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4 推し活の為にも恩は売る
しおりを挟む俺は多くの貴族から感謝されることになった。
今回俺はリリーのことを使って、四方八方に恩を売ることにしたのだ。
もちろんフロル様の事は、あんなクソ婚約者なんか捨てられてしまえという個人的思惑もあったのだが。
隣国でリリーの話を聞いた時は、とんでもない令嬢がいたもんだと、隣国のゴシップくらいに考えていた。
しかし話のネタくらいに考えて聞いていたところ、隣国ギルドで酔っ払った奴らが極秘情報だと色々教えてくれた。
話の中で、修道院を免れてこちらの学園に極秘に入学したと聞いて驚いた。
そんな問題児を貴族のご子息が通う学園に入学させるとは、何考えてたんだろうね。
もうヤケクソで何か弱みでも握って、こちらに一族ごと逃げてくるつもりだったのだろうか。
そう思って子爵のことも調べたら、おやおやという事実も見つかり、俺は奮起した。
隣国で俺のお色気おねだりお願い作戦を駆使し、ギルドの情報屋やらからリリーの情報をかき集めた。
そして俺のお得意の魔術やら何やらを使って、裏の人間にお金も払い彼女の行動を細かく調べ上げたのだ。
調べあげてもらった結果を聞いて驚いた。
いろんな男に手を出し過ぎていたのだ。
一人二人くらいならと思いきや、顔の良さなどで選んだのか、若くイケメン揃いのデートだけの男が十数名。
学生の婚約者などはほとんど、このデート要員であろう。
そしてエッチなおねだりをしてお買い物してもらう、金を持っているような中高年の男が十数名。
最後が自分の利益に一番なりそうだった公爵家のヨハンである。
よく男達にもバレなかったなと思ったが、自分以外に男がいるとわかっていて相手をしている男の方が多く、所謂遊び相手として重宝されていたようだ。
それでも自分にとって利のあるヨハンにはバレたくなかったようで、王都以外での逢瀬の多いこと多いこと。
さすがに俺も呆れたくらいだった。
あ、ちなみに俺はこんなに軽くないぞ?
こう見えてただの一人遊び上級者の童貞処女だ。
まあそれは置いといて、隣国からのアバズレによる我が国の貴族の品位の低下に危機感を覚えたのだ。
そんなに真面目な人間ではないが、リリーのせいで推し活動に障害が出る可能性も捨てきれなかった。
お家騒動など面倒ごとに推しが巻き込まれるのも嫌だし、俺が巻き込まれるのもゴメンだ。
そう思い、話の分かりそうなところにそれとなーく彼女の話を広めておいたのだ。
隣国の情報が一早く入ってくるので、こんな話があるんですよ。
国が乱れては問題なので、聞いてもらえませんか?
そんな感じで、自分の領地にも利になりそうな所から広めていった。
そのおかげで、自分の友人や親族のお相手に心当たりがあるお家から、情報を貰えないかと声を掛けられる事が増えた。
もちろんですと情報を流しつつ、自分の領地に利になるようお願いしたりした。
作物を優先的に流してもらったりとかね。
そんなこんなで、情報を貰って相手より上に立ちたいお家にはとても感謝されたよ。
もちろん俺が嫌いなところには情報なんか流さなかったけど。
その為ヨハンはあんなバカ女に熱を上げてくれたのだ。
実は、ヨハンの実家であるダイヤ公爵家現当主は、父と同級生なのだ。
フロル様のご実家のリーナイト公爵家現当主であるシェル様は、フロル様の叔父ということもありフロル様に似ていらして、美しく長い金髪と碧眼の美中年である。
そのシェル様を学生時代父と取り合ったのがダイヤ公爵なのだ。
取り合ったというか、父の片思いだったのかな?
辺境伯爵家の次男が、三大公爵家の次男に好意など口にも出せず、気付いていたダイヤ公爵が田舎者の癖にと馬鹿にしていたのだ。
その度シェル様がダイヤ公爵に苦言を呈していたと、父はよく話していた。
シェル様と父は優秀クラスだったこともあり、仲は良かったのだ。
その後お家同士でシェル様とダイヤ公爵は婚約が決まっていたようなのだが、なんとこの男、シェル様に白い結婚を求めて他の女と子供を作ったのだ。
その後リーナイト家当主が亡くなりシャル様が後を継いだ事により、婚約は破棄されたのだが。
自分が公爵家同士で婚姻ができなかったからと、フロル様と自分の息子を婚約させたようで、その話を聞いた父は少し寂しそうな顔をしていたのだ。
そこで思ったのだ。
利になる貴族達には恩を売って。
嫌いな貴族は嵌めてやろうと。
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