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お兄ちゃんの幸せを守りたい

41.奴隷契約続行中

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「確かにいくらなんでも幼女はまずいな。オレといる時はあの姿でいろ」

 しかしさすがにこればかりは一般常識を持っていたようで、顔を渋ら自分勝手に命令される。

 幼女は無理でも、少なら良いんだろうか?
 そんなコロコロ年齢詐称出来ると本気で思われてる?
 それともこの姿が偽りだと思われてるだけ?

 様々な疑問が脳裏に浮かび、どう突っ込むべきか迷う。

「言っておくけれどこれが私の真の姿なので、あの姿には頻繁にはなれません」

 取り敢えず無難な答えをため息混じりで断る。
 そもそも私は主なんだから、下僕の命令なんて却下だ。

「しょうがねぇな。ロードの成長を暖かく見守ってやるよ」
「結構です。もし何あったら喚ぶことにするので、あなたはあなたの人生を歩んで下さい」

 潔く諦めてくれたのは良いけれど、今度は父親面をする気なのか上から目線で言われる。これも速攻却下でここは強く突っぱねる。
 もちろん今後喚ぶつもりもない。

「ロードはオレのこと嫌いか?」
「え、普通だけど」

 最終手段に出たのか切なそうに問われるも私にはまったく効果はない。反射的に答えると、まさかそう言われるとは思っていなかったのか呆気に取られる。
 そんな表情が貴重でちょっと得した気分。

「くっ、ロードは本当に面白いな。だったらロードが学校に入学するまでに教員免許を取得する。そしたら問題ないだろう?」

 そして豪快に笑われ耳を疑うぶっ飛んだ展開になり、今度は私が呆気に取られる。

 アイザックが教師?
 しかも私だけのために?

 確かにアイザックは魔法学園卒だって設定資料集に書いてあったけれど、この世界の教員免許ってどうやって取るんだろうか?
 ……………。
 ここまで私に尽くしたいんと言うのなら、気が済むまで勝手にやらせとこう。
 それに組織のボスのボディーガードよりも、教師の方が世の中のためだよね?

「勝手にして下さい」
「勝手にする。改めてよろしくなマイロード」

 あえて許可は取らず自己判断に任せれば、案の定満足げな笑顔を浮かべ手の甲に再びキスをする。

 それでも私はやっぱりトキメかなかった。

「そう言えばさっきの小僧はロードの兄貴なのか?」
「そう。最初に言っておきますが、私がイロハだと言うことはお兄ちゃんと両親には秘密です。私は三歳児の幼女です」

 言わなくても気づかれたので、強く警告し今の私の立場を断言する。
 もしバレたらいろいろ面倒だし、最悪転生者とバレて大事に発展するかも知れない。

 自分で声にして言うとキモいけど。

「了解。ロードにとって大切な家族はオレにとっても大切だ。さっきはすまなかった」
「わかれば良いんです」 

 私にとっては大切なことを分かってくれ、申し訳なさそうに頭で下げられてしまう。ちょっと拍子抜けしてしまい、突っ込むことを忘れ了承してしまった。

 大切にして欲しいけど、アイザックの大切ではない。
 その辺はちゃんと分かってもらおう。

「それで結局ロードの裏の顔を知ってる奴は誰なんだ?」
「このアイリスにこれから来るエルフの少年フレディと……それからサクラにバレました」
「サクラって言うとロードが助けた小娘か? そう言えば絶滅されたと言われている種族の生き残りらしい」
「え、何それ? 初耳です」

 ここでまたしても新情報を聞かされ驚きながらも、だから特別扱いされてたことに納得する。

 これも設定資料集にはなかったけれど、サクラに関しては表に出さなかった裏設定がいろいろとあるのかも。
 でもその種族ってどんなんだろう?

「? じゃぁどうしてロード達は救出なんてした」
「え! 子供達が心配だったから」
「くっ……偽善者だな」

 アイザックの誤解を嘘で解くと弱冠つまんなそうな表情を見せ、私とは正反対の答えが返ってきたもんだから苦笑だけして誤魔化そうとした。
 しかし不振に思ったのかアイザックは殺意ある強い眼差しで私に向けた途端、例えようがない恐怖を感じ涙が溢れ大声で泣く 。
 どうやら三歳児には耐えられない恐怖らしい。

「怖いよ~!」
「アイザック、いくらアカツキちゃんが大人びててしっかりしてたとしても、三歳児って言うことを忘れないでおいて」
「そうだったな。今のロードは幼女。隠し事をされると反射的にそうなるんだ」
「主が下僕に隠し事があっても、何も問題はないでしょ? 君下僕の自覚ある?」
「……それを言われたら何も反論できないな」

 予想外だったのか慌てふためくアイザックに、アイリスは鬼のようにマジ切れ寸前で激怒する。
 こっちも怖くて泣き声はさらに大きくなり、たぶん騒音レベル。
 自分を制御も出来ないからどうしようもない。

「アカツキちゃん、ごめんね。怖かったね。あっちにお菓子とオモチャがたくさんあるから、一緒に遊ぼうか?」
「おい。そう言うあやし方は教育上良くねぇ。ろくな大人に育たない」
「良くないってこの場合悪いのは君なんだから、誠意をもって謝るのは当然でしょ?」
「た、確かにそうだな。餓鬼には高い高いをすれば一発だ」

 意外にもアイザックは子供慣れしているようで子育て論はしっかりしていてた。ご機嫌とりなのか再び私を抱き上げ高い高いされる。

 最初のうちは普通で涙は止まり、面白くて笑顔が自然と浮かぶ。
 しかしアイザックの高い高いは普通であるはずがなかった。
 そのうち投げられる高さも高くなってきて、お腹に来る衝撃を感じ始める。

「アイザック、やりすぎだって」
「姉貴の子供には評判良いから、問題ないだろう?」
「問題大有りです!」

 ゲシッ

 危機感を感じだアイリスに止められるも言うことを聞かないアイザック。顔面にうまく体制を整え蹴りを入れ地面に沈める。

「アイリス、こいつをバスに閉じ込めといて」
「ラジャー! 簀巻きにしとくよ」
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