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特別企画 ホワイトデー  リクへの贈り物

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先月のバレンタインデーからの続きのお話です。
この後、理玖のおまけの話が続きます。

  *   *   *


今年のバレンタインデーは最高だったな。
まさかリクが手作りのガトーショコラとクッキーをくれるだなんて思っても見なかった。

私好みのビターなガトーショコラはコーヒーとの相性も抜群で、本当に美味しかった。
だが、なんと言っても一番嬉しかったのは、リクが絵を描いてくれたあのクッキー。
しかもリクの思いがこもったメッセージ付き。

この世界でバレンタインデーにガトーショコラを貰ったものは大勢いるだろうが、リクの絵とメッセージが描かれたクッキーを貰ったものは私だけだ。

ああ、私は世界一の幸せ者だな。

バレンタインデーから数日経っても、リクの作ってくれたクッキーを大切に保管していたのだが、そんな時ユキから電話がかかってきた。

平日の昼間に電話だなんて珍しい。
何事かあったかと思い、慌てて電話をとった。

Halloもしもし! ユキ、どうしたんだ? こんな時間に珍しいな。

ー悪い。今、電話大丈夫か?

ー問題ないよ。どうした?

ーアル。この前のバレンタインデーに理玖から贈り物をもらっただろう?

ーああ。私好みのガトーショコラと、私への愛をたっぷりと詰めてくれた世界に一つのクッキーをくれたんだ。本当にリクは最高だよ。私のリクは――

ーちょっと惚気は今度じっくり聞くから。それで大事なことを言っておかないと思って電話したんだ。

ーなんだ?

ーアルは3月14日が何の日か知ってるか?

ーいや、何かの祝日か?

ーやっぱりな。3月14日は日本ではホワイトデーといって、バレンタインデーに贈り物をくれた人にお返しをあげる日なんだよ。

ーえっ……そんな日があるのか?

ーああ。晴がドイツにはホワイトデーがないって話をしていたから、もしかしたらって思って連絡したんだ。そうなんだろう?

ーああ。そうだな。ドイツでは聞いたことがないな。

ーきっと、ドイツに住んでた理玖もホワイトデーがないと知ってるからおそらくあげることが嬉しいだけで、お返しがあるとは期待はしていないと思うが、アルから贈り物をしたらきっと喜ぶと思うぞ。

ーそうか、そうだな。それで一体どんなものを返すものなんだ?

ー一般的にはチョコレートのお返しに、マシュマロやホワイトチョコレートといった白いものを贈るらしいが、基本的にお返しにきまりはないぞ。バレンタインデーに渡したチョコレートの三倍返しを求める女性もいるらしいし、バッグやアクセサリーなんかもあげたりするみたいだな。まぁ、理玖はそんなものを欲しがらないと思うが……。

ーそうだな……。リクは元々、物欲がないからな。ほしいものがあったら自分でお金を貯めて買うタイプだし、何よりリクからの贈り物に値段なんかつけられないから、三倍返しと言われても困るな……。

ーふふっ、確かに。理玖なら、アルが渡すものならなんでも喜びそうだ。

ー参考までに聞きたいが、ユキはハルに何を贈るんだ?

ースーツだよ。オーダーメイドで作ってるんだ。世界に一つのケーキとクッキーを貰ったからな、世界に一つのもので返したいだろう?

ーなるほど。いいアイディアだな。

ー贈り物にきまりはないから理玖が喜ぶものを考えてやったらいい。

ーああ。ありがとう。教えてくれて助かったよ。

ーいつもアルには世話になってるからな、役に立てて光栄だよ。

じゃあな、といって電話は切れたが、そうか……ホワイトデーか。
そんな面白い文化があったとは知らなかったな。

それにしてもリクへの贈り物か……。

リクは一体何を喜んでくれるだろうか。

ケーキとクッキーのお返しに手料理を……いや、手料理なら毎日のように作ってる。特別感がない。
じゃあ、物か……だが、リクは割と古い物でも大切に使うタイプだ。
それを辞めさせて私があげたものを使えとは言い難い。
ユキと同じようにスーツという手もあるが、真似するようで何となく抵抗がある。
うーん、一体リクは何を喜んでくれるだろうか……。

リクへの贈り物については結局数日頭の中で考えていたが、やはり私にとってリクへの特別な贈り物はたった一つしか考えられなかった。

まだ学生のリクには重すぎると言われるかもしれないが、それでもそれ以外は思いつかなかったんだ。


それから瞬く間に時が経ち、今日はホワイトデー。
リクはこの日が近づいても特に何もアクションを起こしてくることはなかった。

やはりドイツにはその風習がないから、私がお返しを用意しているとは思っていないのだろう。

店のメンテナンス日の日程をちょうどその日に合わせ、今日と明日を休みにしておいた。
休みの前日は深く愛し合うのが私たちのルール。

だから、リクはまだ私の腕の中で可愛らしい寝息を立て気持ちよさそうに眠っている。
一糸纏わぬ姿で私の胸に擦り寄って幸せそうに眠る私の可愛いリク。
何も身につけていないこの身体に、私からの贈り物だけをつけてもらうとしよう。

リクを決して起こさないように、私はベッド脇の棚に忍ばせておいた小さな小箱にそっと手を伸ばした。

ぱかっと開けると、そこにあるのは美しい輝きを見せる18Kのペアリング。
何のデザインもない、男用にしては少し細めのラインだがリクの細くて美しい指にはピッタリだろう。
指輪の内側には私からの愛の言葉が刻まれている。

ひとつをケースからそっと抜き取り、リクの指にゆっくりと嵌めていく。
ふふっ、よかった。
サイズもぴったりだったな。

そして、私の指にも同じものをつけた。

今、互いに身につけているのはこの指輪だけ。
それだけで途轍もない幸せを感じる。

リクは目を覚ました時、なんといってくれるだろうか……。

リクの溢れんばかりの笑顔を想像しながら、私も眠りについた。

Mein süßes私の可愛い Kätzchen子猫ちゃん

Ich bin au一生そf der Seitばにいるよe.
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