63 / 72
第12章 紀伊のローレライと裏九鬼船団。新宮城のあらたなる丹鶴姫
南海のローレライ
しおりを挟む
この岩はかつて、弘法大師・空海がこの地に住まう天邪鬼と競って建てたものという伝説がある。
夜明けを迎えるまでの間に海岸から沖の島へと橋を架けられるかという賭けだったが、凄まじい法力で岩の杭を立てていく空海。
敗北を悟った天邪鬼はそこで夜明けを示す鶏の鳴き声を真似、制限時間と誤認した空海が途中で工事を止めたためその岩杭だけが残ったというものだ。
そういえば以前に裏葛城修験の若い行者たちと登った不動山にも、役小角が一言主神に命じて大峰山までの橋を架けようとした伝承があるのを聞いた。
紀伊では巨岩についての信仰と言い伝えにこうしたパターンがあるみたいで、とても興味深い……と感じ入っていたその時。
「出てきやった……!佐門、由良さん、頼むで!」
九鬼さんが指し示したその先、橋杭岩の上に人影が立っている。
髪の長い、女の姿だ。
霧の狭間に浮かび上がるだけで全貌は見えないはずだけど、不思議なことにそれがとても美しいものだと感じている自分がいた。
その女は岩の上から、おいで、おいで、と手招きをしている。
すると船が、ぐぐーっと橋杭岩の方へと引っ張られるように向きを変えた。
舌打ちして舵をめいっぱい右へと切っていく九鬼さん。が、何か見えない力に捕らえられたかのように、じりじりと船は岩へと吸い寄せられていく。
「あれが串本の海のあやかし、"いしなげんじょ"。沖をゆく船を招き寄せて沈めるさかい、"紀伊のローレライ"と呼ばれることもあるんよ。そして……」
ユラさんが説明しかけてくれた時、風を切るような音がして前方の海面にボチャッと水柱が立った。
続けて2つ、3つと音がして、その都度水柱は船へと近付いてくる。
「…こうして石を投げて船に穴を開けてしまうんよ。今はまだ間合いをはかってる。けどもう危ないさかい先生のこと頼みます、護法さん」
「もちろん!」
「受けたもう!」
コロちゃんとマロくんがぴょいっ、とわたしの肩に乗り、あやかしからの攻撃を警戒してくれている。
なるほど、それで"いしなげんじょ"というのか。
その間にも石礫は次々に打ち込まれ、ほどなく船のすぐ近くに水柱が上がるようになった。
大きさを増した風切り音に首をすくめたとき、いつの間にか長弓を手にしたオサカベさんが船縁に立ち、今しも一矢を放とうと狙いすましているところだった。
「オン――アミリタテイセイ カラウン!」
霊矢は霧を割いて真っ直ぐに飛翔し、いしなげんじょの立つ岩杭のひとつに過たず突き立った。
一瞬紫電のような光が霧に反射し、あやかしが石を投げる風切り音はぴたりと止まった。
「封――」
オサカベさんが弓の構えを解く。
が、その時。
ガツン、と船体に何かが当たる音がして、クルーザーが大きく揺れた。
次の瞬間、おびただしい数の石礫が次々に降り注いでくる。
霧の向こうを見やると、40本ほどある橋杭岩の上それぞれに女の姿のあやかし達が立っていた。
いしなげんじょらはこの船目掛けて、今まさに凄まじい勢いで石を投げつけていた。
「なんてよ!」
九鬼さんが叫び、船の速度をさらに上げようとした。
が、見えない引力のようなものに捕まったのか、船足は遅々として伸びることはない。
「オサカベ!」
ユラさんが檜扇の霊刃で飛来する石礫を払い、コロちゃんとマロくんも次々にそれらを跳ね返している。
わたしも檜扇を振るって石を弾こうとしたけど、高速で打ち込まれるそれらからは自分の身を守るので精一杯だ。
「あかん、矢を番える間があらへん!」
石礫の集中砲火をかわしながら反撃を試みていたオサカベさんだったが、一矢放つ間にその数十倍の攻撃が飛んでくる。なんとかさらに数本の岩杭を封じてはいるが、やがて弓構えをとることすらままならなくなっていった。
そして徐々に、船体へと直撃する石も数を増していく。
「九鬼さあん!まっと船足上がらんかいー!?」
「あかな!こえで全速や!」
しかしあやかし達の引力に絡め取られた船は喘ぎながらも進むことをやめず、オサカベさんもほんのわずかな隙を捉えては射を放つ。
と、その時、進行方向の先で大きく霧の塊が動いたような気がした。
続いて重く低く、ボォォォォォウッ、と汽笛の音が鳴り響いた。
妖気が充満する結界内の霧を割いて、大きな白い船がその舳先を現した。
3本のマスト、装甲で鎧われたかのような硬質な船体、舷側に穿たれたいくつもの砲口。
わたしはその船の名を、歴史書を通じて知っていた。
「――エルトゥールル……!」
それは紛れもなく、オスマン帝国海軍のフリゲート艦、エルトゥールル号の姿だった。
紀伊大島沖で海に消えたあの艦が、いしなげんじょ達の攻撃からわたしたちをかばうように割って入った。
あやかし達は突如出現した軍艦に、石礫の矛先を向け直した。
しかし雨霰と浴びせる石の弾丸もフリゲートの装甲にはまったく効かず、エルトゥールル号はあたかも悠々と海上に聳える城のようだ。
「今のうちに!オン――!」
こちらへの攻撃が止まった瞬間を逃さず、オサカベさんが間髪入れず霊矢を連射していく。
端から順に岩杭へと矢が突き立ち、紫電の光とともに次々とあやかし達は封じられていった。
最後の岩に矢が放たれた直後、クルーザーはぐんっと急加速してあやうく後ろへ投げ出されそうになる。
みるみるスピードを上げた船は、長大なフリゲートの艦体に沿って走った。
すれ違うその艦を見上げると、舷側にびっしりと精悍な髭面の士官たちが居並んでいるのが見えた。
「エルトゥールルの英霊たち……!」
ユラさんが、感極まったように呟く。
艦上の士官たちは一斉に抜剣し、体前に掲げる礼でわたしたちを見送ってくれた。
「おおきに!ありがとうー!」
わたしたちは口々に手を振って叫び、九鬼さんに倣って右手を左胸に添える礼を返した。
遠ざかっていくエルトゥールル号は、きっとずっと紀伊の海を護り続けてくれていたのだろう。
わたしたちの進行方向には、再び青い空が広がっていた。
夜明けを迎えるまでの間に海岸から沖の島へと橋を架けられるかという賭けだったが、凄まじい法力で岩の杭を立てていく空海。
敗北を悟った天邪鬼はそこで夜明けを示す鶏の鳴き声を真似、制限時間と誤認した空海が途中で工事を止めたためその岩杭だけが残ったというものだ。
そういえば以前に裏葛城修験の若い行者たちと登った不動山にも、役小角が一言主神に命じて大峰山までの橋を架けようとした伝承があるのを聞いた。
紀伊では巨岩についての信仰と言い伝えにこうしたパターンがあるみたいで、とても興味深い……と感じ入っていたその時。
「出てきやった……!佐門、由良さん、頼むで!」
九鬼さんが指し示したその先、橋杭岩の上に人影が立っている。
髪の長い、女の姿だ。
霧の狭間に浮かび上がるだけで全貌は見えないはずだけど、不思議なことにそれがとても美しいものだと感じている自分がいた。
その女は岩の上から、おいで、おいで、と手招きをしている。
すると船が、ぐぐーっと橋杭岩の方へと引っ張られるように向きを変えた。
舌打ちして舵をめいっぱい右へと切っていく九鬼さん。が、何か見えない力に捕らえられたかのように、じりじりと船は岩へと吸い寄せられていく。
「あれが串本の海のあやかし、"いしなげんじょ"。沖をゆく船を招き寄せて沈めるさかい、"紀伊のローレライ"と呼ばれることもあるんよ。そして……」
ユラさんが説明しかけてくれた時、風を切るような音がして前方の海面にボチャッと水柱が立った。
続けて2つ、3つと音がして、その都度水柱は船へと近付いてくる。
「…こうして石を投げて船に穴を開けてしまうんよ。今はまだ間合いをはかってる。けどもう危ないさかい先生のこと頼みます、護法さん」
「もちろん!」
「受けたもう!」
コロちゃんとマロくんがぴょいっ、とわたしの肩に乗り、あやかしからの攻撃を警戒してくれている。
なるほど、それで"いしなげんじょ"というのか。
その間にも石礫は次々に打ち込まれ、ほどなく船のすぐ近くに水柱が上がるようになった。
大きさを増した風切り音に首をすくめたとき、いつの間にか長弓を手にしたオサカベさんが船縁に立ち、今しも一矢を放とうと狙いすましているところだった。
「オン――アミリタテイセイ カラウン!」
霊矢は霧を割いて真っ直ぐに飛翔し、いしなげんじょの立つ岩杭のひとつに過たず突き立った。
一瞬紫電のような光が霧に反射し、あやかしが石を投げる風切り音はぴたりと止まった。
「封――」
オサカベさんが弓の構えを解く。
が、その時。
ガツン、と船体に何かが当たる音がして、クルーザーが大きく揺れた。
次の瞬間、おびただしい数の石礫が次々に降り注いでくる。
霧の向こうを見やると、40本ほどある橋杭岩の上それぞれに女の姿のあやかし達が立っていた。
いしなげんじょらはこの船目掛けて、今まさに凄まじい勢いで石を投げつけていた。
「なんてよ!」
九鬼さんが叫び、船の速度をさらに上げようとした。
が、見えない引力のようなものに捕まったのか、船足は遅々として伸びることはない。
「オサカベ!」
ユラさんが檜扇の霊刃で飛来する石礫を払い、コロちゃんとマロくんも次々にそれらを跳ね返している。
わたしも檜扇を振るって石を弾こうとしたけど、高速で打ち込まれるそれらからは自分の身を守るので精一杯だ。
