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事件の全容
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あれは三日前。
俺が空き地であの女に会い、一方的な妄想話に警察を呼ぶぞと追い返したものの危険を感じて晴を伴い自宅に連れて帰ったあの日。
部屋に荷物を運ぶために晴と離れた時、俺は晴のアパートの大家である林田さんに密かに電話連絡をしていた。
晴に女性のストーカーがいること、今日そのストーカーに晴が怪我をさせられたこと、その女がさっき隣の空き地にいたのを確認し、危険なのでしばらく俺の家で晴を保護していること、その女が晴を尋ねてアパートにくるかもしれないということをその女の特徴と合わせて伝え、何かあればすぐに連絡して欲しいとお願いした。
晴を自分の子どものように可愛がっている林田さんは一も二もなく了承してくれた。
夜になり、晴を客間に寝かせて、俺も寝る支度をしようかと考えていた頃、スマホに管理人である林田さんからの着信があった。
嫌な予感がして電話をとると、晴の部屋から暴れているような大きな音がしていると隣の住人から林田さん宛に連絡があったという。
すぐに中を確認したいからできたらこちらに来てくれないか、との連絡だった。
俺はすぐに向かいますと伝えて電話を切ると、晴の寝ている客間をそっと覗き、寝ているのを確認して家を出た。
俺がアパートに着くと林田さんは通報で駆けつけた警察官2名と共に晴の部屋の前にいた。
「すみません、早瀬さんの電話を切って一度部屋を見に行ったらもう逃げて行った後だったみたいで…」
申し訳なさそうに林田さんが言うと、警察官が
「何かあると大変ですから鉢合わせしなくて正解ですよ。さあ、まず中を確認しましょう」
そういって扉を開けるように促した。
管理人である林田さんが扉を開け、警察官と共に部屋に入ると、晴の部屋は目も当てられないほどの有様だった。
本棚はなぎ倒され本があちらこちらに散乱し、引き出しやチェストの中のものは引き摺り出され、何を作ったのかわからない料理の残骸が割れたお皿と共に部屋中に散らばり、晴の大切にしていた本や洋服などを無残に汚していた。
昼に晴の部屋を彩っていた良い匂いは跡形もなく消し去って、異様な臭いが部屋中に充満していた。
俺は晴が一番大好きだと言っていたキッチンを確かめると、昼間に晴が楽しく料理していた掃除の行き届いた綺麗なキッチンは、料理をした材料の残骸らしき生ゴミがシンクにそのまま残され、使ったであろう皿やボウルなどが洗わずに放置され、コンロも汚れや油でギトギトのまま。
キッチンの床には足の踏み場もないほどゴミが撒かれていた。
このあまりにも酷い状況に、俺は晴を俺の家に連れて行っておいて本当に良かったと心から安堵した。
警察にはストーカーに悩まされていたこと、家を出る前に念のために部屋に隠しカメラをつけておいたことを話し、証拠としてカメラの映像を林田さんと警察官と一緒に確認した。
映像には、あの女が鍵を開けて侵入する様子や、部屋で暴れている様子が鮮明に映っていた。
警察は鍵を持っていることで、晴が渡したものではないかと聞いてきたが、俺は、晴は誰にも鍵を渡したことはなく、ニ本ある部屋の鍵は晴自身がきちんと持っているのを今日確認している。
彼女が持っていたとすればそれは不当に複製されたに違いないと証言すると、林田も部屋の鍵は各部屋にニ本しかないと証言してくれたおかげで、住居侵入、器物損壊に合わせて、鍵の複製による強盗予備罪も含めて捜査が開始されることとなった。
それから二日。
あの女は異常を察知したのか姿を消してしまっていた。
警察からの連絡によると女の自宅、実家、バイト先、学校などくまなく探しているが彼女を発見することはできていなかった。
そして、今日。
奇しくも晴が久しぶりに外出したこの日に理玖が駅からシュパース向かっていると、あの女らしき人物を見かけたらしい。
今日は晴がバイト先に来るとアルから聞いていた理玖は鉢合わせしたら危ないと思い、理玖は急いでアルに連絡をした。
俺がアルから電話をもらった時、すでに晴は一人で高梨ビルへ向かった後だった。
俺はアルにすぐに警察を呼ぶように頼んで電話を切った。
やっぱり一人で行かせるべきではなかった。
ああ、晴。無事でいてくれ!
一人で行かせてしまったことを後悔しながら急いで駐車場に行き、車で高梨ビルへと向かった。
駐車場に車を置いてから、走ってビルの正面にまわると、晴が歩いてこちらに向かっているのが見えた。
俺がほっとした瞬間、突然何かが現れたかと思ったら晴が腕で顔を防御しながら後ずさった。
俺に背を向けて晴の前に突然現れたのはあの女だった。
あの女だったことに気づいたのか、晴が驚いた様子で顔を上げた。
晴に話しかけながら、後ろ手に女が持っているもの、あれは小さいがナイフだ。
女が手の平で隠しながらナイフを振り上げ晴に近づいて行く。
晴は近づいてくる女から逃げようとしているが、晴は女がナイフを持っていることには気づいていないようだ。
俺は走って背後から女に近づき、ナイフを持つ手を掴み、背中を肘で思いっきり突いた。
女が呻き声をあげ、手の力を弱めたところでナイフを落とさせ、奪い取れないように蹴って遠くへ飛ばし、女の両手を後ろ手に拘束した。
晴が何も危害を加えられる前に捕まえられて、本当に良かったよ。
本心から出てきた言葉を晴に伝えると、晴は
「僕、全然知らなくて…」
あの女の狂気的な行動が怖かったんだろう。
両手で自分の腕を掴んで体を震わせた。
「ごめん、怖がらせるつもりはなかったんだ」
俺は慌てて晴の元へ行き、ぎゅっと抱きしめて晴の後頭部を優しく撫でた。
「もう、大丈夫だよ。何があっても俺が晴を守るから」
そういうと、晴は顔を伏せたまま頷いた。
二人で抱き合っていると先ほどまで恐怖でガチガチに強張っていた晴の体がほどよく力が抜け、晴に安心が広がっていくのを身を持って感じた。
良かった。本当に良かった。
もう怖い想いはさせないからな。
「オレもオーナーもちゃんと守ってやるから、忘れんなよ!」
横から理玖が大声でそう言うと、晴はふふっと笑って顔をあげた。
「ありがとう、理玖。ありがとうございます、オーナー」
「ありがとうございます、隆之さん」
俺の目をじっと見て、晴は極上の笑顔を見せてくれた。
✳︎ ✳︎ ✳︎
次回、犯人(女性)目線での事件の詳しい話が入ります。
読まなくても話はつながりますので、苦手な方はスルーしていただいても構いません。
俺が空き地であの女に会い、一方的な妄想話に警察を呼ぶぞと追い返したものの危険を感じて晴を伴い自宅に連れて帰ったあの日。
部屋に荷物を運ぶために晴と離れた時、俺は晴のアパートの大家である林田さんに密かに電話連絡をしていた。
晴に女性のストーカーがいること、今日そのストーカーに晴が怪我をさせられたこと、その女がさっき隣の空き地にいたのを確認し、危険なのでしばらく俺の家で晴を保護していること、その女が晴を尋ねてアパートにくるかもしれないということをその女の特徴と合わせて伝え、何かあればすぐに連絡して欲しいとお願いした。
晴を自分の子どものように可愛がっている林田さんは一も二もなく了承してくれた。
夜になり、晴を客間に寝かせて、俺も寝る支度をしようかと考えていた頃、スマホに管理人である林田さんからの着信があった。
嫌な予感がして電話をとると、晴の部屋から暴れているような大きな音がしていると隣の住人から林田さん宛に連絡があったという。
すぐに中を確認したいからできたらこちらに来てくれないか、との連絡だった。
俺はすぐに向かいますと伝えて電話を切ると、晴の寝ている客間をそっと覗き、寝ているのを確認して家を出た。
俺がアパートに着くと林田さんは通報で駆けつけた警察官2名と共に晴の部屋の前にいた。
「すみません、早瀬さんの電話を切って一度部屋を見に行ったらもう逃げて行った後だったみたいで…」
申し訳なさそうに林田さんが言うと、警察官が
「何かあると大変ですから鉢合わせしなくて正解ですよ。さあ、まず中を確認しましょう」
そういって扉を開けるように促した。
管理人である林田さんが扉を開け、警察官と共に部屋に入ると、晴の部屋は目も当てられないほどの有様だった。
本棚はなぎ倒され本があちらこちらに散乱し、引き出しやチェストの中のものは引き摺り出され、何を作ったのかわからない料理の残骸が割れたお皿と共に部屋中に散らばり、晴の大切にしていた本や洋服などを無残に汚していた。
昼に晴の部屋を彩っていた良い匂いは跡形もなく消し去って、異様な臭いが部屋中に充満していた。
俺は晴が一番大好きだと言っていたキッチンを確かめると、昼間に晴が楽しく料理していた掃除の行き届いた綺麗なキッチンは、料理をした材料の残骸らしき生ゴミがシンクにそのまま残され、使ったであろう皿やボウルなどが洗わずに放置され、コンロも汚れや油でギトギトのまま。
キッチンの床には足の踏み場もないほどゴミが撒かれていた。
このあまりにも酷い状況に、俺は晴を俺の家に連れて行っておいて本当に良かったと心から安堵した。
警察にはストーカーに悩まされていたこと、家を出る前に念のために部屋に隠しカメラをつけておいたことを話し、証拠としてカメラの映像を林田さんと警察官と一緒に確認した。
映像には、あの女が鍵を開けて侵入する様子や、部屋で暴れている様子が鮮明に映っていた。
警察は鍵を持っていることで、晴が渡したものではないかと聞いてきたが、俺は、晴は誰にも鍵を渡したことはなく、ニ本ある部屋の鍵は晴自身がきちんと持っているのを今日確認している。
彼女が持っていたとすればそれは不当に複製されたに違いないと証言すると、林田も部屋の鍵は各部屋にニ本しかないと証言してくれたおかげで、住居侵入、器物損壊に合わせて、鍵の複製による強盗予備罪も含めて捜査が開始されることとなった。
それから二日。
あの女は異常を察知したのか姿を消してしまっていた。
警察からの連絡によると女の自宅、実家、バイト先、学校などくまなく探しているが彼女を発見することはできていなかった。
そして、今日。
奇しくも晴が久しぶりに外出したこの日に理玖が駅からシュパース向かっていると、あの女らしき人物を見かけたらしい。
今日は晴がバイト先に来るとアルから聞いていた理玖は鉢合わせしたら危ないと思い、理玖は急いでアルに連絡をした。
俺がアルから電話をもらった時、すでに晴は一人で高梨ビルへ向かった後だった。
俺はアルにすぐに警察を呼ぶように頼んで電話を切った。
やっぱり一人で行かせるべきではなかった。
ああ、晴。無事でいてくれ!
一人で行かせてしまったことを後悔しながら急いで駐車場に行き、車で高梨ビルへと向かった。
駐車場に車を置いてから、走ってビルの正面にまわると、晴が歩いてこちらに向かっているのが見えた。
俺がほっとした瞬間、突然何かが現れたかと思ったら晴が腕で顔を防御しながら後ずさった。
俺に背を向けて晴の前に突然現れたのはあの女だった。
あの女だったことに気づいたのか、晴が驚いた様子で顔を上げた。
晴に話しかけながら、後ろ手に女が持っているもの、あれは小さいがナイフだ。
女が手の平で隠しながらナイフを振り上げ晴に近づいて行く。
晴は近づいてくる女から逃げようとしているが、晴は女がナイフを持っていることには気づいていないようだ。
俺は走って背後から女に近づき、ナイフを持つ手を掴み、背中を肘で思いっきり突いた。
女が呻き声をあげ、手の力を弱めたところでナイフを落とさせ、奪い取れないように蹴って遠くへ飛ばし、女の両手を後ろ手に拘束した。
晴が何も危害を加えられる前に捕まえられて、本当に良かったよ。
本心から出てきた言葉を晴に伝えると、晴は
「僕、全然知らなくて…」
あの女の狂気的な行動が怖かったんだろう。
両手で自分の腕を掴んで体を震わせた。
「ごめん、怖がらせるつもりはなかったんだ」
俺は慌てて晴の元へ行き、ぎゅっと抱きしめて晴の後頭部を優しく撫でた。
「もう、大丈夫だよ。何があっても俺が晴を守るから」
そういうと、晴は顔を伏せたまま頷いた。
二人で抱き合っていると先ほどまで恐怖でガチガチに強張っていた晴の体がほどよく力が抜け、晴に安心が広がっていくのを身を持って感じた。
良かった。本当に良かった。
もう怖い想いはさせないからな。
「オレもオーナーもちゃんと守ってやるから、忘れんなよ!」
横から理玖が大声でそう言うと、晴はふふっと笑って顔をあげた。
「ありがとう、理玖。ありがとうございます、オーナー」
「ありがとうございます、隆之さん」
俺の目をじっと見て、晴は極上の笑顔を見せてくれた。
✳︎ ✳︎ ✳︎
次回、犯人(女性)目線での事件の詳しい話が入ります。
読まなくても話はつながりますので、苦手な方はスルーしていただいても構いません。
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