転生腹黒貴族の推し活

叶伴kyotomo

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182 推しと帝国のドラゴン

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そこに、小柄で細身の青年が、騎士に連れられてこちらにやって来た。

「初めまして。私は帝国でドラゴンの管理を任されております、カグラ・ソリュートと申します。伯爵位を頂いておりますが、平民の出ですので、失礼がありましたら申し訳ありません」

おお、この人が!!

ボブっぽい黒髪と、瞳は黒と緑が混ざったキレイな色をしていて、少しそばかすがあるが健康的で可愛らしい青年だ。

想像していたより随分と若く、可愛いね。

もしかしてドラゴンに消された伯爵って、彼にも手を出そうとしてたんじゃ無かろうか。

そんな下世話な事を考えつつ、俺達もそれぞれ自己紹介をした。

「ギル様とテオドール殿下には、直々にお礼を申し上げなければと思っていたのです」

「お礼ですか?」

お礼を言われる様な事って、何かしたっけ?

俺とテオが不思議に思っていると、カグラは実はと話し始める。

「レッドドラゴンが帝国外れの岩山に潜伏していた時に、我が国のドラゴンであるモモルルも気が付いておりました。皇帝閣下へ進言し、もしもの事があった時は、モモルルが全力で対応する事になっていたのです」

帝国のドラゴンって、モモルルって言うのか…。

可愛い名前だなと思いつつ、もしもの時とはと聞く。

「あの時、レッドドラゴンは産気づいておられたのでしょう?そしてとても危険な状態であった。もしも出産が無事では無く、最悪の事態が起きた時、番であるドラゴンは発狂して暴れ回った事でしょう。その時は我が国もトーレ王国も大変危険だったはずです」

おおっと、思った以上にもしもの時だった!

あの時は俺が会話が出来た事と、テオが持っていたレッドドラゴンリーフで何とかなったけど、確かにあの時のドラゴンの殺気には凄いモノを感じたな。

出産が上手く行かずに母体ごと最悪の事態になっていたら、大変なことになってたかも…。

番になるために、遥々遠くまで来たんだからね。

「お二人がドラゴンの元へ向かったとモモルルから聞いた時は、私とモモルルも近くまで行っていたのです。もしもの時は共倒れになっても構わないと覚悟しておりましたが…」

その言葉に、周りの貴族や騎士達も驚いていた。

どうやら一握りの人間しか聞かされて無かったみたい。

「私は平民でありながら帝国で爵位まで頂き、モモルルと一緒に良い生活をさせて頂いております。レッドドラゴンの強さは計り知れないですが、グリーンドラゴンも心が通じた人間と共になら、力を最大限に発揮出来るのです。その時はやはり少し周りを巻き込んでしまいますので、私とモモルルだけが乗り込む予定でした」

えええ~!!!

こんなに小柄で可愛らしい青年が、そこまで覚悟してたのか!!

いや~その心意気、気に入ったよ。

顔には出さずフンスフンスしていると、テオはそうかと頷いていた。

「あの時、実はドンガルバと仲間達も麓で待機していたのだ。もしもの時はギルだけでも逃がそうと思ってな。グリーンドラゴンの待機も知らされていた」

そうだったの!?

そんな状態で俺とテオを行かせてくれた帝国には感謝だな…。

まあ、あの状態なら誰が行っても危険だったから、国を代表してテオが行く事になったんだろうけど。

「そんな危険な状態でギルを連れて行ってしまい、ジャメル家の方々には申し訳無い事をした」

テオはそう言い父様達に頭を下げる。

しかし、父様もホセ兄様もケロッとしていた。

「いえ、その話ならレッドドラゴンに聞いておりましたので」

「そう言えば、殿下やギルには話していませんでしたね。申し訳ありません」

もー!!

レッドドラゴン達は、父様達に話をしておけば大丈夫だろって思ってるんでしょ!?

その通りだから何も言えない…。

俺も勝手に連れ帰ったくせに、父様達に放り投げてるもんね。

そりゃ父様達に懐くよねぇ。

そう反省していると、カグラは驚いた顔をしている。

「あの、ギル様がドラゴンと会話が出来るとは聞いておりますが、もしやご家族もお話が出来るのですか?」

んん?

もしかして、カグラの家族はそうでも無いって事??

「ええ。父と兄二人もドラゴン達と会話が出来ますが…」

「ええ!?あ、大声を出してすみません。驚いてしまって…。私の家族は特にドラゴンと会話は出来ませんし、エルフの国のドラゴンの管理者も同じだと聞き及んでおります。ご家族が皆様会話が出来るとは…」

え、そうなの!?

驚愕の事実を知らされ、父様達と顔を見合わせてしまう。

テオもそう言えばとそうだなと、今更ながら気が付いた様だ。

「ジャメル家が特殊なのだろうか?」

「うーん。父様達は会った時から会話が出来ていましたし…」

俺はてっきり、血縁者は会話が出来るもんだと思ってたよ。

周りも確かにと今更ながら言い出してるけど、父様達とドラゴンの組み合わせが似合い過ぎていて、違和感が無かったみたい。

「ええと、話が飛んでしまいましたね。あの時、ギル様がお話が出来たからこそ、レッドドラゴンの暴走が防げたのです。話が出来なければ交渉も出来ませんからね。おかげで帝国にもトーレ王国にも被害は及びませんでした」

おお、それのお礼でしたか。

でも、勝手にレッドドラゴンを連れ帰ったし、レッドドラゴンリーフの栽培も成功しちゃってて良いのかな。

そんな空気を少~し感じてたんだよねぇ。

そんな事を考えていると、カグラは柔らかく微笑んだ。

「ドラゴンは自分で住処を決めますから、ギル様達の所へ向かった事は誰にも責められません。少しお話をお聞きしたのですが、こちらについて行くと騒ぐ程、皆様に懐いているのでしょう?引き離す様な事をしたら、それこそ我が国以上の怒りを買ってしまいますよ」

おお!!

さすが帝国のドラゴンの管理者!!

気に入りましたぞぉ~!!








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