「あかん、矢を番える間があらへん!」
石礫の集中砲火をかわしながら反撃を試みていたオサカベさんだったが、一矢放つ間にその数十倍の攻撃が飛んでくる。なんとかさらに数本の岩杭を封じてはいるが、やがて弓構えをとることすらままならなくなっていった。
そして徐々に、船体へと直撃する石も数を増していく。
「九鬼さあん!まっと船足上がらんかいー!?」
「あかな!こえで全速や!」
しかしあやかし達の引力に絡め取られた船は喘ぎながらも進むことをやめず、オサカベさんもほんのわずかな隙を捉えては射を放つ。
と、その時、進行方向の先で大きく霧の塊が動いたような気がした。
続いて重く低く、ボォォォォォウッ、と汽笛の音が鳴り響いた。
妖気が充満する結界内の霧を割いて、大きな白い船がその舳先を現した。
3本のマスト、装甲で鎧われたかのような硬質な船体、舷側に穿たれたいくつもの砲口。
わたしはその船の名を、歴史書を通じて知っていた。
「――エルトゥールル……!」
それは紛れもなく、オスマン帝国海軍のフリゲート艦、エルトゥールル号の姿だった。
紀伊大島沖で海に消えたあの艦が、いしなげんじょ達の攻撃からわたしたちをかばうように割って入った。
あやかし達は突如出現した軍艦に、石礫の矛先を向け直した。
しかし雨霰と浴びせる石の弾丸もフリゲートの装甲にはまったく効かず、エルトゥールル号はあたかも悠々と海上に聳える城のようだ。
「今のうちに!オン――!」
こちらへの攻撃が止まった瞬間を逃さず、オサカベさんが間髪入れず霊矢を連射していく。
端から順に岩杭へと矢が突き立ち、紫電の光とともに次々とあやかし達は封じられていった。
最後の岩に矢が放たれた直後、クルーザーはぐんっと急加速してあやうく後ろへ投げ出されそうになる。
みるみるスピードを上げた船は、長大なフリゲートの艦体に沿って走った。
すれ違うその艦を見上げると、舷側にびっしりと精悍な髭面の士官たちが居並んでいるのが見えた。
「エルトゥールルの英霊たち……!」
ユラさんが、感極まったように呟く。
艦上の士官たちは一斉に抜剣し、体前に掲げる礼でわたしたちを見送ってくれた。
「おおきに!ありがとうー!」
わたしたちは口々に手を振って叫び、九鬼さんに倣って右手を左胸に添える礼を返した。
遠ざかっていくエルトゥールル号は、きっとずっと紀伊の海を護り続けてくれていたのだろう。
わたしたちの進行方向には、再び青い空が広がっていた。
0
お気に入りに追加
61
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
〖完結〗私が死ねばいいのですね。
藍川みいな
恋愛
侯爵令嬢に生まれた、クレア・コール。
両親が亡くなり、叔父の養子になった。叔父のカーターは、クレアを使用人のように使い、気に入らないと殴りつける。
それでも懸命に生きていたが、ある日濡れ衣を着せられ連行される。
冤罪で地下牢に入れられたクレアを、この国を影で牛耳るデリード公爵が訪ねて来て愛人になれと言って来た。
クレアは愛するホルス王子をずっと待っていた。彼以外のものになる気はない。愛人にはならないと断ったが、デリード公爵は諦めるつもりはなかった。処刑される前日にまた来ると言い残し、デリード公爵は去って行く。
そのことを知ったカーターは、クレアに毒を渡し、死んでくれと頼んで来た。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全21話で完結になります。
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】
小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。
他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。
それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。
友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。
レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。
そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。
レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる