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私のものにするために
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ちょこっとだけその後を書いてみました。
この後も続く、かな?
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「失礼します。先生、幸翔を迎えに来ました。幸翔。悪い、遅くなった」
今日の勤務は18時までの予定だったが怪我人がいるということで早めの帰宅となった。
幸翔くんのクラス担任から荷物を受け取り、帰り支度をしていると彼の幼馴染だという彼が、幸翔くんを迎えに来た。
「あっ、大輔。迎えに来てくれたのにごめん。僕、今から先生の病院に行くんだ」
「えっ? そんな酷い怪我だったのか?」
よほど驚いたのか、大きな声が響き渡った。
「ひどく捻っているから、一人で歩くのは危険だからうちで松葉杖を用意することにしたんだよ」
「えっ、でも骨折しているわけじゃないんですよね?」
「ああ、そうだね」
「なら、俺が肩を貸します。そんな松葉杖なんて使わなくても俺が幸翔の面倒を……」
「君の優しさはありがたいが、君との身長差だとかえって彼の捻挫は酷くなるんだよ。今、無理をさせると将来にも影響を与えることになるかもしれないよ」
「そんな……っ、なら、俺も一緒について行きます」
なるほど。
彼の様子を見ていると、幸翔くんに気があるのがありありとわかる。
だが、
「大輔、そこまでしてくれなくていいよ。先生が車で送ってくださるし、それに大輔は今は部活の途中でしょ? みんな大輔を待ってるんじゃない?」
と言葉が返ってきて、ショックを受けているようだ。
「でも……」
「心配してくれてありがとう。でも、大丈夫だよ」
そこまで言われたらどうしようもないと思ったのか、
「わかったよ。でも、夕食はうちで食うんだろ? 母さんに幸翔の好物を作ってもらうように頼むよ」
とさらなる誘いをかけてきた。
「いや、病院でしっかりと検査をして、松葉杖の使い方も教えたりするから帰りは遅くなるかもしれないな。待っていただくのも幸翔くんが気にするだろうし、今日はやめておいた方がいいんじゃないかな?」
「はい。わかりました。大輔、今日はやめておくよ。おばさんにはそう言っておいてくれると助かるかな」
「――っ、わかったよ。明日、家にお見舞いに行くから」
「ふふっ。お見舞いなんて大輔は大袈裟だな」
幸翔くんは笑っているが、彼の方は私に敵意剥き出しだな。
だが、もう渡すつもりは一切ないがな。
そもそも今まで幼馴染という立場に胡座をかいて、自分の気持ちを伝えてこなかった彼の落ち度だ。
まぁ、純粋無垢な幸翔くんを前に、告白して今の関係が壊れてしまうのを恐れたのかもしれないが。
そんなことは理由にはならない。
そばにいる存在だからこそ、しっかりと周りを固めておかなければいけなかったんだ。
ガックリと肩を落とし、保健室を出ていく彼を見送りに行くついでに
「幸翔くんのことは諦めた方がいい。それが君にとって一番いい選択だよ」
とアドバイスしてやると、彼はハッとした表情をしながらキュッと唇を噛んで出ていった。
これで諦められたら、きっと彼にも幸せが来るだろう。
幸翔くんに執着するようなことがなければな。
「じゃあ、幸翔くん。行こうか」
「はい」
幸翔くんのリュックを私が背負い、幸翔くんも抱き抱える。
「すみません、荷物も持ってもらっちゃって……重くないですか?」
「ふふっ。これでも鍛えてるから楽勝だよ。それに幸翔くんは軽すぎるくらいだから、もっと太ってもいいくらいだよ」
「食べてもあんまりつかないんですよね」
「そうか、体質なのかな。でも食事の取り方で体質も変えられるから、これから食事はなるべく一緒に摂ろう」
「えっ、いいんですか?」
「ああ、もちろんだよ。幸翔くんは私の大事な恋人だからね」
「恋、人……そう、ですね。恋人なんですよね」
先ほどの告白を思い出してくれたのか、顔を真っ赤にしているのが可愛い。
お姫さまのように横抱きにしたまま保健室を出て事務局の前の靴箱に向かうと、今朝案内してくれた職員が驚いて出てきたが、
「怪我をしているのでこのままうちの病院に運びます」
と伝えると深く感謝されてしまった。
そのまま駐車場に向かい、幸翔くんを助手席に座らせて病院へ向かう。
休診日だから気にせずに中に連れ込んで、もう一度改めて診察とレントゲンを取り、湿布と包帯を巻き直した。
「やはり捻挫だな。安静にしていれば一週間ほどで治るだろう。明日は祝日で学校は休みだし、金曜日からはオンラインでの授業を認めてもらうように学校に連絡をしておこう」
「えっ、オンラインですか?」
「松葉杖での登校を許可しようと思ったが、思ったより酷い捻挫だから無理はしないほうがよさそうだ。もうすぐ受験本番だしこのまま私のところに泊まって、安静に過ごした方がいい」
「あ、あの入院ってことですか?」
「違うよ。私の自宅に連れていく。世話をしてあげる人がいないと、君は無理するだろう?」
「あ、でも……」
「気にしないでいい。幸翔くんの痛みを早く取り除いてあげたいだけだから」
「先生……そんなに僕のことを……わかりました。お願いします」
純粋な幸翔くんは私の意図には全く気づいていないだろう。
ああ、もう本当にこんなに上手くいきすぎて怖いくらいだ。
この一週間でたっぷりと私と過ごす意味を刻み込んでみせる。
卒業と同時に彼の身も心も私のものにするために。
この後も続く、かな?
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「失礼します。先生、幸翔を迎えに来ました。幸翔。悪い、遅くなった」
今日の勤務は18時までの予定だったが怪我人がいるということで早めの帰宅となった。
幸翔くんのクラス担任から荷物を受け取り、帰り支度をしていると彼の幼馴染だという彼が、幸翔くんを迎えに来た。
「あっ、大輔。迎えに来てくれたのにごめん。僕、今から先生の病院に行くんだ」
「えっ? そんな酷い怪我だったのか?」
よほど驚いたのか、大きな声が響き渡った。
「ひどく捻っているから、一人で歩くのは危険だからうちで松葉杖を用意することにしたんだよ」
「えっ、でも骨折しているわけじゃないんですよね?」
「ああ、そうだね」
「なら、俺が肩を貸します。そんな松葉杖なんて使わなくても俺が幸翔の面倒を……」
「君の優しさはありがたいが、君との身長差だとかえって彼の捻挫は酷くなるんだよ。今、無理をさせると将来にも影響を与えることになるかもしれないよ」
「そんな……っ、なら、俺も一緒について行きます」
なるほど。
彼の様子を見ていると、幸翔くんに気があるのがありありとわかる。
だが、
「大輔、そこまでしてくれなくていいよ。先生が車で送ってくださるし、それに大輔は今は部活の途中でしょ? みんな大輔を待ってるんじゃない?」
と言葉が返ってきて、ショックを受けているようだ。
「でも……」
「心配してくれてありがとう。でも、大丈夫だよ」
そこまで言われたらどうしようもないと思ったのか、
「わかったよ。でも、夕食はうちで食うんだろ? 母さんに幸翔の好物を作ってもらうように頼むよ」
とさらなる誘いをかけてきた。
「いや、病院でしっかりと検査をして、松葉杖の使い方も教えたりするから帰りは遅くなるかもしれないな。待っていただくのも幸翔くんが気にするだろうし、今日はやめておいた方がいいんじゃないかな?」
「はい。わかりました。大輔、今日はやめておくよ。おばさんにはそう言っておいてくれると助かるかな」
「――っ、わかったよ。明日、家にお見舞いに行くから」
「ふふっ。お見舞いなんて大輔は大袈裟だな」
幸翔くんは笑っているが、彼の方は私に敵意剥き出しだな。
だが、もう渡すつもりは一切ないがな。
そもそも今まで幼馴染という立場に胡座をかいて、自分の気持ちを伝えてこなかった彼の落ち度だ。
まぁ、純粋無垢な幸翔くんを前に、告白して今の関係が壊れてしまうのを恐れたのかもしれないが。
そんなことは理由にはならない。
そばにいる存在だからこそ、しっかりと周りを固めておかなければいけなかったんだ。
ガックリと肩を落とし、保健室を出ていく彼を見送りに行くついでに
「幸翔くんのことは諦めた方がいい。それが君にとって一番いい選択だよ」
とアドバイスしてやると、彼はハッとした表情をしながらキュッと唇を噛んで出ていった。
これで諦められたら、きっと彼にも幸せが来るだろう。
幸翔くんに執着するようなことがなければな。
「じゃあ、幸翔くん。行こうか」
「はい」
幸翔くんのリュックを私が背負い、幸翔くんも抱き抱える。
「すみません、荷物も持ってもらっちゃって……重くないですか?」
「ふふっ。これでも鍛えてるから楽勝だよ。それに幸翔くんは軽すぎるくらいだから、もっと太ってもいいくらいだよ」
「食べてもあんまりつかないんですよね」
「そうか、体質なのかな。でも食事の取り方で体質も変えられるから、これから食事はなるべく一緒に摂ろう」
「えっ、いいんですか?」
「ああ、もちろんだよ。幸翔くんは私の大事な恋人だからね」
「恋、人……そう、ですね。恋人なんですよね」
先ほどの告白を思い出してくれたのか、顔を真っ赤にしているのが可愛い。
お姫さまのように横抱きにしたまま保健室を出て事務局の前の靴箱に向かうと、今朝案内してくれた職員が驚いて出てきたが、
「怪我をしているのでこのままうちの病院に運びます」
と伝えると深く感謝されてしまった。
そのまま駐車場に向かい、幸翔くんを助手席に座らせて病院へ向かう。
休診日だから気にせずに中に連れ込んで、もう一度改めて診察とレントゲンを取り、湿布と包帯を巻き直した。
「やはり捻挫だな。安静にしていれば一週間ほどで治るだろう。明日は祝日で学校は休みだし、金曜日からはオンラインでの授業を認めてもらうように学校に連絡をしておこう」
「えっ、オンラインですか?」
「松葉杖での登校を許可しようと思ったが、思ったより酷い捻挫だから無理はしないほうがよさそうだ。もうすぐ受験本番だしこのまま私のところに泊まって、安静に過ごした方がいい」
「あ、あの入院ってことですか?」
「違うよ。私の自宅に連れていく。世話をしてあげる人がいないと、君は無理するだろう?」
「あ、でも……」
「気にしないでいい。幸翔くんの痛みを早く取り除いてあげたいだけだから」
「先生……そんなに僕のことを……わかりました。お願いします」
純粋な幸翔くんは私の意図には全く気づいていないだろう。
ああ、もう本当にこんなに上手くいきすぎて怖いくらいだ。
この一週間でたっぷりと私と過ごす意味を刻み込んでみせる。
卒業と同時に彼の身も心も私のものにするために。
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