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番外編
航だけに※
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祐悟が航にしか欲情しないっていことだけを言いたくて書いてしまったお話です。
楽しんでいただければ幸いです♡
* * *
「倉橋社長! 社長のおかげで我が社の売り上げも過去最高を記録しております。本当に倉橋社長には足を向けて寝られませんよ」
「いや、それはそちらの営業さんたちが頑張ってくれたからでしょう。どんなにいいものでも売ってくれる人がいなければ意味もありませんからね」
「ははっ。素晴らしいお考えですな。今回の取引も無事に終わりましたし、祝杯でもあげに行きましょうか」
「いえ、私はこの辺で失礼します。家で待ってくれている大切な子がいますから」
「そんなこと仰らずに一杯だけ! 一杯だけ付き合ってくださいよ、倉橋社長!!」
はぁー、こうなるとしつこいんだ。この男は。
営業くんの必死のアプローチで取引を決めてやったが、どうもこの社長だけは合わないんだよな。
「社長! あまり倉橋社長を困らせないでください!」
「うるさい! お前がガタガタ言うな」
「社長……っ」
はぁー。こんなのがトップにいてよくあんないい営業くんが入社してくれたものだな。
仕方がない。
あの営業くんの顔を立てて、最後に一杯だけ付き合ってやるとするか。
今回の件が終わったからもうこれで取引も終わりにするつもりだからな。
「春山くん、いいよ。一杯だけ付き合うとしよう」
「倉橋社長、無理なさらなくて結構ですよ。藤乃さんがお待ちでしょう?」
「ああ、だから一杯飲んだらすぐに帰るよ。心配してくれてありがとう」
「申し訳ありません」
深々と頭を下げてくるこの春山くんに、航の姿が重なる。
決して心変わりをしているわけではない。
ただ、あまりいい環境で仕事をしているわけではないのに、必死に頑張っているのをみると応援したくなるんだ。
今回、ここの会社との取引を決めたのも春山くんの必死のアプローチがあったからだ。
彼くらい仕事ができれば、他の会社でも十分やっていけるだろうに。
ここの社長に何やら恩義を感じていると言っていたが、そんな恩義で彼の将来が無駄になることだけは避けてやりたいがな。
「倉橋社長! ここですよ、可愛い女の子たちが揃っていますから、きっと社長もお気に召していただけますよ」
ニヤリと気味の悪い笑顔を向けられてゾッとする。
俺には航という大切な相手がいることはしっかりと伝えているのだが、どうもこの社長には伝わっていないようだ。
「さぁさ、どうぞ」
呆れている間に、店内に連れて行かれる。
内装も店の雰囲気もお世辞にもあまりいいとは言えない。
こんなところで酒を飲むなんて、ため息しか出ないな。
俺の反応に気づく様子もなく、席に案内したこの男は俺に聞くこともなく、女の子たちを呼び出した。
「こんばんはー。ミカです」
「サキでーす」
「ショウコでーす、社長さん、きてくれて嬉しいっ!!」
ショウコという女は社長にだけ愛想を振り撒いて、抱きつくように社長の元に飛んで行こうとしたが、俺の腕につけられていた腕時計をあざとく見つけ、翻すように
「こっちの社長さん、初めまして~!」
と猫撫で声を上げながら俺と春山くんの間に腰を下ろした。
「おい、ショウコ。お前はこっちだろ!」
「あら、初めての方にはサービスしなきゃ! ほら、ミカ。サキ、社長の隣に行きなさいよ!」
社長はショウコにつれなくされてむすっとしていたが、ミカとサキが慌てて社長の機嫌をとるようにピッタリとくっついてサービスを始めたからなんとか機嫌も良くなったようだ。
