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霧山村の神聖な儀式

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夫婦祭り(めおとまつり)は、日本のとある村において毎年、盆の日に近い満月の夜に開催される、子孫繁栄と豊作を願うための祭りだ。
若い男たちが神輿を担ぎ、村中を練り歩いたり、夜になれば村の中央の広場に提灯がともり、やぐらを中心に老若男女が参加する盆踊りをしたりする。

近年では、焼きそばやわたあめ、金魚すくいや射的など、いくつかの屋台が出されるようになっていた。
村の子供たちは、何週間も前から、この日を楽しみに眠れない夜を過ごす。

しかし、この祭りの最大の特徴は、そんな彼らが寝静まった後、霧山と呼ばれる山の上にある神社で行われる、「結びの儀」にあった。
村の中から毎年一組の夫婦が選出され、数日前から体を清める儀式を繰り返し、当日の夜、村人たちが見守る中で、「神聖な行為」に及ぶのである。

 村民たちはこの祭りを楽しみに過ごす。それはこの儀式のためだといっても過言ではないのだが、だれも表立ってそうとは言わないのだった。



神代のこの村において、村人たちが信仰心を失っているのでは、と疑った「霧山」の神が、太陽の光を遮るほどの霧で村を包んでしまった。

作物は育たず、疫病が広まり、村が次第に疲弊していく中で、一人の巫女が村のために立ち上がった。彼女は、神が住まう山の頂上に若い男と連れ立って向かい、神に見せつけるように交わりながら身の潔白を示した。

そして、村に再び平和が訪れた……。

代々口伝され、そのうち書物にも残されるようになったその言い伝えのことを、心の底から信じつづけている村人はもういない。

しかし、長年続けてきた儀式を突然やめることがはばかられる程度には、土着の神への信仰心が残っていた。
それに、山奥の村のわりに若い世代が多いのも、この儀式によるものが多いのでは、という意見も少なからずあった。



この村に住む人々は、毎年この儀式を、どこか後ろめたさを感じながらも受け入れてきたのだった。


ーーー

祭りの夜がやってきた。
この年の祭りの当日、「神聖な行為」を行うことになったのは、咲と涼太という年若い夫婦であった。

幼馴染で仲が良く、男女そろって村一番の美男美女だと評判だった。
そんな彼らが代表に決まった瞬間から、ただならぬ熱気が村に充満していた。

ーーー

咲は、社務所の中で、大人しく儀式の開始を待っていた。

うつむいた顔に施された化粧が、薄暗い部屋で青白く見える。
身にまとう装束は透き通るように薄く、下着をつけていないのが衣の上からでも分かる。



社の外のざわめきが大きくなる。村人たちが押し寄せるようにやってきて、儀式の開始を待っているようだ。


「咲、時間だよ。」


戸の外から聞きなれた声がして、咲は立ち上がった。戸を開けると、涼太が立っていた。
彼もまた、儀式のための装束に身を包んでいる。使いまわしの衣装は、彼のたくましい体躯には少し窮屈そうに見えた。


二人手を取り合って、拝殿へと歩き出す。
境内にぎっしりと押し掛けた、見知った顔の村人たちが、一人残らずこちらを見ていた。
一歩進むごとに顔が赤くなる。

咲は、自分はこれから、彼らに見つめられながら、涼太と身体を重ね合わせるのだ、という事実を何度も反芻していた。


拝殿前の広場にたどり着くと、村人たちのざわめきが大きくなった。


「それでは、『結びの儀』を執り行う。」


神主が厳かに宣言した。祭事が始まるのだ。
涼太と咲が一礼をすると、太鼓の音とともに祝詞が唱えられる。


「掛けまくも畏き、霧山の神に聞こし食せと、畏み申す……」


咲は、神主の声を聞き流しながら、祭事の手順を思い出す。

夫婦そろって衣装を脱ぎ、生まれたままの姿になる。手を体の横にそろえてまっすぐ顔をあげ、村人たちと向かい合う……。
考えるだけで頭がくらくらとしてしまう。しかし、今から実際に自分たちがそれをするのだ。


咲は、何かに縋るように、ちら、と涼太のほうを見た。
涼太はすでに帯に手をかけていて、そのまましゅる、と解き始めた。

彼女はどきっとして、前を向く。
村人たちと目が合う。男も女も、にやにやしながらこちらを見つめている。

嫌な気分だったが、彼らだってそのうち当事者になるのだ。
私だけが恥ずかしい思いをするわけではないのだし、文句を言う勇気なんかないし……。
咲は、そうあきらめることにした。

 
意を決して、帯をほどいた。
帯が地面に落ち、着物がはだける……。

おお、という男たちの歓声が聞こえた。全身がかっと熱くなるようだった。
 
衣装を一枚はぎ取った下には、何もつけていない。
もう間もなく、親と夫以外に見せたことのない自分のすべてが、衆目に晒されてしまうのだ。

 
咲は装束の襟をつまんでもじもじとしていた。
逃げ場を求めるように再び涼太のほうを見て、再びどきっとする。彼はもう、すっかり真っ裸になっていた。

隆々とした肉体が、かがり火に照らされて揺らめいて見えた。
そして彼の逸物は、こんな状況にもかかわらず、固く大きくそそり立って、ぴくぴくと震えていた。

 
こちらの様子をうかがう彼と目が合う。
彼の目は優しかった。でも、その奥には、これまでの夫婦生活で見せたこともないような、いやらしい感情が隠れているように感じた。

 
真夜中だというのになんだか蒸し暑くて、汗ばんだ体に衣が張り付いてしまう。
下を向くと、装束と胸がぴったり張り付いて、先端の形まではっきりとわかって恥ずかしい。
 
顔が熱くなって、だんだん頭が痛くなってきた。
相変わらずにやついている観衆が、こちらをせかしているように感じた。

咲は、もうどうにでもなれという気分で、着物から腕を抜いた。
音もたてずに着物が落ち、ついに一糸まとわぬ姿になる。村人たちの歓声と囃し立てる声がする。

 
咲は、きゅっと股を締め、体を隠したい気持ちをぐっとこらえて、直立不動の姿勢を作った。
隣の涼太が頭を下げるのに合わせて、彼女も頭を下げた。
 
観衆からの拍手が境内に響く。

ついに、「神聖な行為」が始まってしまうのだ。

 
涼太は咲の腰に手を回し、抱き寄せた。
そして、咲の耳元でやさしく囁いた。

「咲、きれいだよ……。」

彼がいつも、二人の布団の中で言っている言葉だった。しかし、今の彼女の耳には届かなかった。
咲は、「神聖な行為」が始まろうとしている今この瞬間、自分がどこに立っているのかを完全に見失っていた。

彼女の頭の中には、もはや「神聖な行為」などというごまかしの表現はすっかり消え去り、人前で性行為をすることへの忌避感だけが残っていた。

ありえない。逃げ出したい。
ますます熱くなる村人たちの視線が、自分の身体を焼き尽くしてしまいそうだ。

涼太の胸板に顔をうずめる。
みんな、正気ではない。できることなら逃げ出したい。ぎゅっと目をつぶると目の端から涙が落ちた。まともなのは私だけだ……。


突如、咲の股間に刺激が走った。
びくりと背筋が伸び、訳も分からず涼太を見る。

涼太が彼女の眼前に、人差し指と親指で輪を作ってみせる。

「咲も、期待してるんだね。」

ぴちゃ、と音を立て、彼の指の間にぬめった糸が伸びた。
彼女が自分の下半身に目をやると、すっかり濡れそぼった茂みから愛液が漏れだし、彼女の内股を伝って足元まで垂れていた。

咲の鼓動が激しくなる。濡れているのが自分の身体だと信じられなかった。
涼太はそんな彼女に優しく微笑みかける。

「僕もだよ……。ほら……。」

彼は彼女の手を取り、自分のものに触れさせる。その固くて熱い感触に彼女はまたびくりとした。
目が泳いているのが、自分でもわかった。

ーーー

涼太は、咲の肩を掴むと背中を向けさせ、尻を突き出すように促した。
むき出しになった彼女の丸い尻たぶの間が、炎に照らされて淫らにぬらついている。
 
待ちきれないとばかりに、割れ目に肉棒を突き立て、そのまま腰を前に進めた。
 
ああっ…!

咲からもれた絞り出すような喘ぎ声は、村人たちのはやし立てるような声でかき消された。
拝殿の真正面。夜空の下で、二人の体が一つになった。

 
背後から乳房を揉まれ、乳首をこねられながら、咲は顔をゆがめて喘いでいた。
自分の意思とは関係なく、きゅ、と膣が収縮し、涼太のものを甘締める。
粘膜から感じる感触が、いつもよりも固く、熱くて、大きかった。

「ほら、みんな見てるよ……。」

耳元で涼太がささやく。咲は何も言わなかった。

 
彼の腰が前後に揺れ始め、内側をこすられて体がびく、と反応してしまう。
耐えるようにぎゅっと目をつぶり、唇をかみしめた。
 
こちらの気持ちも知らずに、涼太はすっかり気をよくして、どんどん腰の動きを速めていった。 
腰が尻肉に打ち付けられ、甲高い音が鳴り始める。
結合部から汁がはじけて、お互いの身体に飛び散っている。

早く終わって……。と思いながら、体を揺らして彼を受け止める。
おなかの奥にじんじんと響くような感覚は、生理現象だと割り切っていた。

「すごいよ、ほら、みんな……。」

涼太の、快感にあえいでかすれた声を聞いて、ふと目を開けると、村人たちと目が合った。男も女も火照った顔でこちらを見つめていた。
 
着物の前にテントを作っている男もいた。自分の着物に手を差し入れて、もぞもぞと動かしている女もいた。
ぎょっとして、一瞬力が抜けた。それと同時に彼のものが、一番深いところをえぐった。

「ああっ……!」

思わず声が漏れ、体が弓なりに反ってしまう。見て見ぬふりをしていた快感が噴き出して、体を塗りつぶしていく。
 

涼太の汗がぽたぽたと、彼女の背中に垂れる。
彼はおもむろに咲の身体を抱き寄せた。胸やおなかを撫でまわしたかと思うと、人差し指を彼女の唇に差し入れてしゃぶらせた。

熱気で二人の身体が溶けて、混ざり合っていくような気がした。べとべとの肌が吸い付きあって、全身でキスをしているようだった。

「咲……愛してる……っ」

咲はただただ涼太に身をゆだねて、耳元で囁かれる愛の言葉にわずかに頷き返すことしかできなかった。

ーーー

涼太は、快楽と熱狂に我を忘れていた。咲の身体は火傷するほどに熱く、気を抜けばすぐにでも射精してしまいそうだった。

彼は、咲を見て興奮する男たちの表情に、内心鼻高々だった。それと同時に、彼らが嫉妬してこの体に手を出すことを想像して、勝手に苛立った。

涼太は絶頂の瞬間に、愛する妻の美しい身体と、それを我が物にする自分のたくましい肉体を、村人に、そして「霧山」の神に見せつけてやろうと考えた。


涼太がぐっとしゃがみ込む。つながったままの咲もつられて膝を曲げる。
突然の出来事に混乱した咲だったが、彼の両手が彼女の両足の膝の裏に差し込まれると、すべてを理解し、目を見開いて息をのんだ。

おねがい、やめて……!

ささやくような懇願は誰の耳に届くこともなく、咲は膝を持ち上げられ、観衆に向け、涼太のものをぐっぽりとくわえ込んだ股間を見せつけてしまった。

涼太の猛る肉棒が突き刺さる彼女の秘所からは、どちらのものともつかない液体が洪水のように流れ出ており、腰がぶつかり合うたびに周囲に飛び散った。


もはや、儀式などどうでもよかった。
涼太は、自分の中に脈打つマグマを一刻も早く咲の中に流し込みたくて、一層激しく腰を打ち付ける。

やめて、恥ずかしい……!

声を絞り出す咲の羞恥心は、最高潮に達していた。

視線が苦しくて、できることならこの場から逃げ出したいのに、彼のがっちりとした体による拘束がそれを許さない。両足を抱え上げられたまま、彼の肉棒をくわえ込む様を、村人全員に見られている。

心臓が痛いくらいに激しく脈打ち、汗が滝のように流れている。
しかし咲は、へその奥から体内に響く衝撃に、甘い痺れが混じっていることに気づいていた。

「咲……出すよ……!」

涼太はそう宣言すると、腰の動きを一層大きくした。
咲は最後の抵抗とばかりに、体をよじって彼の拘束から逃れようとしたが、彼はもう止まらなかった。

膨らみ切った彼のものが、これまで届いたことのない奥の奥まで何度も何度も貫いて、脳天まで快楽の電流が駆け巡る。咲の膝の先がぴん、と真上に伸びて、喉が反り返って、よだれを垂らしながら絶頂した。

ぎゅうっ、と締まった膣内が、絞るように律動した。

「あぁ……出る……!」
 
涼太がそう漏らした瞬間、彼の肉棒から熱い液体がほとばしった。
どくん、どくんと脈打って、咲の体内を満たしていった。
 
下腹部にじわりと広がる温かさが、儀式の終了を告げていた。

ーーー
 
涼太はぐったりとした咲の身体を支えながらやさしく腰をひいた。
すぽんと抜けると同時に、彼女の膣内から精液がどろりと流れ出て、地面に滴った。
涼太の腕の中で咲の身体はびくびくと、小刻みに痙攣していた。

村人たちから歓声が上がる。
涼太は荒い息を整えながら彼女を介抱した。

「咲……大丈夫……?」

 咲は焦点の定まらない目を彼に向けたが、何も答えずただ荒い呼吸を繰り返すだけだった。
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