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番外編
可愛い孫ができました <おまけ・初音side>
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<side初音(凌也の祖母)>
ー凌也にね、大事な子ができたの。その子と養子縁組をすることになったわ。
ーえっ? 養子縁組って、どういうこと? 結婚するんじゃないの?
ーそれがね、相手が男の子なのよ。だから、結婚はできないの。それで、話し合って私たちの息子として籍に入れることにしたわ。だから、戸籍上は凌也とは兄弟になるわね。
ー凌也が、男の子と……。
娘の麗花から初めてその話を聞いた時、喜びよりも驚きの方が勝ったのは事実。
いつも麗花からは、凌也のことを聞くたびに
――あの子の結婚は諦めてるの。特別な相手でもできない限りはね……
と言われていたから、大事な子ができたと言われただけですごく嬉しかったのに。
養子縁組と聞かされて、普通の結婚じゃないことに驚いてしまった。
その空気は電話でも麗花に伝わってしまったようで、
ーごめんなさいね。お母さんを驚かせてしまったわ。
と謝られてしまった。
ーでもね、本当に凌也の顔を見たら、お母さんもすぐに納得するわ。凌也にとって、あの子が特別だってことに。性別も年の差も全て帳消しになってしまうくらい、幸せな二人なの。凌也と理央くんは一緒にいなきゃダメなのよ。
ー年の差って、その子……幾つなの?
ーついこの前、18になったばかりよ。
ー18? お相手のご両親はそれでいいと言っているの?
ーそれがね、その子……施設で生まれ育って、天涯孤独なの。
ーえっ……。
ーしかも、その施設が本当にひどいところで――
麗花から聞かされる話はこれが現実なのかと思わされるほどひどい話で、まだ見ぬその子に対しての同情心が沸々と湧き上がっていた。
ーその子が辛い目に遭っていたのはよくわかったわ。でも、凌也のその子への想いが愛情じゃなく同情だとは考えられないの?
人の助けになる仕事をしているだけあって、凌也は優しい子。
仕事中に見つけたその不憫な子に感情移入してしまっているのではないか……そんな気持ちも拭えない。
ーお母さんがそう思うのも無理はないけど、それはないわ。もちろん、あの子を可哀想だと思う気持ちはもちろんあるだろうけど、凌也には間違いなく恋愛感情があるし、あの子も純粋に心から凌也を愛してくれてるの。
ーそう……。ずっと見てきた麗花が言うなら間違い無いのね。
ーええ。だから、お母さんには凌也がようやく幸せを見つけたことを喜んで欲しい。あとで二人が一緒にいるところの写真と動画を送るわ。
ーええ。待ってる。
電話を切って、すぐに麗花から写真と動画が送られてきた。
どんな子かしら。
あの凌也の心を射止めて、麗花がそこまで信じる相手は……。
少し緊張しながら写真を見ると
「――っ、これが……凌、也?」
そこには私の知らない凌也がいた。
小さな口を一生懸命開けた可愛らしい男の子の口に、凌也がケーキを食べさせている写真。
その凌也の目が愛しいものに向けるそのもので、見ているだけでドキドキしてしまう。
ーあっ、凌也さん! 帰ってきた!! おかえりなさーいっ!
ーああ、理央。いい子で待っていられたか?
ーはい。今日はお母さんに凌也さんの写真見せてもらいました!!
ー写真?
ー学ランっていうの、着ててすっごくかっこよかったです。
ーああ、高校の時のか。恥ずかしいな。
ー綾城さんと悠木さんもいて、凌也さんが一番かっこよかったです。
ーそうか! それは嬉しいな。
幸せそうに理央くんを抱きかかえる凌也は、心から幸せそうに見えた。
ああ、なんて幸せなやりとりなのかしら。
あの場にいられなかったことが残念でならないくらい。
この二人は一緒にいるべきね。
絶対に引き離したらいけないわ。
<本当に麗花の言った通りだったわ。二人のこと心から祝福するわ。だから、理央くんに……私の可愛い孫に会わせてちょうだい。凌也にそう伝えて! お願いね>
麗花にメッセージを送ると
<お母さんがわかってくれてとっても嬉しいわ。理央くん、これから高卒認定試験と海外での挙式を控えているからお母さんに会いに行けるのは年明けになるだろうけど、凌也が絶対に連れて行ってくれるから楽しみにしていてね>
という返事が来た。
認定試験に、海外での挙式?
ああ、聞きたいことがまた増えた。
<わかったわ。とりあえず麗花が早く来て、理央くんのことを教えてちょうだい>
<ふふっ。じゃあ、週末に久嗣さんと一緒に行くわね>
その時にまた違う動画をもらいましょうか。
それまではあの可愛い写真と動画に癒されていよう。
まさか凌也のあんな姿を見られるなんて……。
長生きはするものね。
理央くんが来てくれるのが待ち遠しいわ。
そして、ようやく出会えたあの日。
この施設に天使が来たと大騒ぎになっていた。
ー凌也にね、大事な子ができたの。その子と養子縁組をすることになったわ。
ーえっ? 養子縁組って、どういうこと? 結婚するんじゃないの?
