144 / 226
140 推し達のお披露目
しおりを挟むテオと教会に着くと、ジェレミー兄様達も既に到着していた。
今日は教会で結婚の宣言をして、結婚証の作成をしたらそのままジャメルの屋敷でパーティーとなっている。
その間に、領民との触れ合いも計画してあるので、領民や平民達には一気に広がるだろうと予測している。
「良い事が続くな。花祭りも随分と盛り上がって、今後が楽しみだ」
「お祖母様の好きだったバラも沢山咲いたんですよ。是非お屋敷に飾ってください」
感慨深そうに話すお祖父様にバラを見せると、お祖父様はとても懐かしそうな、優しい顔になる。
教会には中も外も花々が飾られ、こちらも結婚式後の祭りの間は、自由に出入り出来る。
「ホセ様~!フロル様~!」
「おめでとうございま~す!!」
外からお祝いの声が聞こえ始め、やぐらの到着を迎えた。
父様が一足先に降りて来ると、ホセ兄様は恭しくフロル様をエスコートしてやぐらから降り立った。
「キューーーー!」
教会の上では、カーリンが楽しそうに旋回しながら飛び、ファビとキャルは花びらを振り撒いて、満足そうに森へ帰って行く。
「凄い!ドラゴンだ!!」
「花びらだわ!綺麗ねぇ~」
「ドラゴンもお祝いしてるんだね!」
シャワーも販売し始めたから、フラワーシャワーとして広めるのも良さそうだと、周りの歓声を聞きながら思う。
教会の鐘が鳴り響き、入り口前で二人は花束を受け取る。
花祭りの花を集めた、見事な花束だ。
ホセ兄様達は見物客に手を振りながら、教会の中へ入って来た。
俺達が拍手で迎える中、教会の扉は閉じられる。
外では、幸せのお裾分けとして小さな花束が希望者に配られる事になっている。
花を束ねるのリボンにも花祭りと二人の結婚のお祝いが刺繍され、良いアピールになるだろう。
フロル様とホセ兄様は腕を組みながら、照れ臭そうに、それでも堂々とスイレン神の像の前へ歩いて行く。
ホセ兄様はいつも以上にカッコ良く決まってるし、フロル様は何処となく色気が増した気がする。
いや、絶対兄様手を出してるな。
途中でセルジオ様とシェル様がフロル様と見つめ合い、セルジオ様の目が潤んでいるのをひっそりと見ていた。
今はジェレミー兄様にゾッコンなセルジオ様も、なんだかんだ言って、弟が大好きなお兄ちゃんだからね。
ホセ兄様がフロル様をジャメルに連れ帰っても、自分がジェレミー兄様を王都に連れて行った手前、何も言えなかったみたいだし。
まぁ、お互い新しい家庭を築いても、仲の良い兄弟の絆は無くなったりしないさ。
俺達みたいにね!
シェル様も、長きに渡り兄弟を立派に育てた気持ちが溢れているのだろう。
とても感慨深い顔で二人を見ており、それを見た父様もとても優しい顔をしている。
父様待っててね。
俺もすぐテオと結婚するからね!!
そんな気持ちでテオを見ると、テオも優しい笑顔を俺に向けてくれる。
ホセ兄様達に先に結婚してもらっても良いかと聞いた時、テオはすぐに了承してくれた。
やっぱり帝国で色々起きてるから、それが無事に解決してから結婚と考えていた様で、そしたらホセ兄様達を待たせてしまうなと思ってたんだって。
後はホセ兄様を狙う王都の貴族の話もしたから、すぐに結婚して公表した方が良いだろうと後押しもしてくれた。
なので花祭りを開催するにあたり、平民向けになる初日に結婚式を強行しちゃおうって話になったのだ。
花祭りも盛り上がるし、平民にはお祝いを配ってイメージアップに繋がるし、王都では今頃号外をが出ている手筈だから、こちらに遊びに来る貴族達にも周知しているはず。
そこでシンプラー家が動こうモノなら、白い目で見られるのは明白だ。
こちらでもお祝いムード全開で行くから、もし事を起こせば白い目で見られるだろうけど、どう動くかな。
アンルカ嬢は金で二、三人の素人音楽隊を連れて来るみたいだけど、披露会場ではホセ兄様とフロル様は夫婦として出席する。
実は結婚の話と一緒に、ホセ兄様に懸想する令嬢の存在も、こっそり名前を伏せてだが広げてあるんだよね。
ホセ兄様とフロル様の出会いをロマンチックに広めて、それに便乗する形でこんな令嬢が居るんですよって。
アンルカ嬢は三日に参加する予定のはずだし、明日はまだ貴族の馬車は通れない。
号外を見て明日に強行的に来るとは思えないが、もし乗合馬車で来たらすぐに連絡が来る。
その時は俺がしっかり対処するつもりだ。
ホセ兄様達は、ほら。
今日が初めての夜だからね!!
だから明日はホセ兄様達は表に出なくて良い様にしてある。
ジェレミー兄様とセルジオ様、父様やシェル様も馬車を出せるのは三日からだから、対応はこちらがする事になっている。
三日目なんか、二人ともとても良い顔で出て来るだろうから、そこに横恋慕なんて出来ない空気感を纏って来るはず。
明日はテオと姿を見せながらデートしつつ、話を広めておかなきゃね。
239
お気に入りに追加
1,141
あなたにおすすめの小説
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
転生令息の、のんびりまったりな日々
かもめ みい
BL
3歳の時に前世の記憶を思い出した僕の、まったりした日々のお話。
※ふんわり、緩やか設定な世界観です。男性が女性より多い世界となっております。なので同性愛は普通の世界です。不思議パワーで男性妊娠もあります。R15は保険です。
痛いのや暗いのはなるべく避けています。全体的にR15展開がある事すらお約束できません。男性妊娠のある世界観の為、ボーイズラブ作品とさせて頂いております。こちらはムーンライトノベル様にも投稿しておりますが、一部加筆修正しております。更新速度はまったりです。
※無断転載はおやめください。Repost is prohibited.
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
兄たちが弟を可愛がりすぎです~こんなに大きくなりました~
クロユキ
BL
ベルスタ王国に第五王子として転生した坂田春人は第五ウィル王子として城での生活をしていた。
いつものようにメイドのマリアに足のマッサージをして貰い、いつものように寝たはずなのに……目が覚めたら大きく成っていた。
本編の兄たちのお話しが違いますが、短編集として読んで下さい。
誤字に脱字が多い作品ですが、読んで貰えたら嬉しいです。
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
僕の兄は◯◯です。
山猫
BL
容姿端麗、才色兼備で周囲に愛される兄と、両親に出来損ない扱いされ、疫病除けだと存在を消された弟。
兄の監視役兼影のお守りとして両親に無理やり決定づけられた有名男子校でも、異性同性関係なく堕としていく兄を遠目から見守って(鼻ほじりながら)いた弟に、急な転機が。
「僕の弟を知らないか?」
「はい?」
これは王道BL街道を爆走中の兄を躱しつつ、時には巻き込まれ、時にはシリアス(?)になる弟の観察ストーリーである。
文章力ゼロの思いつきで更新しまくっているので、誤字脱字多し。広い心で閲覧推奨。
ちゃんとした小説を望まれる方は辞めた方が良いかも。
ちょっとした笑い、息抜きにBLを好む方向けです!
ーーーーーーーー✂︎
この作品は以前、エブリスタで連載していたものです。エブリスタの投稿システムに慣れることが出来ず、此方に移行しました。
今後、こちらで更新再開致しますのでエブリスタで見たことあるよ!って方は、今後ともよろしくお願い致します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる