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20「憑き物の仕業」
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20「憑き物の仕業」
華名子が目を覚ました時にはすでに当たりは真っ暗で、以前憑き物に憑かれて気を失った時と同じく保健室のベッドの上だった。シーツが汚れないようにだろう、手に付いた月原の血液は拭い取られていたが、まだベタつく。
フラフラと歩きながらも洗面台へ辿り着くと華名子は虚な目をして、纏わりつく血を、記憶を、感触を拭い去ろうと、蛇口を捻り、水で手を擦り合わせ続けた。いつしか手の皮が剥け、血が滲むと、かなこの口から嗚咽が漏れ、夜の闇に消えていった。
月原が意識を取り戻したのはそれから三日後だった。
華名子はそれまでひたすら眠っていた。まるで、母親の胎内に帰り、何も見ずに、何も考えず、ただ安心して眠りたかったのだ。
理事長の連絡が無かったらきっと布団の中で死んでいたのでは無いかと、自嘲した。
いや、むしろ死んでしまいたかった。憑き物に取り憑かれたとはいえ、生徒を刺して危うく殺してしまう所だったのだ。
電話越しで月原はすでに会話は問題無く、命に別状はないのだと言う。
電話を終えると、華名子は気が重いがすぐに見舞いへと向かう為に、重い腰をあげた。流石にこの数日、風呂にも入っていないので、身を清める必要がある。
身支度をしている最中も、月原の言葉を思い出していた。
追い詰めすぎたと、月原は言っていた。そうだろう。いくら妖怪とはいえ、お祓いなんてされては消えて無くなってしまうのではないか。いや、間違いなくそうだろう。きっと、アプローチの仕方が――過激すぎたのだろう。だからあんな事に――
卑怯な話だが、そう考えると華名子の足は少し軽さを取り戻していた。
月原が入院しているのは、県内でも最大級の総合病院だった。
受付に行き月原の名前を口にすると、受付がどこかに内線をしたかと思うと、すぐに案内のスタッフがやってきた。
その応対は医療従事者というよりも、まるでホテルマンのように親切で丁寧だった。恐らく、ただの病院関係者という訳ではないだろう。
案内された部屋は豪華な個室だった。部屋の前まで着くと、案内係は恭しくお辞儀をすると去っていった。
取り残された華名子は意を決して扉をノックすると、中から「はーい」と聞き慣れない、若い女の声が聞こえた。勿論月原では無いその声に導かれ、扉を開いた。
華名子の目に写った病室はまさにVIP対応の立派すぎる個室だった。病院と知らなければ恐らくホテルと見間違うだろう。
月原は病室の中央に盛大に置かれたベッドにいたが、既に上半身は起こす事ができていた。相変わらず真っ白な顔をしているが、血が足りないというよりは、元からの肌の色が白過ぎるだけだ。
そのベッドの横には先程の声の主と思われる少女が座っていた。月原と比べると随分幼い印象を受けるが、恐らく実年齢はそんなに変わらないのだろう。
私服なので、学校の生徒か分からないが何処かで見た事がある記憶があった。
「あら、池内先生。お見舞いに来てくださったんですか? ありがとうございます」
華名子が口を開く前に、先に月原が話し始めた。声色は思ったよりも元気そうだ。
「――この度は本当に、本当に、申し訳ありませんでした」
華名子は深々と頭を下げた。いや、むしろ土下座をしても軽いくらいだ。人を刺すという行為は紛れもなく犯罪で、それをしてしまった華名子は本来なら今頃警察のご厄介になっているはずだ。それを月原が憑き物の仕業だからと、秘密裏に処理をしてくれようとしている事を考えると、どう謝っても謝りきれない。
「先生、頭を上げて下さい」
頭を下げ続ける華名子もその言葉にようやく頭を上げ、月原を見るが、あまり興味がなさそうにしていた。しかし、隣に座る少女の視線はまだ華名子に釘付けられていた。
華名子はその少女にやはり見覚えがあった。そうだ、たしかこの子は――
月原は華名子の意図を汲み取ってか、隣の少女に目をやった
「ああ、この子ですか? 前に言っていた友達の島岡めぐみさんです。私のピンチを野生の勘で嗅ぎつけて駆けつけてくれたのよね?」
月原の言葉に島岡めぐみは、
「もう!人を動物みたいに言わないでよ!いつもの時間にログインしないから気になって電話したらお母さんが出てびっくりしたんだから!」とむくれていた。
