転生腹黒貴族の推し活

叶伴kyotomo

文字の大きさ
上 下
89 / 226

87 推し達との食事会

しおりを挟む

アドン子爵のレストランは、今日も大盛況だ。

「ようこそおいで下さいました。皆様お揃いでございます。どうぞこちらへ」

アドン子爵が出迎えてくれ、テオに腰を抱かれて歩く。

「良い雰囲気の店だな。柑橘のソースは楽しみだ」

「帝国の魚が新鮮な状態で届くからね。こちらのレストランは料理人の腕も一流なんだ」

俺達は予約していた大部屋へ通される。

そこにはリーナイト家とジャメル家が勢揃いしていた。

時間には間に合ったけど、遅くなっちゃったね。

「遅くなって申し訳ありません。お待たせしました」

「いや、我々も先程到着したばかりだ。良い葡萄酒と林檎酒が入った様で、今持ってくるそうだよ。ギルやフロルは果汁水がくる」

シェル様にフォローされながら、俺とテオは向かい合わせに座る。

皆それぞれのお相手と向かい合わせになり、食前酒が運ばれてくるのを待つ。

「今日は私も招待して頂き、ありがとうございます」

「いえいえ、こちらこそギルに随分と贈り物を頂いた様で…。それぞれの商会からもお礼がありましたよ」

あら、父様にもバレてたか。

でもまぁ、テオが好きで買ってくれたんだから良いよね?

「私も良い物を頂いたので、つい買い過ぎてしまった。私が冒険者として手にしていた報酬からの購入なので気にしないで欲しい。あまり使う機会も無く、こうやって愛する人に使えて楽しくてな」

愛する人だって~!テオったら、惚気ちゃって。

皇室や国家の費用じゃ無いと言うテオの言葉に、父様は納得してくれた。

帝国のS級冒険者なら、結構稼ぎも良いから納得だよね。

そこへ、ホセ兄様達が話に入ってくる。

「私もフロルに何か贈りたいな」

「ホセ様…。それなら、私もホセ様と揃いの物が欲しいです」

「ギル達の指輪やバングル、父様達のペンダントも良いな」

ニコニコとホセ兄様に突っ込まれ、父様は咳をする。

シェル様も少し照れた様に笑った。

父様も愛するシェル様に贈ってるもんね~。

「揃いの物を身に付ける事が流行っているから、宝石店や仕立て屋も売り上げが良いらしい」

セルジオ様達も会話に入ってきて、ここからは美味しい食事と会話を楽しむ時間だ。

「揃いの…。食器やハンカチーフなども揃いで仕上げても良いのでは?平民にも買いやすいカップやカトラリーなどから揃いを準備し、アピールしてみても良いかもしれません」

ペアの食器とかって、前世でも良くあったしね。

貴族は一式揃った皿やカトラリーを使用するけど、平民はそんなに食器の数は持たないし、恋人同士だったり夫婦で揃いで持つと言うのも良いのでは。

俺の提案を、セルジオ様は真剣に聞いている。

「揃いの日用品と言う事か。貴族だとそれぞれ家紋入りの食器が良いが、平民や軽くお茶をする時などに揃いの食器は良いかもしれない」

お、中々好感触だね。

「揃いのティーカップのセットなどを、贈り物として提案したらどうでしょう。若い夫婦などに贈りやすいですし」

引き出物とか、そんな感じが多かったりするしね。

「それなら、カトラリーのセットも好まれそうですね。贈り物なら少し豪華にしても良いでしょうし、小さなプレートのセットも需要がありそうです。ハンカチーフも特別に刺繍を入れる様にしたら喜ばれそうですね」

お、さすがジェレミー兄様。

確かに平民は、大皿から小分けに分けて食べる方が多いし、ケーキ皿にも使えるのは便利だと思う。

刺繍もそれぞれ特別に入れられたら、きっとウケるんじゃないかな。

「良く平民向けのお店で使われる、木のスープボウルに細工を施しても良いかもしれません。特別感があり使い慣れた物も、贈り物として買いやすいかと。それとレードル等の調理用具のセットも新婚家庭に贈りやすそうです」

