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「うあ、やば……っ」
「大丈夫か?」

 思っていた以上に足にきてる。
 キスだけでこんなふらふらになってるのは俺だけで、皇子は別に平気そうだ。それもまためちゃくちゃ恥ずい。
 皇子はまったく気にしない様子で、むしろ優しく俺の手をとってゆっくりと寝室に連れていってくれた。
 さっき見たでかいベッドの縁に座らされ、そのまままた深いキス。
 今度はちょっと荒っぽくて、噛みつくみたいな感じのやつ。

「んふっ……ん、んううっ」

 求められてる、ってこんな感じなのかな。でもちょっと怖い。全部飲み込まれてしまいそうで。
 こっちは俺の口の中で暴れまわる皇子の舌に応えるだけで精一杯だ。息すらうまくできない。気が遠くなりそう。
 皇子と俺の唇の間で、やらしい音がいっぱい生まれて耳を犯す。なんかもう、それだけで変になりそうになる。

「ふあっ……!」

 じゅっと音をたてて首筋を吸われ、また腰が跳ねた。吸い方がきつくて、ぴりっと痛い。きっとこれ、痕がついてる。そのままローブのあわせのところをゆっくり開かれながら、鎖骨のへんや胸のほうへと口づけが下りていく。
 それと同時に、皇子の手が俺の腰のあたりから太腿にかけてをゆっくりと撫でおろしていく。

「あ、……あ」

 さっきからとっくに熱が集まっていた場所に、さらに欲望の塊が凝縮していく。
 たまんねえ。触りてえっ。
 
「ひゃうっ!」

 皇子の手がローブの裾をゆるやかに割って、直接太腿に触れただけで、変な声が出ちゃった。皇子の手がぴたりと止まる。

「……大丈夫か? 健人」
「う、……ふう」

 うまく答えられなくて、こくこくうなずいて見せるしかできない。
 ああ、足の間のもんが切ねえ。どんどん切なくなっていく。俺だってひとりでシたことぐらい何回もあるけど、こんなになっても触らずにいるのって結構つれえ。いつもだったらエロい動画かなんかのお世話になって、さっさとヌいてるとこだ。でも、皇子の目の前でそこをしごきたくねえって思っちゃうし。
 と、不意に乳首にちゅううっと吸い付かれた。

「んあうっ!? ちょ、皇子……って、うひゃっうぎゃはははは!」

 相手が女の子だったら是非攻めたい場所だろうけど、いかんせん俺にとって、そこはひたすらくすぐったいだけだった。
 ついバカ笑いしてしまう。
 皇子が微妙な顔をして見上げてきて、ちょっとだけ「しまった」と思う。

「ごっ、ごめ……。でもっ、くすぐってえもんはしょうがねえからあっ!」
「……そうか」

 皇子は苦笑してそこから口を離した。最後に一回だけ、ぺろりと舐められる。なんか名残惜しそうだ。「そのうちまた開発してやろう」とか思ってそうだな、こいつ。皇子の唾液に濡れたそこが、ひやっと冷気を感じて冷たくなった。背筋にぞくりと、悪寒とはちがうものが走る。

「んあ……っ」
「だんだん慣れるそうだけどな。慣れれば気持ちがいいらしいぞ。ここだけで達することができる者もいるらしい」
「そ……そーなの? ていうか」

 俺はそこで、やっとちょっと皇子の体を押しやって座り直した。

「その……基本的な質問、していい? 今さらなんだけどさ」
「なんだ?」
「そ、その……」

 いざ言うとなると、ちょっと尻込みしてしまう。こんなん、人に訊くのも初めてだし。

「つまり……。俺って要するに……なの?」
「『そっち側』とは?」
「だーからっ。ほら、あるでしょ? 男と女だったらどっち側かは最初から悩まねえだろうけどさっ。俺たちはその……そうじゃねえし」
「……ああ」

 皇子、やっと理解した顔になった。

「つまり、『どちらがどちらを抱くのか』という話か?」
「まあ……そっスね」

 身も蓋もねえな。まあそうなんだけど。

「ふむ」皇子はほんのちょっとだけ考える顔になった。「そなたは、私を抱く側になりたいと思うのか?」
「え、え~っと……。それは、ねえかな」

 うん。正直、それはねえ。
 ここだけの話、自分の部屋で時だって、皇子を抱く妄想をしてやってたわけじゃねえし。……むしろ、ここ最近はずっとその逆だった。
 具体的に何をどうするかまではあんまりわからねえけど、大抵はその……皇子が俺を抱いてるイメージでずっとやってたから。
 だから俺は多分……になりたいと思ってるんだと思う。基本的に。
 あっちの世界で女の子になっちゃってたから、ってのも原因としては大きいのかもしんねえけど。
 皇子はにっこり笑った。

「うん。そうではないかと思っていた。……よかったよ、正直」
「ん?」
「なぜなら、私もそうだからだ。そなたに抱かれる自分は想像がつかない。むしろこうやって──」
「ひゃうんっ!」

 首のところをちゅうっと吸い上げられ、ローブを下から押し上げていた俺のソレをゆるっと扱かれて変な声が出た。
 くっそう、恥ずいって!

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