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お兄ちゃんの幸せを守りたい

28.依頼主はクリアに

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「助かったよ」
「どういたしまして。だけどあれはわざとだよね?」
「え、……素」
「…………」

 わざとやったと思われてたらしく真相を知った途端、会話が止まり憐れみの視線を向けら無言で頭をポンポンされる。
 完全に私は頭の弱い子だと思われなんだと思う。
 私もそう思うから何も言えない。


「二人とも、大丈夫? なんかおかしな現象が起きてたようだけど」
「たたいしたことじゃないです。それよりカードキーを入手しました」
「さすがだね」

 幸いお兄ちゃん達には私の失言を聞かれずに済みホッとしていると、にっこりしたアイリスが近づき耳元に顔を寄せ

「アカツキ猫ちゃん、とっても可愛かったよ。ありがとう」

 と満足げに囁かれて、私の顔にボッと火が付く。

「アじゃなかったリーダー、こんな時にふざけないで下さい」
「私は大真面目なんだけど」
「…………」

 ダメ元でアイリスに注意するもやっぱり悪気なく言われるだけ。それ以上は何も言えず、と言うかスルーでカードキーを差し込みロックを解除する。

「気合いを入れて行きますよ」

 と言ってドアを開けるとガラス張りの部屋があって、そこから子供達を様子が伺える。
 全員同じ白い服を着せられ。首輪と腕輪と足輪まで付けられている、一見自由に遊んでいるように見えるけれど、子供達は無表情。
 なんだか工作員育成……これから育てようとしているんだから見た目通りか。

「一体、これは?」
「子供達に付けられてる機械は、能力のすべてを数値で現す測定器。私が以前作った物だよ」
「は、ならリーダーさんは協力者?」
「いいや。私はただ報酬が良かったから、依頼を受けただけ。依頼人には興味ないから」
「リーダー、今度から依頼人に興味持っ、てせめて身元確認をしようよ。悪用されたらどうするの?」

 この光景に科学者の視点でしか見てないアイリス。驚きを隠せない私達に驚愕の事実を、淡々と話し出す。
 私とフレディはアイリスを知ってるため呆れて溜め息をつくのに対し、お兄ちゃんとマイケルはますます混乱し言葉をなくしてしまう。

 いくららしいからと言ったも依頼は慎重に受けてもらわないと、この世界が悪党に征服される恐れは十分に考えられる。
 それに一味だと思われて、捕まるかもしれない。

「そうだね。イロハちゃんがそう言うんなら、これからは徹底的に身元を調べてクリアーな依頼しか受けないことにする」
「うん。それで良いと思う」

 私の頼みだからなのかアイリスは喜んで二つ返事で頷く。
 そこまで徹底してくれるのなら、取り敢えず安心はできる。
 アイリスを騙せるような頭脳を持った人は、そう簡単にはいないはず。

 ……私ならアイリスを使って世界征服出来そうで怖いけれど、世界征服して何がそんなに楽しいのかまったく分からない。
 すべてが思い通りに行く世界になったとしても、そのうち物足りないって感じるんだろうな。

「だったらこの測定器は壊しておくね。ここをこうしてと」

 とアイリスは近くにあった絶賛稼働中の機械の扉を開け、弄くるとたちまち光が消え小さく爆発し破壊。流石にここまでやれば見つかるしかなく、中から係りの人が飛び出してきて、私達に銃を向ける。

「お前達、一体何をした?」
「何をって。マイエンジェルの命令で、測定器を壊しただけだけど」
「子供達を解放してくれれば、あなたの事は見逃します」
「それともあなた一人で僕達を相手にしますか?」

 これが本来のアイリスなのだろうギャグにも取れる答え。教育係の表情は険しくなり睨まれるけれど、私達は気にしないで脅し付きの選択を突き付け慎重に近づく。
 しかしこの人はきっと逃げれば組織に殺されるのだから、無理だと分かってても私達と戦うはず。

「確かに私一人では無理かも知れないが、残念ながらそうじゃない。あれを見ろ」
「え? 」
『!!』

 追い込まれているはずなのに、なぜか余裕たっぷりの教育係。
 言葉通り視線を子供達の方に合わせると、もう一人の教育係がよりにもよってサクラを捕まえ、額に銃を突きつけながらこちらにやって来る。
 私達が下手に動けば、サクラは射殺されてしまう。

「分かったみたいだな。という訳でおとなしく武器を捨てて投降しろ」
「…………」

 形勢逆転されてしまった。

 
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