「でもよく駆けつけられたわね。遠かったでしょう?」
「意識不明の重体、って言われたから新幹線に飛び乗ったんだから!」
「あら、大変だったわね」
「他人事みたいに言わないでよ!」
「まあ、いいじゃない。と、こうして院長先生に挨拶しに行ったお母さん達にかわって私の暇つぶしをしてくれているんです」
「月原さん! からかってるでしょ!」
華名子は月原と戯れる少女、島岡めぐみをようやく思い出した。あまり接点が無く、良くも悪くも何処にでもいそうな生徒だが、去年の秋、島岡めぐみの名前は全ての職員に深く刻まれる事になった。
実の父親が不倫相手のいざこざがあり当時学校内がざわつく事になった。当時節操の無いマスコミや野次馬が学校にまで押し掛けたので、その対応に理事長や校長達が頭を抱えていたものだ。
のちに遠くの地へ転校したと聞いたが、なるほど、島岡めぐみが月原の友達だったというわけだ。
かなこは驚いていた。思いの外、月原が元気だからというわけでは無く、あの周囲の者を寄せ付けず孤高とも言える月原に、本当に気安く話せる友人がいた事にだ。
「まあ、体も何とか動きそうだし、今夜からでもログインするわ。早くしないとイベントが終わっちゃうもの」
「夜にゲームなんてしてたら看護師さんに怒られるよ! それにあのイベントは定期的にやるから、そんなに急がなくてもいいよ!」
戸惑いを隠せない華名子を尻目に二人はくだらない話に花を咲かせていた。どうやら二人はオンラインゲームの話をしているようだ。なんとも暢気な話だが、月原も友達の前では年相応の顔を見せる事があるのだ。
小島と、あの男も友達だったという。あの二人もこうして、下らないことで笑い合い、時には目を輝かせ夢を語っていたのだろうか。
今の華名子のように、折に触れては友と過ごした、楽しかった時間を懐かしんだりしたのだろうか。
一人とは縁を切り、一人は既にこの世にはいないのでもう、聞く術も無い。
華名子は月原とめぐみのやりとりをみて微笑ましくも寂しさを抱えていた。
他愛も無い話をしていると、急にめぐみが話を打ち切って、席を立った。
「私、ちょっと売店に行ってくるね。何か買ってこようか?」
「大丈夫よ。欲しい時に言うから」
「それがめんどうだから聞いてるの! 何かあったら連絡してね」
めぐみは華名子に一礼すると足早に病室を出ていった。その姿を見送ると、背後から月原の声が聞こえた。
「先生、立ち話も何ですし、席も空きました。座って下さい」
どうやらめぐみが気を利かせてくれたらしい。華名子は黙って先程までめぐみが座っていた椅子に腰掛けた。
「ごめんなさい。まだ、痛むわよね」
「傷の治りは早いんですけど、流石にすぐに回復ってわけにもいきません」
「そう……今はゆっくりと体を――
「休めている訳にはいきません。今日でもう一週間です。これ以上時間をかけていたら、確実に佐々木さんは助かりません。今朝目覚めた後、理事長から佐々木さんの状態が悪くなっていると聞きました。恐らく、今日か、明日がリミットです」
「――もう、絵を燃やしてしまいましょう。
華名子は落ち着いた口調で言った。
あの絵の作者が父と分かった以上、もう大切にする必要なんてない。以前、最終手段と言っていたが、最初からそうしたらよかったのだ。しかし――
「それは早計です。前にも言いましたが、絵を破壊する方法は非常にリスクが高い。それに私みたいな憑き物祓いでなければ佐々木さんの魂を肉体に誘導できません」
それもそうだ。憑き物に対して何の知識もなく、無力な今の華名子に出来ることと言えば――
「――杉浦って人を探しに行けばいいの?」
華名子の言葉に月原が珍しく驚いたような顔をしていた。
「ええ、そうです。先生にとってはお辛いでしょうが、それが最善であり、最優先です」
「小島先生は名前しか教えてくれなかったわ。何処に住んでいるかも。どうやって探すの?」
「小島先生以外にあなたのお父様と交流のあった人に当たってみて下さい。分かっているはずです」
華名子は俯き、暫くして、
「分かったわ」と、小さく呟いた。
月原が頷く姿を見届け、かなこは病室を出ようとすると、
「先生、分かっているとは思いますが、私がこの状況なので、今佐々木さんを救えるのはあなただけです。それを忘れないでください」
華名子は背に受けた言葉に、振り返る事なく
「大丈夫。分かっているわ」
と一言、返して病室を後にした
華名子が目を覚ました時にはすでに当たりは真っ暗で、以前憑き物に憑かれて気を失った時と同じく保健室のベッドの上だった。シーツが汚れないようにだろう、手に付いた月原の血液は拭い取られていたが、まだベタつく。
フラフラと歩きながらも洗面台へ辿り着くと華名子は虚な目をして、纏わりつく血を、記憶を、感触を拭い去ろうと、蛇口を捻り、水で手を擦り合わせ続けた。いつしか手の皮が剥け、血が滲むと、かなこの口から嗚咽が漏れ、夜の闇に消えていった。
月原が意識を取り戻したのはそれから三日後だった。
華名子はそれまでひたすら眠っていた。まるで、母親の胎内に帰り、何も見ずに、何も考えず、ただ安心して眠りたかったのだ。
理事長の連絡が無かったらきっと布団の中で死んでいたのでは無いかと、自嘲した。
いや、むしろ死んでしまいたかった。憑き物に取り憑かれたとはいえ、生徒を刺して危うく殺してしまう所だったのだ。
電話越しで月原はすでに会話は問題無く、命に別状はないのだと言う。
電話を終えると、華名子は気が重いがすぐに見舞いへと向かう為に、重い腰をあげた。流石にこの数日、風呂にも入っていないので、身を清める必要がある。
身支度をしている最中も、月原の言葉を思い出していた。
追い詰めすぎたと、月原は言っていた。そうだろう。いくら妖怪とはいえ、お祓いなんてされては消えて無くなってしまうのではないか。いや、間違いなくそうだろう。きっと、アプローチの仕方が――過激すぎたのだろう。だからあんな事に――
卑怯な話だが、そう考えると華名子の足は少し軽さを取り戻していた。
月原が入院しているのは、県内でも最大級の総合病院だった。
受付に行き月原の名前を口にすると、受付がどこかに内線をしたかと思うと、すぐに案内のスタッフがやってきた。
その応対は医療従事者というよりも、まるでホテルマンのように親切で丁寧だった。恐らく、ただの病院関係者という訳ではないだろう。
案内された部屋は豪華な個室だった。部屋の前まで着くと、案内係は恭しくお辞儀をすると去っていった。
取り残された華名子は意を決して扉をノックすると、中から「はーい」と聞き慣れない、若い女の声が聞こえた。勿論月原では無いその声に導かれ、扉を開いた。
華名子の目に写った病室はまさにVIP対応の立派すぎる個室だった。病院と知らなければ恐らくホテルと見間違うだろう。
月原は病室の中央に盛大に置かれたベッドにいたが、既に上半身は起こす事ができていた。相変わらず真っ白な顔をしているが、血が足りないというよりは、元からの肌の色が白過ぎるだけだ。
そのベッドの横には先程の声の主と思われる少女が座っていた。月原と比べると随分幼い印象を受けるが、恐らく実年齢はそんなに変わらないのだろう。
私服なので、学校の生徒か分からないが何処かで見た事がある記憶があった。
「あら、池内先生。お見舞いに来てくださったんですか? ありがとうございます」
華名子が口を開く前に、先に月原が話し始めた。声色は思ったよりも元気そうだ。
「――この度は本当に、本当に、申し訳ありませんでした」
華名子は深々と頭を下げた。いや、むしろ土下座をしても軽いくらいだ。人を刺すという行為は紛れもなく犯罪で、それをしてしまった華名子は本来なら今頃警察のご厄介になっているはずだ。それを月原が憑き物の仕業だからと、秘密裏に処理をしてくれようとしている事を考えると、どう謝っても謝りきれない。
「先生、頭を上げて下さい」
頭を下げ続ける華名子もその言葉にようやく頭を上げ、月原を見るが、あまり興味がなさそうにしていた。しかし、隣に座る少女の視線はまだ華名子に釘付けられていた。
華名子はその少女にやはり見覚えがあった。そうだ、たしかこの子は――
月原は華名子の意図を汲み取ってか、隣の少女に目をやった
「ああ、この子ですか? 前に言っていた友達の島岡めぐみさんです。私のピンチを野生の勘で嗅ぎつけて駆けつけてくれたのよね?」
月原の言葉に島岡めぐみは、
「もう!人を動物みたいに言わないでよ!いつもの時間にログインしないから気になって電話したらお母さんが出てびっくりしたんだから!」とむくれていた。
「でもよく駆けつけられたわね。遠かったでしょう?」
「意識不明の重体、って言われたから新幹線に飛び乗ったんだから!」
