5 / 14
石崎香織side
しおりを挟む「今日も可愛いよ。」
「いつもありがとう。それじゃ──」
授業が始まる少し前の朝。
今日も、登校する為に錆びが目立つ校門をくぐり抜けると、いくらかの男子生徒から「可愛いね。」や「美しいね。」など、私のことを次々に褒める。
自分のことは、自分でも可愛いと思ってるし美しいとも思っている。
大きくぱっちりとした目に、それを更に引き立てるような少し大きな赤い眼鏡に、黒い艶のある腰と同じくらいまで伸びる髪。それに、スタイルだって豊満な胸にすらりとした背やお腹。身長は平均より少しだけ低いが、美少女と言って可笑しくないだろう。
そんな私は、「ありがとう」と作り笑いを浮かべながら言ってその場を去り、今日も授業が始まるクラスに入る。
クラスに入れば寄ってくるのは、イケメンだと思っている自意識過剰のスポーツマンに、少し顔がいいだけしか取り柄の無い奴や、ただ面白いというだけで人気を誇っている奴。
そんな奴等は、校門でさっきあったように「綺麗だね。」「美しいね。」と褒めてくる。そんな奴等に私は、今日も愛想笑いを浮かべて「いつもありがとう。」と言って、自分の席に座る。すると、さっき私達に話掛けてきた奴等は、「ありがとう」と言われたのは誰かを決める為に、全員が自分だと言い張って口喧嘩を始める。
……そんなこと本当は思っていないのに。
そんな奴等を見て、男は本当にしょうもない生き物だと考える。
けど、しょうもない生き物じゃない男もいると私は思っている。
それは、イケメンだ。
イケメン。
私は、イケメンが大好きだ。
イケメンだったら、性格がそこまで良くなくても誰とでも付き合える自信はあるし、逆にイケメンじゃなかったらどんなに性格がよくてもどんなにお金持ちでも付き合うことはない。
当然、某アイドルグループのライブには出来る限り参加するし、そのアイドルの限定品などもネットオークションなどで落札しているため、かなりの数を持っている。
イケメン至上主義。
そんな私だが、今までテレビやライブ以外で私の求めるイケメンを見たことがない。
あぁ……いつか会えないかな。
そんなことを考えながら、女子からの嫉妬や男子達のいやらしい視線を感じる授業を受ける。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
お嬢様は地味活中につき恋愛はご遠慮します
縁 遊
恋愛
幼い頃から可愛いあまりに知らない人に誘拐されるということを何回も経験してきた主人公。
大人になった今ではいかに地味に目立たず生活するかに命をかけているという変わり者。
だけど、そんな彼女を気にかける男性が出てきて…。
そんなマイペースお嬢様とそのお嬢様に振り回される男性達とのラブコメディーです。
☆最初の方は恋愛要素が少なめです。
お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!
奏音 美都
恋愛
まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。
「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」
国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?
国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。
「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」
え……私、貴方の妹になるんですけど?
どこから突っ込んでいいのか分かんない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
婚約破棄されたので王子様を憎むけど息子が可愛すぎて何がいけない?
tartan321
恋愛
「君との婚約を破棄する!!!!」
「ええ、どうぞ。そのかわり、私の大切な子供は引き取りますので……」
子供を溺愛する母親令嬢の物語です。明日に完結します。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる