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第八章 虎穴
9 麻痺 ※
しおりを挟む「おっ……お前!」
俺は思わず、ばんっと背中を跳ねさせた。
「てめっ、他の誰にそんなことしやがった!」
誰だ。
今度は誰が狙われた? 俺にとって《人質》になる可能性のある人間は限られている。家族か、親族か、友達か。あとは学校の先生とかか?
誰だってイヤだ。誰だって許せねえ。
ゆづきちゃんみたいな目に遭わせてたまるか。
そんなこと、ぜってえさせねえ!
「いい加減にしろ! 他の人まであんな目に遭わせたら、てめえ、ほんとに許さねえぞゴラァ!」
「ふふ。元気がいい」シルヴェストルが声をたてずに笑った。「そうそう、そういうのが好みなんだ。組み敷く相手は、生きがいいに限るからね」
「やっかましいわ! ……うわっ!」
叫んだ途端、下着ごとズボッとジーンズを脱がされた。
大柄な男の腰を足の間にねじ込まれていると、それだけでもう何もできなくなる。次の瞬間にはもう、俺は男として一番柔らかくて恥ずかしい、そして急所にあたるナイーブな場所を、何もかもこの怪物の目に晒されていた。
「あっ……あ、あ……やめ、ろっ!」
胸の傷と、乳首をねっとりと舐められる。
「くそっ……はなせよ、このやろ……っ」
どんなに暴れようともがいても、タオルが手首に食い込むだけだ。シルヴェストルは俺の上半身を思う存分弄んでいる。
「ひっ……」
かりっと首に牙を軽く立てられ、鋭い痛みが走って俺は体を跳ねさせた。
シルヴェストルは喉から鎖骨に舌を這わせ、脇を舐め上げたあと、次第しだいに下へ下へとおりていく。舌先が臍のまわりをぐるりとなぞり、臍の穴をさぐってまたその下へ。
「あ、……あっ」
「ヴァンピールの体液の影響を薄める薬は、まだ開発途中だと聞いているよ。いくら君でも、こうして愛撫され続けていれば、いずれは脳が侵されてくるさ」
「くそっ……てめ」
と、ざりりと男の唇が俺の下生えをまさぐった。両足を抑え込まれて、俺には為すすべもない。
やがて俺自身を握りこまれて、玉と裏筋をべろりと舐められた。
「あっ……!」
俺はびくんと背中をのけ反らせる。シルヴェストルはしつこいぐらいに俺のそれをじっくりと舐めていった。先端を舌先でつついたかと思うと、先っぽの形をじっくりとなぞるように愛撫していく。
俺の身体は俺の意思に反して、勝手にいちいちぴくぴく震えた。悔しくて堪らない。俺の身体なのに、ちっとも俺の言うことを聞かないんだ。
「ひううっ!」
やがてその口にずっぽりと俺自身を咥えられて、遂に情けない悲鳴が出た。
「さあ、そろそろいい反応をしだしたね」
俺自身のすぐそばで、シルヴェストルが満足げに囁いた。吐息が掛かるだけでもやばい。いちいち、じんじんと脳天を貫くような鋭い感覚が走る。脳の芯が次第に痺れてくるみたいだ。
「ほら……わかるかい? 君のモノが、美味しい雫を垂らし始めたよ」
「くう……っ」
俺はぎゅっと目をつぶった。
「あんな中途半端な薬ごときでヴァンピールの、しかも原初の血を持つ私の唾液にこれほど晒されて、無事でいられると思ってるのかい。そもそも薬でどうにかできるレベルではないんだよ。……諦めたまえ。今から後ろにもたっぷりと塗りこんであげるからね」
そう言ったと思ったら、シルヴェストルは俺の両膝を持ち上げた。尻が持ち上げられ、奥まった場所が全部男の目の前に広げられる。
「や、だ……! やめっ」
「ダメだよ。これが約束なんだからね。いい加減観念しなさい」
「うあっ……あ!」
ぐちゅりと穴を舐められる。
シルヴェストルは丹念に俺のその場所の皺を伸ばし、入り口をじっくりと拡げていく。耐え切れず、俺の太腿ががくがくと震え始めた。
「やだっ……あ、あ……っ」
ぬらぬらと温かく濡れた肉が俺のその場所を蹂躙している。人間のそれとは違うからなのか、腹のずっと奥の方に先が届くのが分かった。
(……変だ)
変だ、俺。こいつに舐められた場所が全部、だんだんと痺れ始めている。何かが肌から染みこんで、体中の感覚を呼び覚まそうとしている。
やがて男の舌の先端が、感じやすいその場所を探し当てた。
「ひうっ!」
俺の腰が勝手に跳ねる。
「あはあっ……あうんっ」
そんなこと、したくねえのに。でも、勝手に腰がびくびく動いてしまうんだ。まるでその先を強請るみたいに。
「うん、ここだね。なるほどなるほど」
満足げな男の声がした。でも俺は、すでにその声を遠くで聞き始めていた。
一度熱い舌がぬるりと退いていき、今度は長い指が無遠慮に突きこまれてくる。
「ああ……っ!」
「すぐに二本も飲み込んだね。すぐに三本もいけそうだ」
「うあ……っ、あ、ああ……っ」
やだ。
もういやだ。
これ以上我慢できない。
はやく。
早く来て。
「怜二いっ……!」
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