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第2章 少年期

3.贈り物

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今日の僕はものすごーく暇である。


昨日は一日中、ルー兄さんの卒業パーティの為の準備と称し、着せ替え人形のごとく服を何度も着せ変えられていた。

ルー兄さんのためのパーティーなんだから僕が気合い入れる必要ないのに、と思ったけれど、面倒臭いので告げることはしなかった。


「あぁ、ノエルめっちゃ可愛い…。でもみんなに見せたくないってのもあるな…、どうしよ………」

「もう!これだけ時間かけたんだから僕はこれ着てくから!」


結局、膝丈でグレーのハーフパンツに、同色のベストと、真っ白なシルクのシャツを合わせ、同じくグレーのジャケットを羽織ったシンプルなものに決めた。


服が決まった後は、ピアノの稽古をして、テオから手紙が届いてたから、その返事を書いた。


そんな感じで昨日は、一日中バタバタ過ごして、すっごく疲れたんだ。


ぽーっと壁を眺めていると、壁に掛かっていた時計が目に入った。
 
もうそろそろ時計の短針が4を指そうとしている。


「もうすぐルー兄さん帰ってくるかな…?」


何故僕が、ルー兄さんの帰りを待ちわびているかと言うと、昨日散々付き合わせたお礼にと、何か買って来てくれると言っていたからだ。

正直何を買ってきてくれるのかは分からないけど、ルー兄さんはセンスが良いから、きっといい物を買ってきてくれると思う。


例えば美味しいプリンとか、ケーキとか。


美味しい紅茶を用意しとかなくちゃ!あぁ…考えただけでお腹が鳴りそう………


僕は生まれてこの方、生粋の甘党だ。

そんな彼の頭の中は既にお菓子の事でいっぱいであった。



お菓子……じゃなくてルー兄さん早く帰ってこないかな。

そんなことを考えながら、ノエルは窓の縁に頬ずえを付きながら、外の景色を眺めていた。

すると、遠くの方から白を基調とした見覚えある馬車が近づいてくるのが見えた。


「ルー兄さんだ!」

僕は、楽しみで待ちきれずに部屋を飛び出し、玄関へと急いで向かった。



ガチャ、という音がすると同時にノエルはルーベルトの胸に飛び込んだ。


「ルー兄さんおかえりなさい!」

そう言ってノエルが、ルーベルトの顔を上目遣いに覗き込むと、ルーベルトは片手で顔を覆い左を向いていた。


「ねぇ、兄さん!お・か・え・り!」

そう言ってノエルはルーベルトに返答を求め、じっと目を見つめた。

ルーベルトは「あぁ、ごめん。ただいまノエル。」と言いながら右腕でノエルを抱き上げた。



「ノエルくんのお目当てはこれですか?」


そう言いながら、ルーベルトは左手を軽く持ち上げた。
 

ノエルは目をキラキラさせながら縦に首をコクとふった。



なんか思ってたより大きいぞ…これはまさか…、ホールケーキ!?!?

ノエルは更にご機嫌で早く早くと言わんばかりにルーベルトの裾を引っ張った。


「了解しましたよ、ノエル様。ではお部屋まで行きましょうか。」


ルーベルトは少しふざけ、まるで従者であるかのような口ぶりでノエルを抱えたまま自室へと向かった。









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