転生腹黒貴族の推し活

叶伴kyotomo

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115 推しの結婚式の始まり

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教会に足を踏み入れると、王族や高位貴族達が勢揃いしていた。

レッドドラゴンリーフの功績をたたえる意味も込めて、挙式には国王夫妻も参加されている。

王太子殿下のオール殿下と婚約者であるリーカイ様も参加されており、国王夫妻はパーティーには参加しないが、オール殿下達はパーティーにも参加してくださるそうだ。

もちろんお祖父様も参加していて、隣にはナートラ先生とサーガルド伯爵がいる。

三大公爵家のドンク家とダイヤ家も勢揃いしており、なんとヨハンを後妻に迎え入れたデラス侯爵も参加していた。

ヨハンはいないみたいだけどね。

左右に座席が分かれているが、右側が王族や高位貴族、外国からの来賓席で、左側が家族と他の貴族に分かれている。

「我が国からも、私以外に何人か貴族が参加している様だな」

「うん。リーナイト公爵家は幅広く商売をなさっているから。テオの婚約者として挨拶しておかないとね」

チラリと見ると、帝国からの客人も数名見受けられる。

「帝国のガルドル伯爵だな。彼は帝国の服飾関係の商家だ。流行りの服や布を手広く取り扱っている。…従姉妹とは懇意であったが、例の事件後は縁を切った様だ」

「そうなの?」

チラリと見ると、黒のタキシードで決めた中々の美丈夫だ。

金髪碧眼で、スタイルも良いからご婦人達にも人気なんだろうな。

「先代は王室主義で従姉妹とも懇意にしていたが、現当主は周りの意見をしっかり見聞きし判断する男で、キッパリと決別したんだ」

ほうほう。

中々良い判断だと思うよ。

ファッションリーダーとは言え、間違いを起こす貴族を平気で推すなんて、後々反感を買うだろうからね。

「後は宝石商のポートランス公爵と、薬関係の貿易を主に行なっているニムラス伯爵だな。ポートランス公爵は兄とも懇意だが、きちんと民にも寄付を行なっている。ニムラス伯爵であるナルは私の幼馴染だ」

ポートランス公爵は例の宝石商ですね。

帝国の宝石商は、身につけている宝飾も立派だ。

さすがにゲストだからか控えめだが、黒いタキシードに金と大粒のダイヤを使用したクラヴァットの飾りはとても良く似合っている。

短く切り揃えて後ろ手に撫で付けられた黒い髪に緑の瞳で、父様位の年齢だろうか。

宝石商と言うより騎士の様な体付きだ。

隣に立つニムラス伯爵より頭一つ分大きい。

「ニムラスは昔から薬草好きで、兄が居たのだが彼が家を継いだ。兄は剣術に長けており、腕も良かったので騎士の道を選び、今は王城で活躍している」

ふむふむ。

確かに薬草関係の貴族なら、薬草好きが継いだ方が良いものね。

ニムラス伯爵はテオと同い年だそうだが、線が細く可愛らいしい容姿をしており、婿を取ったと言う。

「隣にいるトルネが夫だ。彼も私の幼馴染であり友人だ。後のパーティーでは紹介させて欲しい」

「うん。楽しみにしてる」

長い黒髪を左側に一つに束ねたニムラス伯爵の隣には、短く切り揃えられた茶髪の体格の良い男性が立っている。

良く見ればニムラス伯爵と揃いの指輪をしており、仲睦まじく話している。

薬品を主に取り扱う貴族なら、確かに今回招待されていてもおかしくないね。

テオの友人だったら信用出来るし、しっかりした販路が約束されれば、ジャメル的にも安心だからね。

そうしていると、教会の鐘が鳴り響く。

皆が、一斉に祈りを捧げ始た。

我が国やその周りは殆どがスイレン神を信仰している。

愛と平和と豊作を司るスイレン教では、熱心に信仰する者はラッカルと言う宗教大国へ向かう。

他の国で普通に生活する上では、鐘の音に祈りを捧げたり、誕生祭を行ったりと言った、そこまで戒律の厳しいものではない。

我が国の教会にはラッカルで修行した神父達がおり、彼らは魔力にも長けているので魔術師としても活躍している。

本人証の発行や診断にも携わり、結婚式での進行なども彼らの役目だ。

バージンロードを父親と歩くと言う習わしは無く、二人で祭壇まで歩き、夫夫としての結婚証と言うものを新しく作るまでが挙式の流れだ。

結婚証は本人証と結び付けられ、二人が夫婦であると言う証にもなる。

鐘の音が終わると、いよいよ今日の主役達が現れる。

皆が一斉に扉へ体を向ける。

厳かな音楽が流れ始め、扉がゆっくりと開いた。









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