鼻が曲がりそうなくらい強い香水の香りにむせそうになりながら座っていると、
「何飲みます?」
とショウコに尋ねられる。
はぁー、もうさっさと帰りたい。
「彼と同じものでいいよ」
そう言って、春山くんに促した。
こんな店で飲む酒なんて何を選んでも変わらないだろうからな。
春山くんがビールを頼むと、
「ここにきてビール頼むとかダサっ! ワインくらい入れてよー。ねぇ、社長さんなら入れてくれるでしょう?」
太ももに手を置き撫でながら猫撫で声でそんなことを言ってくるが正直言って気持ち悪いしかない。
「勝手に触らないでくれ。正直に言って、君なんかに触られても何も興奮なんかしないよ」
「ちょ――っ、その言い方は酷いんじゃない? 言っておくけど、私ここのNO.1なんだからね」
「そうか、君みたいのがNO.1ならこの店も大した店じゃないな。私に媚び売っても無駄だぞ。君はあの社長くらいがちょうどいいんじゃないか」
「ひどっ! 何よっ、これでも興奮しないっていうの?!」
そういうと、突然ショウコはドレスの前をはだけさせ、豊満な胸を俺の前に晒した。
「これが、なにか?」
正直言って、ただの肉の塊にしか見えない。
俺は本当に航以外には興奮しなくなったんだなと改めて感じさせられる。
「しまってくれないか、見たくもない」
「くっ――!!!」
俺のすげない態度に、ショウコは顔を真っ赤にしながらドレスの胸元を元に戻した。
「はっは。フラれたな、ショウコ。だが気にすることはないよ。倉橋社長はゲイで男の恋人がいるんだ。だからショウコの魅力に気づかないんだよ!」
いつの間にか酒を何杯も飲み、真っ赤になった社長が両隣のサキとミカの肩を抱きガッハッハと笑いながら、ショウコに声をかける。
「ぷっ。ゲイにフラれるなんてダサっ!」
「NO.1も形無しねぇ。狙いに行ってフラれるなんてほんとダサいわ」
「くっ――!!!」
ショウコは後輩らしき女二人にバカにされて怒りに身体を震わせていたが、突然立ち上がって
「ゲイがこんなところに来んなよ! キモいんだよ! あんたの恋人もマジキモいわ」
と俺ばかりか航のことにも暴言を吐いてきた。
その瞬間、今まで大騒ぎしていた店内が一瞬にして静まり返る。
慌てて店長らしく黒服の男が駆け寄ってくるがもう遅い。
「さっさと帰れ!」
ショウコがそう叫んだところで、
「やめないか!」
と黒服の男が大声を上げた。
「ちょっと店長! 私、バカにされたんですよ! 店長からもさっさと追い出してくださいよ!」
「やめろと言っているだろう!! このお方が誰だか知らないのか! 倉橋社長だぞ!!」
「えっ……くら、はしって……まさか……」
俺の名前を聞いてさーっと顔が青褪めていく。
それもそのはず。
俺は歌舞伎町で何店舗もの会員制高級クラブを経営しているのだから。
夜の街で働く女が俺の名前を知らないはずがない。
「あ、あの……私、知らなくて……きゃっ!!!」
縋り付いてこようとした手をピシャリと跳ね除け、
「俺だけでなく、俺の大切な恋人までもバカにしたんだ。知らないだけで済むと思うなよ」
「ひぃーーっ!!」
俺が睨みを効かせると、ショウコは震えながら膝から崩れ落ちた。
「社長! 悪いが、失礼する。これで取引も終わりだ」
「そ、そんな――っ」
その場に項垂れる社長を残して、俺は足早に店を出た
バタバタと追いかけてくる足音に振り向けば、春山くんだ。
「倉橋社長! ご不快な思いをさせてしまいまして、大変申し訳ございません」
「君の顔に免じて許してやりたいが、航のことまでバカにされて許せるほど寛大な心は持ち合わせてない。悪いが君の会社との縁はこれで終わりだ」
「はい。それは致し方ないことだと存じております」
「君さえ良ければ、うちの会社に来ないか?」
「えっ?」
「西表島にある会社だが、君のように優秀な人材を募集しているんだ。ここでの生活を全て捨てる覚悟があれば連絡してくれ」
そう言って俺はその場を離れ帰路についた。
春山くんから連絡が来たのは翌日のことだった。
どうやら、昨夜の出来事を全て春山くん一人のせいにされて、即日解雇されたらしい。
春山くんを切って、あの会社がこれから先やっていけるかは甚だ疑問だが、もうどうでもいい。
あの会社には技術も何も与えたわけでもないし、俺との取引はもう完全に終わりだ。
春山くんは何もかも捨てて、吹っ切れた表情で西表島に現れた。
彼がここで幸せになっていくのはもうすぐだ。
<おまけ>
「お帰りなさ――くさっ!!」
「悪いっ、やはり匂うか?」
「もうっ! そんな匂いさせてこないで!!!」
「悪い、すぐに風呂に入ってくるよ!!」
航にあって癒されたい一心で急いで帰ってきたが、やはり一度風呂に入って帰ればよかった。
航に拒絶された悲しみに項垂れながら、念入りに身体を洗い清めバスローブを羽織っただけの姿で航の元に急ぐ。
「航……ごめん、もう嫌な匂いはしないだろう?」
ベッドに腰をかけていた航を抱きしめると、ようやく笑顔を見せてくれた。
「女性がいるお店に行ったの?」
「ああ、どうしてもと連れて行かれてな。だが隣の座った女の香水が臭くて酒も飲んでいないし、何もしてない。信じてくれるだろう?」
「うん、でもなんかやだ。触られたりしなかった?」
「ふふっ。俺は航にしか興奮しないって言っただろう?」
「うん、じゃあ……証明して……」
チュッと航の方から重なってきた唇に、俺の欲情スイッチが押された。
「ああ、たっぷりとな」
ギラギラと欲情を孕んだ目で見つめてやると、航は恍惚とした表情で俺を見た。
まるで狼に喰われる前の羊のようにおとなしく俺のキスを受け入れる。
さっきは一ミリも反応しなかった愚息が今はもうすでに先端に蜜まで溢れさせている。
やはり航以外に興奮できなくなったな。
それでいい。
俺は一生航だけのものだ。
楽しんでいただければ幸いです♡
* * *
「倉橋社長! 社長のおかげで我が社の売り上げも過去最高を記録しております。本当に倉橋社長には足を向けて寝られませんよ」
「いや、それはそちらの営業さんたちが頑張ってくれたからでしょう。どんなにいいものでも売ってくれる人がいなければ意味もありませんからね」
「ははっ。素晴らしいお考えですな。今回の取引も無事に終わりましたし、祝杯でもあげに行きましょうか」
「いえ、私はこの辺で失礼します。家で待ってくれている大切な子がいますから」
「そんなこと仰らずに一杯だけ! 一杯だけ付き合ってくださいよ、倉橋社長!!」
はぁー、こうなるとしつこいんだ。この男は。
営業くんの必死のアプローチで取引を決めてやったが、どうもこの社長だけは合わないんだよな。
「社長! あまり倉橋社長を困らせないでください!」
「うるさい! お前がガタガタ言うな」
「社長……っ」
はぁー。こんなのがトップにいてよくあんないい営業くんが入社してくれたものだな。
仕方がない。
あの営業くんの顔を立てて、最後に一杯だけ付き合ってやるとするか。
今回の件が終わったからもうこれで取引も終わりにするつもりだからな。
「春山くん、いいよ。一杯だけ付き合うとしよう」
「倉橋社長、無理なさらなくて結構ですよ。藤乃さんがお待ちでしょう?」
「ああ、だから一杯飲んだらすぐに帰るよ。心配してくれてありがとう」
「申し訳ありません」
深々と頭を下げてくるこの春山くんに、航の姿が重なる。
決して心変わりをしているわけではない。
ただ、あまりいい環境で仕事をしているわけではないのに、必死に頑張っているのをみると応援したくなるんだ。
今回、ここの会社との取引を決めたのも春山くんの必死のアプローチがあったからだ。
彼くらい仕事ができれば、他の会社でも十分やっていけるだろうに。
ここの社長に何やら恩義を感じていると言っていたが、そんな恩義で彼の将来が無駄になることだけは避けてやりたいがな。
「倉橋社長! ここですよ、可愛い女の子たちが揃っていますから、きっと社長もお気に召していただけますよ」
ニヤリと気味の悪い笑顔を向けられてゾッとする。
俺には航という大切な相手がいることはしっかりと伝えているのだが、どうもこの社長には伝わっていないようだ。
「さぁさ、どうぞ」
呆れている間に、店内に連れて行かれる。
内装も店の雰囲気もお世辞にもあまりいいとは言えない。
こんなところで酒を飲むなんて、ため息しか出ないな。
俺の反応に気づく様子もなく、席に案内したこの男は俺に聞くこともなく、女の子たちを呼び出した。
「こんばんはー。ミカです」
「サキでーす」
「ショウコでーす、社長さん、きてくれて嬉しいっ!!」
ショウコという女は社長にだけ愛想を振り撒いて、抱きつくように社長の元に飛んで行こうとしたが、俺の腕につけられていた腕時計をあざとく見つけ、翻すように
「こっちの社長さん、初めまして~!」
と猫撫で声を上げながら俺と春山くんの間に腰を下ろした。
「おい、ショウコ。お前はこっちだろ!」
「あら、初めての方にはサービスしなきゃ! ほら、ミカ。サキ、社長の隣に行きなさいよ!」
社長はショウコにつれなくされてむすっとしていたが、ミカとサキが慌てて社長の機嫌をとるようにピッタリとくっついてサービスを始めたからなんとか機嫌も良くなったようだ。
鼻が曲がりそうなくらい強い香水の香りにむせそうになりながら座っていると、
「何飲みます?」
とショウコに尋ねられる。
はぁー、もうさっさと帰りたい。
「彼と同じものでいいよ」
そう言って、春山くんに促した。
こんな店で飲む酒なんて何を選んでも変わらないだろうからな。
春山くんがビールを頼むと、
「ここにきてビール頼むとかダサっ! ワインくらい入れてよー。ねぇ、社長さんなら入れてくれるでしょう?」
太ももに手を置き撫でながら猫撫で声でそんなことを言ってくるが正直言って気持ち悪いしかない。
「勝手に触らないでくれ。正直に言って、君なんかに触られても何も興奮なんかしないよ」
「ちょ――っ、その言い方は酷いんじゃない? 言っておくけど、私ここのNO.1なんだからね」
「そうか、君みたいのがNO.1ならこの店も大した店じゃないな。私に媚び売っても無駄だぞ。君はあの社長くらいがちょうどいいんじゃないか」
「ひどっ! 何よっ、これでも興奮しないっていうの?!」
そういうと、突然ショウコはドレスの前をはだけさせ、豊満な胸を俺の前に晒した。
「これが、なにか?」
正直言って、ただの肉の塊にしか見えない。
俺は本当に航以外には興奮しなくなったんだなと改めて感じさせられる。
「しまってくれないか、見たくもない」
「くっ――!!!」
俺のすげない態度に、ショウコは顔を真っ赤にしながらドレスの胸元を元に戻した。
「はっは。フラれたな、ショウコ。だが気にすることはないよ。倉橋社長はゲイで男の恋人がいるんだ。だからショウコの魅力に気づかないんだよ!」
いつの間にか酒を何杯も飲み、真っ赤になった社長が両隣のサキとミカの肩を抱きガッハッハと笑いながら、ショウコに声をかける。
「ぷっ。ゲイにフラれるなんてダサっ!」
「NO.1も形無しねぇ。狙いに行ってフラれるなんてほんとダサいわ」
「くっ――!!!」
ショウコは後輩らしき女二人にバカにされて怒りに身体を震わせていたが、突然立ち上がって
「ゲイがこんなところに来んなよ! キモいんだよ! あんたの恋人もマジキモいわ」
と俺ばかりか航のことにも暴言を吐いてきた。
その瞬間、今まで大騒ぎしていた店内が一瞬にして静まり返る。
慌てて店長らしく黒服の男が駆け寄ってくるがもう遅い。
「さっさと帰れ!」
ショウコがそう叫んだところで、
「やめないか!」
と黒服の男が大声を上げた。
「ちょっと店長! 私、バカにされたんですよ! 店長からもさっさと追い出してくださいよ!」
「やめろと言っているだろう!! このお方が誰だか知らないのか! 倉橋社長だぞ!!」
「えっ……くら、はしって……まさか……」
俺の名前を聞いてさーっと顔が青褪めていく。
それもそのはず。
俺は歌舞伎町で何店舗もの会員制高級クラブを経営しているのだから。
夜の街で働く女が俺の名前を知らないはずがない。
「あ、あの……私、知らなくて……きゃっ!!!」
縋り付いてこようとした手をピシャリと跳ね除け、
「俺だけでなく、俺の大切な恋人までもバカにしたんだ。知らないだけで済むと思うなよ」
「ひぃーーっ!!」
俺が睨みを効かせると、ショウコは震えながら膝から崩れ落ちた。
「社長! 悪いが、失礼する。これで取引も終わりだ」
「そ、そんな――っ」
その場に項垂れる社長を残して、俺は足早に店を出た
バタバタと追いかけてくる足音に振り向けば、春山くんだ。
「倉橋社長! ご不快な思いをさせてしまいまして、大変申し訳ございません」
「君の顔に免じて許してやりたいが、航のことまでバカにされて許せるほど寛大な心は持ち合わせてない。悪いが君の会社との縁はこれで終わりだ」
「はい。それは致し方ないことだと存じております」
「君さえ良ければ、うちの会社に来ないか?」
「えっ?」
「西表島にある会社だが、君のように優秀な人材を募集しているんだ。ここでの生活を全て捨てる覚悟があれば連絡してくれ」
そう言って俺はその場を離れ帰路についた。
春山くんから連絡が来たのは翌日のことだった。
どうやら、昨夜の出来事を全て春山くん一人のせいにされて、即日解雇されたらしい。
春山くんを切って、あの会社がこれから先やっていけるかは甚だ疑問だが、もうどうでもいい。
あの会社には技術も何も与えたわけでもないし、俺との取引はもう完全に終わりだ。
春山くんは何もかも捨てて、吹っ切れた表情で西表島に現れた。
彼がここで幸せになっていくのはもうすぐだ。
<おまけ>
「お帰りなさ――くさっ!!」
「悪いっ、やはり匂うか?」
「もうっ! そんな匂いさせてこないで!!!」
「悪い、すぐに風呂に入ってくるよ!!」
航にあって癒されたい一心で急いで帰ってきたが、やはり一度風呂に入って帰ればよかった。
航に拒絶された悲しみに項垂れながら、念入りに身体を洗い清めバスローブを羽織っただけの姿で航の元に急ぐ。
「航……ごめん、もう嫌な匂いはしないだろう?」
ベッドに腰をかけていた航を抱きしめると、ようやく笑顔を見せてくれた。
「女性がいるお店に行ったの?」
「ああ、どうしてもと連れて行かれてな。だが隣の座った女の香水が臭くて酒も飲んでいないし、何もしてない。信じてくれるだろう?」
「うん、でもなんかやだ。触られたりしなかった?」
「ふふっ。俺は航にしか興奮しないって言っただろう?」
「うん、じゃあ……証明して……」
チュッと航の方から重なってきた唇に、俺の欲情スイッチが押された。
「ああ、たっぷりとな」
ギラギラと欲情を孕んだ目で見つめてやると、航は恍惚とした表情で俺を見た。
まるで狼に喰われる前の羊のようにおとなしく俺のキスを受け入れる。
さっきは一ミリも反応しなかった愚息が今はもうすでに先端に蜜まで溢れさせている。
やはり航以外に興奮できなくなったな。
それでいい。
俺は一生航だけのものだ。
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