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お兄ちゃんと一緒

61.美味しい誘惑

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「それじゃぁ寄る所があるから、帰るね。アイリス、ケーキご馳走さま。すごく美味しかった」
「いえいえ。毎日用意しとくから、毎日遊びにおいでよ。サクラちゃんもね」
「え、い……考えとく」

 用件は終わりケーキも食べ終わりそう言い立ち上がる。
 アイリスは笑顔を浮かべとっておきの誘惑をされ、すぐに食いつきそうになる私だけどなんとか間一髪で思い止まる。

 アイリスは私を知り尽くしているからいつもこのパターン。私の意思の固さて軍配が決まるんだよね?
 毎日あんなケーキが食べられるのは魅力的だし、アイリスは私の笑顔と会話があれば満足らしい。

 ん?
 だったらよくないか?

 ケーキに大分警戒心と言う物がなくなり、良いはずがないのに拒否する理由も見当たらない。

「待ってるよ」
「ロード、オレの部屋にもロードの好きなお菓子がたくさんあるから気兼ねなく来いよ」
「アイザックは脚下。東雲行くよ」
─うん。
「それではボクも失礼します」

 アイザックには通常の警戒心まま冷たく切り捨て東雲を呼び寄せ、フレディと一緒に部屋を去り図書室に向かう。





「サクラは先に帰ってくれる? ちょっとフレディと大事な話があるから」

 当然一緒に着いてくるサクラに最初は普通に言ってみる。
 これで素直に頷いてくれたら、どんなに良いだろうか?

「それは私には秘密と言うことですか?」
「そう言うこと。ちなみにお兄ちゃんにも秘密」
「それはつまりフレディさんとデートと言うことですか?」 
「それだけは絶対にない。私はお兄ちゃん一筋」

 途端に悲しげな表情を浮かべとんでもない解釈をされ、フレディを憎しみを込め睨み付ける。
 フレディはしょっぱい表情になった。

 一体全体何をどうすれば、そんな発想が生まれるんだ?
 私はお兄ちゃん一筋縄だっていつも今日も言ったよね?
 しかもフレディがカリーナ一筋縄だって知っている。
 それなのになんで?

「ではなぜ? 私は口が固いです」
「シャラップ。怒られたくなかったら、さっさと帰る。歓迎会までには帰るから、それまでは自由時間」
「……分かりました。お気をつけていってらっしゃい」
「よろしい」

 結局いつも通り力ある怒りの言葉で制圧し、サクラはようやくどんな立場が分かったのかとぼとぼと帰っていく。

「サクラはすっかりアカツキ一筋だよね? しかも完全に恋愛感情がある」
「そうなんだよね? 確かにお兄ちゃんを好きになるなとは言ったけれど、まさか百合になるなんてね。どこで間違えたんだろう?」

 そんなサクラを見つめながら酷いことを言い合いため息をつく私達。

 今までなら一週間に一度ぐらいですんだのに、今日だけでも三回目。
 人が多く関われば関わればすごくなる?
 いやだな。
 だけど私には同性愛にはまったく興味も理解もないけれども、フレディは理解があったと思う。

「いくらボクでも片方が拒絶している同性愛は好まないよ」  
「そうなの? それなら良かった。応援されても迷惑だし。じゃぁ行こうか?」
「そうだね」

 聞かなくても分かったらしく真相を話してくれ、なんとなく納得が行き話を終わらせた。

 言葉通り応援されても迷惑です。
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