転生腹黒貴族の推し活

叶伴kyotomo

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136 推しのお茶会の始まり

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「本日はようこそいらっしゃいました」

ジェレミー兄様の案内の声に続いて、令嬢令息やご夫人達がゾロゾロと揃い出す。

ハイリ嬢やセーラ嬢、カイリとフロル様。

そしてコンヌル家のニージ様、ヨンジ様も今回参加している。

リーカイ様もいらっしゃるし、本当に高位貴族勢揃いって感じだね。

他にも爵位関係無く集まっており、和やかな雰囲気だ。

嫌なヤツらは誘って無いから、ホセ兄様狙いの令嬢とかは来てないのだ。

来てたら来てたで、ちょっと罠仕掛けようと思ってたのに残念。

公爵家の方々は同じテーブルに座り、俺はハイリ嬢やセーラ嬢、カイリとフロル様の席にして貰った。

「皆様勢揃いですから、ちょっと緊張しますわね」

「ふふふ。だけどケーキが美味しそうで、ワクワクしてますわ」

ハイリ嬢やセーラ嬢の会話を皮切りに、俺達も社交を楽しむ事にした。

「シェル様もいらっしゃるんですか?」

「ええ。用事を済ませたらすぐに参加してくださるそうです」

ジェレミー兄様の話も盗み聞きしつつ、俺はジャメル領で行われる花祭りについてフロル様に聞く。

「フロル様。花祭りの準備は順調ですか?」

「ええ。ホセ様も特に張り切っていて、一週間程行う予定の中、前夜祭から初日、二日目、最終日は領民や平民向けにして、三日目から六日目までは貴族席も準備する事に決まったんだ。せっかくだから、民に先に楽しんで貰おうとホセ様が提案されたんだよ」

嬉しそうに話すフロル様に、周りも興味津々に話を聞く。

「私も参加させて頂きますわね。前夜祭と初日は屋台が多いと聞きましたわ。今、平民の方々には食べ歩きや屋台のご飯が流行ってるそうですから、とても良いアイデアですわね」

ハイリ嬢の言う通り、前夜祭と初日は屋台を多く出店する事になっている。

会場には多くのテーブルや椅子、立ち食い用のテーブルなどを設置して、周りの屋台で購入した食事を楽しめるスペースを広くとった。

もちろん花畑も通り道を広くして作ったので、三日目からは貴族が馬車で通りやすい様にしている。

お祭りなので、出し物も多く準備しており、初日と最終日は平民達が自由に歌やダンスに参加できる様になっている。

三日目からは別料金を払う必要がある貴族席を準備して、催し物が近くで見れる様にした。

そのお金は平民達に還元される様にしたし、寄付金みたいに発表する形式にしたので、こぞって金を出すだろうと踏んでいる。

「民が心から楽しめる様に、しっかりと線引きしたのは流石だね。もちろん先に入る事も出来るそうだし、その時は貴族扱いはされないって聞いたから、別の意味で楽しめるかもね」

「あら、お忍びでデートも人気になりそうですわね」

カイトとセーラ嬢が楽しそうにそう言うと、確かにとハイリ嬢も頷いていた。

それも狙いだったりするのだ。

やっぱり貴族って、デートも形式ばってるし、外で勝手は出来ないからこういった機会があっても良いと思うんだよね。

「貴族の馬車も通る道は決まっているから、ちょっとした見せ物になるだろうな。貴族の服装で王都での流行も分かるだろうから、お客様だけどちょっとしたゲストって言う感じが出るだろうから。民にも貴族にも刺激になるだろうね」

馬車も服装も、平民にとっては刺激的だろうし、貴族もここぞと言う感じで気合を入れるだろう。

王都で過ごす服装と、旅行先で過ごす服装。

女性は特に気を使うだろうし、旅先で持つ鞄も拘るらしいからね。

「王都では麦わらの帽子やツバの広い帽子はあまり好まれませんけど、避暑地では定番ですものね。そういった服装を楽しみたい令嬢も多いでしょうし、殿方もスラックスにシャツだけといった軽装を楽しむでしょうね。チンタック男爵家も一早くそう言った服飾品を売り出していましたから、ジャメル領での花祭りでは貴族の休暇スタイルが流行るかもしれませんね」

セーラ嬢の婚約者であるチンタック男爵家のミーク嬢には、花柄や優しく明るい色の商品を多く提案してある。

花祭りに、貴族令嬢令息が花柄の服や、花をイメージしている服を着ていたら洒落てるなと思って提案したんだけど、やはりミーク嬢の才能は素晴らしい。

ふんわりした花柄のワンピースドレスや、薄いピンクや黄色のシルクシャツは華やかだし上品で、貴族に大ウケだと言う。

これが平民にも流行して、花柄や柔らかい色の服を見て花祭りを連想してくれる様になれば、こっちのものだ。

ホクホクしながら花祭りに思いを馳せていると、カイトが少し言いにくそうに話し出す。

「…実は、少し嫌な話を聞いたんだ」

「嫌なとは?」

俺が促すと、カイトはフロル様を気遣う様に見た。

お、もしやホセ兄様関係の話かな?





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