気づいたら周りの皆が僕を溺愛していた。

第2章 少年期

28.過保護

ノエルの目が覚めてから1週間程度が経過した。

現在学園の長期休みなので、ローレンツも在宅している。そのためノエルは永遠と1人になることは無く、誰かしらが横で世話をしてくれているのだ。


数年前、頭を怪我した時に増して兄達の過保護ぶりが発揮されている。


現在はローレンツの番らしく、ずっとノエルの隣に座り看病(?)をしてくれている。


「ノエル、痛いところはないか?」

「全然大丈夫だよ。」

「お腹は空いてないか?」

「さっき食べたばっかだよね…?」

「じゃあ喉は……?」

「大丈夫だよ………。」


こんな調子で、ロイ兄さんは文字通りずっーーと僕に質問を投げかけてくる。


「ろ、ロイ兄さん………、僕元気だよ…?ご飯も1人で食べれるし、もうそろそろお散歩も出来るよ……?」


するとローレンツは、首を横にブンブンと振った。

「ノエル、まだ何があるか分からないんだから散歩なんて絶対ダメだ。」


「じゃあご飯は?」

「……………………あと1週間だけ。」

「なんで?」

「…………………こんな事いつもはやらせてくれないだろ…?」

そう言って、ローレンツは肩を落とした。

ノエルはなんだか普段よりも塩らしいローレンツに対し犬のような可愛らしさを覚えた。


「……じゃああと1週間だけね。そしたらお散歩も連れてってよ?」

「…………分かった。」

「やったぁ!ロイ兄さんありがとー!」


ノエルは1週間後に、散歩の権利を勝ち取り上機嫌である。


そんなこんなで一日中ローレンツがノエルに付きっきりで、本を読み聞かせたり、面白い話などを聞かせたりと、楽しい時間を過ごした。


途中、ルーベルトが代わると言って入ってきたものの、ノエルが「今日はロイ兄さんの日だからルー兄さんはまた明日!」と、玉砕した。


その後ルーベルトは、ガックリと肩を落として自室へと帰って行く姿を見たと、廊下にいた侍女達は語った。