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モブがブロックしたら、何倍にもなって返ってきた件
しおりを挟む「それで、どうして私の連絡先ブロックしてるんですかね?全然電話しても出ないし、既読だって最初に送った奴しかついてなかったし……悲しいなぁ~私。」
「……………」
「私、最近出た新しい服が欲しいんだよね。それ売ってる場所ショッピングモールだし、人が沢山居て怖いな~誰か付いてきてくれれば行けるんだけどな~」
「……………」
何故か俺の部屋で土下座させられている俺を、香織はチラチラと見ながらわざとらしく話す。どうして俺が変態にこんなことをさせられなければいけないんだ。でも、逃げることは許されないという雰囲気がこの場を漂っている為、無理矢理この姿勢を崩すことは出来ない。それに、こいつ俺の家から遠いところに自分の家があるって言ってたのに、俺がブロックした次の日に直ぐ乗り込んで来やがった。おいおい。もう関係は切れたと思ったのにどういうことだよ。最近のモブは、女子と関係を持つのが普通なのか?それに、これって俺に付いて来いってことだよな?絶対に嫌なんだけど。それこそ、恋人かと疑われるし。モブに彼女なんて居るわけないよな。
「あの~少なからず申したいことがあるのですが?」
「なになに?もしかして、付いてくる気になった?」
「素直に通販を使った方がよろしいか……」
「私機械音痴だから、通販で買うことなんて出来るかな?」
「俺との連絡先、機械の操作に手慣れた感じで滅茶苦茶早く交換したよう………」
「それじゃあ、明後日の土曜日の十時に近場の駅集合ね。」
「断固拒否する!!それに、俺はまだ行くとは決めていな……」
「……無理矢理タクシーで押し倒されたって言っちゃってもいいのかな?」
「いや、俺は押し込んだだけで倒してはいないからな。決して!!」
「社会は女性の味方って知らないのかね。ぬしは。」
「…………あっ、はい。自分行きます。」
「よかろう♪それじゃあ、もう一度言うけど土曜日の十時にあの駅集合ね。」
「はい……」
ま、負けた。
ガッツポーズを取って嬉しそうにしている香織を見て、大きく肩を落とす。俺の下着を持って帰ろうとする変態の彼女だが、少なくとも学級委員が似合いそうな真面目な見た目をしている為、こうガッツポーズを取っている姿を見ると、ギャップのような物を感じてしまい、つい見に入ってしまう。
ていうか、脅されてつい「行く」と返事しちゃったけど、これってデートになるのか?
まさかな……
香織だって、こんなこと意図して言った訳じゃないだろ。
妙に興奮気味なのが気になるが、気にしないことにする。ていうか、気にしたらいけない。
「それじゃあ、もう土下座解除していいよ♪」
「はぁ……やっと解放された。」
「それじゃあ、これから時間あるしゲームセンター行こうよ。」
「は?何を言ってるんだ?」
体が自由に動くかせるようになったので、体を休める為にもソファーへ移ろうとすると、香織の落とした爆弾発言に思わず足が止まる。
ゲームセンターだって?
そんなの陽キャやカップルとかが行く、俺のような陰キャモブには関係ない場所だろ。
そんなとこに一緒に行くとか、香織は頭のネジが何本かぶっ飛んでいるのか?
もはや、モブとか以前に陰キャの俺が行けるような場所ではない。
正直、ショッピングモールよりも何倍も嫌だ。
「俺は疲れているんだ。今もこうして土下座させられたし。『休む』という言葉を知らないのか?」
「土下座させられたのは、私をブロックしたからだよね?それで疲れたというのは、自業自得というものじゃないの?」
「……何と言われてもゲームセンターだけは嫌だ。」
「何で?プリグラやろうよ♪」
「はぁ……」
思っていた通りだ。
こいつは、リア充が必ずやると言っても過言でないプリグラをやる為に行くらしい。
しかも、こいつは俺のスマホのチャット欄を指差していることから、まだあのブロックしたことを完全に許した訳ではなく、今回のことに使おうとしている訳だろう。
はぁ……
行かなきゃ駄目なのか…
数手先を予想すると、俺が悔しそうに折れている様子が容易に浮かんだ。
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