ _)ペコリ
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