ーそれがね、相手が男の子なのよ。だから、結婚はできないの。それで、話し合って私たちの息子として籍に入れることにしたわ。だから、戸籍上は凌也とは兄弟になるわね。
ー凌也が、男の子と……。
娘の麗花から初めてその話を聞いた時、喜びよりも驚きの方が勝ったのは事実。
いつも麗花からは、凌也のことを聞くたびに
――あの子の結婚は諦めてるの。特別な相手でもできない限りはね……
と言われていたから、大事な子ができたと言われただけですごく嬉しかったのに。
養子縁組と聞かされて、普通の結婚じゃないことに驚いてしまった。
その空気は電話でも麗花に伝わってしまったようで、
ーごめんなさいね。お母さんを驚かせてしまったわ。
と謝られてしまった。
ーでもね、本当に凌也の顔を見たら、お母さんもすぐに納得するわ。凌也にとって、あの子が特別だってことに。性別も年の差も全て帳消しになってしまうくらい、幸せな二人なの。凌也と理央くんは一緒にいなきゃダメなのよ。
ー年の差って、その子……幾つなの?
ーついこの前、18になったばかりよ。
ー18? お相手のご両親はそれでいいと言っているの?
ーそれがね、その子……施設で生まれ育って、天涯孤独なの。
ーえっ……。
ーしかも、その施設が本当にひどいところで――
麗花から聞かされる話はこれが現実なのかと思わされるほどひどい話で、まだ見ぬその子に対しての同情心が沸々と湧き上がっていた。
ーその子が辛い目に遭っていたのはよくわかったわ。でも、凌也のその子への想いが愛情じゃなく同情だとは考えられないの?
人の助けになる仕事をしているだけあって、凌也は優しい子。
仕事中に見つけたその不憫な子に感情移入してしまっているのではないか……そんな気持ちも拭えない。
ーお母さんがそう思うのも無理はないけど、それはないわ。もちろん、あの子を可哀想だと思う気持ちはもちろんあるだろうけど、凌也には間違いなく恋愛感情があるし、あの子も純粋に心から凌也を愛してくれてるの。
ーそう……。ずっと見てきた麗花が言うなら間違い無いのね。
ーええ。だから、お母さんには凌也がようやく幸せを見つけたことを喜んで欲しい。あとで二人が一緒にいるところの写真と動画を送るわ。
ーええ。待ってる。
電話を切って、すぐに麗花から写真と動画が送られてきた。
どんな子かしら。
あの凌也の心を射止めて、麗花がそこまで信じる相手は……。
少し緊張しながら写真を見ると
「――っ、これが……凌、也?」
そこには私の知らない凌也がいた。
小さな口を一生懸命開けた可愛らしい男の子の口に、凌也がケーキを食べさせている写真。
その凌也の目が愛しいものに向けるそのもので、見ているだけでドキドキしてしまう。
ーあっ、凌也さん! 帰ってきた!! おかえりなさーいっ!
ーああ、理央。いい子で待っていられたか?
ーはい。今日はお母さんに凌也さんの写真見せてもらいました!!
ー写真?
ー学ランっていうの、着ててすっごくかっこよかったです。
ーああ、高校の時のか。恥ずかしいな。
ー綾城さんと悠木さんもいて、凌也さんが一番かっこよかったです。
ーそうか! それは嬉しいな。
幸せそうに理央くんを抱きかかえる凌也は、心から幸せそうに見えた。
ああ、なんて幸せなやりとりなのかしら。
あの場にいられなかったことが残念でならないくらい。
この二人は一緒にいるべきね。
絶対に引き離したらいけないわ。
<本当に麗花の言った通りだったわ。二人のこと心から祝福するわ。だから、理央くんに……私の可愛い孫に会わせてちょうだい。凌也にそう伝えて! お願いね>
麗花にメッセージを送ると
<お母さんがわかってくれてとっても嬉しいわ。理央くん、これから高卒認定試験と海外での挙式を控えているからお母さんに会いに行けるのは年明けになるだろうけど、凌也が絶対に連れて行ってくれるから楽しみにしていてね>
という返事が来た。
認定試験に、海外での挙式?
ああ、聞きたいことがまた増えた。
<わかったわ。とりあえず麗花が早く来て、理央くんのことを教えてちょうだい>
<ふふっ。じゃあ、週末に久嗣さんと一緒に行くわね>
その時にまた違う動画をもらいましょうか。
それまではあの可愛い写真と動画に癒されていよう。
まさか凌也のあんな姿を見られるなんて……。
長生きはするものね。
理央くんが来てくれるのが待ち遠しいわ。
そして、ようやく出会えたあの日。
この施設に天使が来たと大騒ぎになっていた。
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