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「ひいっ……や、だめ、そこぉ……らめえっ」

 ああ。マンガとかでよくあるよな。幼女みたいな顔した女が舌ったらずに言うアレ。「うっわ、あざてぇ」とか思ってた自分を殴りてえ。
 いや無理だもん!
 こんなんちゃんとしゃべれるわけねーっしょ!

 皇子は「例のアソコ」を見つけてから、執拗なほどそこばかり指先で攻めてくる。俺は恥ずかしいぐらいあはんあはんて変な声出して、「らめえ」の連発。
 ああもう。穴があったら入りてえ。
 っていま穴に指入れられてんのは俺の方か。うわあ!
 アホなことを考えてるうちにも、皇子の指は俺の内壁をぐぽぐぽ広げ、敏感なそこをぐりぐり押し続ける。

「いや、あはっ……あ、ああっ、も、やああっ」

 イッちまう。こんなんされたら、またイッちゃうからあ!
 さっきは一緒にイッたけど、俺ばっか先にイくのはいやじゃん。
 と、いきなり尻への圧力が失われた。

「ふあ……?」

 皇子が指を抜き去ったんだとやっとわかる。
 さっきまでいっぱいだった場所が急に虚しい空間に変わったのがわかって、なんか物足りなくなる。
 もうトロトロになった脳じゃよくわかんないけど、見上げたら皇子の目がさっきよりずっと熱く燃えたみたいになって俺を見つめていた。吐息も熱くて荒い。

「健人……。そろそろ、いいか?」
「あ、え……」

 いいかって、つまりアレがいいかってことよね。
 ううう。ほんとはまだ怖いけど……。
 さっきから俺の腰の左側に感じる硬く張り詰めたモノのことを全無視とかできねえよ。皇子、こんな長い時間ちゃんと耐えてんの偉すぎるし。
 頭がふわふわしてて、あんまり考えられない。
 でも、息をはずませながらゆっくりとうなずいた。

「ん……」

 ここで拒否る道理はねえ。
 皇子がまた、俺の頬にちゅっとキスを落として身を起こした。

「最初は後ろからの方がいいらしいが。そうしようか?」
「んっ……そ、そーか、な……」

 本当は皇子の顔、見ていたい。でも、しんどいのも勘弁。挿れにくくてこいつが困るのもイヤだ。
 皇子はにこっと笑って、俺の体をうつぶせにした。ぺりっと音がしたのは、多分ゴムの袋を開けたからだろう。手早い。ていうか、どこでそんなん練習してきたんだこいつ。

「もう少し、腰を上げてくれないか」
「あ、うん……」

 どきどき。どきどき。
 心臓がぽーんて口から飛び出そう。
 ひええ。俺、遂に……??
 とかなんとか思ってるうちに、ぐっと熱くて硬いもんが俺のそこに押し当てられるのを感じた。

(うあっ……!)

 ぬくっ、とそれが俺の中に挿入はいってくる。
 うあ、でかい。指なんか比べもんになんねえ、なにコレ。

「ひいっ……い」
「くっ……少し、力を抜いてくれ」
「む、無理いいっ……」

 シーツを掻きむしるみたいにして、体がついつい本能的に皇子のそれから逃げる方へ動いてしまう。でも、がしっと腰をつかまれてそれは叶わなかった。

「ゆっくりやる。しばらくこのまま止まっているから、なるべく落ち着いて息を吐いて……呼吸を、整えて」
「んんっ……はあ、はあ……っ」

 そう言われたからって、すぐにできれば苦労はしねえ。でも、皇子の声もだいぶつらそうで、やっぱり応えてあげたいって思っちゃうし。
 そこからまたかなり長いこと、俺たちはそのままの体勢でいた。
 皇子、すげえ耐久力。さすがは皇子、ってかもと騎士団員。

「はあっ、はあ……」
「くっ……」

 お互いの荒い吐息だけが寝室に響いている。
 そのうちやっと少し、自分の中に迎え入れている皇子のモノと自分の体が馴染んできたような感じになってきた。

「はあ……はあ……お、おうじっ……」
「ん?」
「そ、そろそろ……いい、よ」
「いや、しかし」
「いいからっ。う、動けって」

 いつまでもそのままじゃ、あんた、あんまりつれえだろうが。
 それでも皇子は動かなかった。そんだけ辛くても、やっぱり我慢してくれている。さすがは皇子。忍耐力がパねえ。
 俺はぐっと腰を上げ、両腕をベッドにつっぱった。
 ぐぐぐ、と腰を後ろへ突き出していく。つまり、自分で皇子のモノを自分の中に迎え入れる形で。

「くううっ……」
「健人──」

 うう、やっぱつらい。
 でも、どうしてもやり遂げてあげたかった。
 思わず皇子が俺の腰をつかんで止めようとしたのを、「いいから!」と叱咤する。

「いいからっ。早く……っ」
「しかし、健人」
「はやくっ。……はやく、お、俺の……こと」

「あんたのもんにして」っていう最後の言葉を、どうにかこうにか絞り出す。
 途端、ガッと腰をひっつかまれた。

「はうっ……!?」

 ズガン、とかズゴン、とか。そんなイメージ。
 俺の腹の中に、ぶっとい熱棒がぶっささってきて、奥の奥をみちっと突いた。

「ひあっ……あああ!」

 ぴゅっと少しだけ射精してしまう。
 先っぽから、とろとろとだらしない雫が落ちていく。
 ああ、恥ずっ。でもどうにかそこで堪えた。

「ああ……あ、ああ……っ」

 俺の内側のひだがぜんぶ、ゆるゆる蠢いて皇子を味わっている。それをぜんぶ味わってなめ尽くすみたいに。それがダイレクトに俺にもわかる。
 なんだこれ。
 なんだよこれ。

 へん。
 俺、変になるうっ……!
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