「あら、大変だったわね」
「他人事みたいに言わないでよ!」
「まあ、いいじゃない。と、こうして院長先生に挨拶しに行ったお母さん達にかわって私の暇つぶしをしてくれているんです」
「月原さん! からかってるでしょ!」
華名子は月原と戯れる少女、島岡めぐみをようやく思い出した。あまり接点が無く、良くも悪くも何処にでもいそうな生徒だが、去年の秋、島岡めぐみの名前は全ての職員に深く刻まれる事になった。
実の父親が不倫相手のいざこざがあり当時学校内がざわつく事になった。当時節操の無いマスコミや野次馬が学校にまで押し掛けたので、その対応に理事長や校長達が頭を抱えていたものだ。
のちに遠くの地へ転校したと聞いたが、なるほど、島岡めぐみが月原の友達だったというわけだ。
かなこは驚いていた。思いの外、月原が元気だからというわけでは無く、あの周囲の者を寄せ付けず孤高とも言える月原に、本当に気安く話せる友人がいた事にだ。
「まあ、体も何とか動きそうだし、今夜からでもログインするわ。早くしないとイベントが終わっちゃうもの」
「夜にゲームなんてしてたら看護師さんに怒られるよ! それにあのイベントは定期的にやるから、そんなに急がなくてもいいよ!」
戸惑いを隠せない華名子を尻目に二人はくだらない話に花を咲かせていた。どうやら二人はオンラインゲームの話をしているようだ。なんとも暢気な話だが、月原も友達の前では年相応の顔を見せる事があるのだ。
小島と、あの男も友達だったという。あの二人もこうして、下らないことで笑い合い、時には目を輝かせ夢を語っていたのだろうか。
今の華名子のように、折に触れては友と過ごした、楽しかった時間を懐かしんだりしたのだろうか。
一人とは縁を切り、一人は既にこの世にはいないのでもう、聞く術も無い。
華名子は月原とめぐみのやりとりをみて微笑ましくも寂しさを抱えていた。
他愛も無い話をしていると、急にめぐみが話を打ち切って、席を立った。
「私、ちょっと売店に行ってくるね。何か買ってこようか?」
「大丈夫よ。欲しい時に言うから」
「それがめんどうだから聞いてるの! 何かあったら連絡してね」
めぐみは華名子に一礼すると足早に病室を出ていった。その姿を見送ると、背後から月原の声が聞こえた。
「先生、立ち話も何ですし、席も空きました。座って下さい」
どうやらめぐみが気を利かせてくれたらしい。華名子は黙って先程までめぐみが座っていた椅子に腰掛けた。
「ごめんなさい。まだ、痛むわよね」
「傷の治りは早いんですけど、流石にすぐに回復ってわけにもいきません」
「そう……今はゆっくりと体を――
「休めている訳にはいきません。今日でもう一週間です。これ以上時間をかけていたら、確実に佐々木さんは助かりません。今朝目覚めた後、理事長から佐々木さんの状態が悪くなっていると聞きました。恐らく、今日か、明日がリミットです」
「――もう、絵を燃やしてしまいましょう。
華名子は落ち着いた口調で言った。
あの絵の作者が父と分かった以上、もう大切にする必要なんてない。以前、最終手段と言っていたが、最初からそうしたらよかったのだ。しかし――
「それは早計です。前にも言いましたが、絵を破壊する方法は非常にリスクが高い。それに私みたいな憑き物祓いでなければ佐々木さんの魂を肉体に誘導できません」
それもそうだ。憑き物に対して何の知識もなく、無力な今の華名子に出来ることと言えば――
「――杉浦って人を探しに行けばいいの?」
華名子の言葉に月原が珍しく驚いたような顔をしていた。
「ええ、そうです。先生にとってはお辛いでしょうが、それが最善であり、最優先です」
「小島先生は名前しか教えてくれなかったわ。何処に住んでいるかも。どうやって探すの?」
「小島先生以外にあなたのお父様と交流のあった人に当たってみて下さい。分かっているはずです」
華名子は俯き、暫くして、
「分かったわ」と、小さく呟いた。
月原が頷く姿を見届け、かなこは病室を出ようとすると、
「先生、分かっているとは思いますが、私がこの状況なので、今佐々木さんを救えるのはあなただけです。それを忘れないでください」
華名子は背に受けた言葉に、振り返る事なく
「大丈夫。分かっているわ」
と一言、返して病室を後にした
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