俺がノリノリで提案していると、テオがとても楽しそうに俺を見ていた。

「素晴らしい提案だ。ギルは商才もあるんだな」

やだ、そんな手放して褒められたら照れちゃう。

俺が照れていると、シェル様も大き頷いてくれた。

「貴族向けだけで無く、平民向けの商品の考え方も良いね。貴族街のリーナイト商会はやはり貴族向けだから、平民街の店で試してみたらどうだ?」

「ええ、平民街の店の目玉になりそうですね。贈り物に特化した店は無いので、力を入れていきます」

リーナイト商会のお役に立てて良かった。

やっぱ貴族より平民が多いから、そちらに人気になった方が売り上げも期待できるもんね。

「ギル殿は凄いね。私もジャメル領で力になれる様に、頑張らないと」

フロル様の言葉に、ホセ兄様はデレデレしている。

戦闘にしか興味の無い男が、フロル様のおかげで領地統治にも力を入れ始めてるんだからね。

「いえいえ、フロル様のおかげでホセ兄様の領地開拓のやる気が出ているのですから、ありがたいですよ。ジャメル領は今後レッドドラゴンにも守られますし、辺境騎士団は周辺の警備に駆り出されるでしょうけど、領地は観光地として力を入れて行きたいですよね」

次はこっちだと話し始めると、父様も頷いてくれる。

なんだか楽しくなってきたぞ。










しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

転生令息の、のんびりまったりな日々

かもめ みい
BL
3歳の時に前世の記憶を思い出した僕の、まったりした日々のお話。 ※ふんわり、緩やか設定な世界観です。男性が女性より多い世界となっております。なので同性愛は普通の世界です。不思議パワーで男性妊娠もあります。R15は保険です。 痛いのや暗いのはなるべく避けています。全体的にR15展開がある事すらお約束できません。男性妊娠のある世界観の為、ボーイズラブ作品とさせて頂いております。こちらはムーンライトノベル様にも投稿しておりますが、一部加筆修正しております。更新速度はまったりです。 ※無断転載はおやめください。Repost is prohibited.

代わりでいいから

氷魚彰人
BL
親に裏切られ、一人で生きていこうと決めた青年『護』の隣に引っ越してきたのは強面のおっさん『岩間』だった。 不定期に岩間に晩御飯を誘われるようになり、何時からかそれが護の楽しみとなっていくが……。 ハピエンですがちょっと暗い内容ですので、苦手な方、コメディ系の明るいお話しをお求めの方はお気を付け下さいませ。 他サイトに投稿した「隣のお節介」をタイトルを変え、手直ししたものになります。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

兄たちが弟を可愛がりすぎです~こんなに大きくなりました~

クロユキ
BL
ベルスタ王国に第五王子として転生した坂田春人は第五ウィル王子として城での生活をしていた。 いつものようにメイドのマリアに足のマッサージをして貰い、いつものように寝たはずなのに……目が覚めたら大きく成っていた。 本編の兄たちのお話しが違いますが、短編集として読んで下さい。 誤字に脱字が多い作品ですが、読んで貰えたら嬉しいです。

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」 授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。 途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。 ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。 駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。 しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。 毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。 翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。 使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった! 一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。 その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。 この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。 次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。 悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。 ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった! <第一部:疫病編> 一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24 二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29 三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31 四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4 五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8 六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11 七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

僕の兄は◯◯です。

山猫
BL
容姿端麗、才色兼備で周囲に愛される兄と、両親に出来損ない扱いされ、疫病除けだと存在を消された弟。 兄の監視役兼影のお守りとして両親に無理やり決定づけられた有名男子校でも、異性同性関係なく堕としていく兄を遠目から見守って(鼻ほじりながら)いた弟に、急な転機が。 「僕の弟を知らないか?」 「はい?」 これは王道BL街道を爆走中の兄を躱しつつ、時には巻き込まれ、時にはシリアス(?)になる弟の観察ストーリーである。 文章力ゼロの思いつきで更新しまくっているので、誤字脱字多し。広い心で閲覧推奨。 ちゃんとした小説を望まれる方は辞めた方が良いかも。 ちょっとした笑い、息抜きにBLを好む方向けです! ーーーーーーーー✂︎ この作品は以前、エブリスタで連載していたものです。エブリスタの投稿システムに慣れることが出来ず、此方に移行しました。 今後、こちらで更新再開致しますのでエブリスタで見たことあるよ!って方は、今後ともよろしくお願い致します。

処理中です...