133 / 157
6章 ラスボスへの道のり
114.最終決戦前夜 星歌編
しおりを挟む
「太くんと喧嘩でもしたのか?」
「え、してないけど」
「だったらどこか調子が悪いのか? 審判の花で何かあったのか?」
「? 元気だけど、なんで?」
メッチャ私を心配するパパだけど、心当たりがまったくなくって眉を曲げて問い返す。
むしろ審判の花のおかげで絆は深まった。
幸せいっぱいのなのに、どうして検討違いなことばかり聞くんだろう?
そんな風に見える?
「夕食の時、微妙な表情を太くんとしてたから」
「あ、それでか。それはフェイリルの友達の肉だと思ったら、躊躇してただけ。でも残すのは悪いと思って、全部食べたけどね」
「それなら良かった。変なことを聞いて悪かったな」
理由が分かるとパパはホッと笑みを浮かべ、私の頭をワシワシとなでる。
本当にパパはどこまでも心配性なんだからね。
そんな些細なことにすぐ気づいて必要以上に心配する。親ってみんなそう言う者なのだろうか?
「ねぇパパ。ちょっと変な話をするけれど、気を悪くしないでね」
「それって母さんのことか?」
お母さんについて話をしようとすると、察しがついているのか言い当てられてしまった。笑顔から覚悟した表情に変わる。
パパは知ってる?
「母さんの身体はシノブが作ったホムンクルス。マヒナがシノブの協力者ならば、高い確率で罠を仕掛けているだろうな?」
「知ってたんだね? そんなことなったら大丈夫?」
「それはなんとも言えないな。だが父さんの役目は星歌を守り抜くことだから、見失ったりはしない。そう言うことはすべてが終わらせてからだ」
迷いない瞳で私を見つめながら強く言うけれど、まったくと言って良いほど安心はできない。不安が積もるばかり。
もしお母さんに裏切られたらパパはどうなっちゃうのかな?
もう二度と笑ってくれない?
「パパはここで待ってる?」
却下されると分かっていても、一応ダメ元で聞いてしまう。
もし万が一頷かれたら、それはそれで結構困る。パパ抜きでシノブには多分勝てない。
「それは無理だよ。星歌だって待ってるのは無理だろう?」
「うん。私はシノブの魂を浄化する。二度と転生しないように」
パパが強く決意をしたように、私だってそう強く決意する。
聖女としての役目とかトゥーランを助けたいとかじゃなく、私自身のためシノブの魂を浄化してすべてを終わらせよう。
「魂を浄化? そんなこと出来るのか?」
「審判の花の加護は、悪しき物だけ浄化出来るんだ。だからもしシノブに良心が残っていれば、いい人になるってこと」
信じられないと言う表情になっていた。
流石のパパも、シノブに良心が残っているとは思えないらしい。
そうだよね?
今まで散々苦しめられてきたんだから、そうなるのは当然。パパも人の子だった。
「それはつまりスピカがシノブの罠だとしても、悪しき部分を浄化をすれば正常に戻るんだな」
「は、そうだね。もしお母さんに何かあっても、シノブと一緒に浄化の光を浴びせればいいんだ。そしたらお母さんは元に戻るね。パパって天才!!」
私には全然思いつかなかった解決策をすんなり導き出すパパ。
私って結構薄情な奴? それとも愛の深さの違い?
そんなことを思いながらも、嬉しさのあまりパパにダイビング。
これで親子三人仲良く暮らせるし、パパの笑顔は消えない。
本当の意味で幸せになれる。
「明日は絶対に負けられないな。──戦闘モードを使っていいか?」
「え」
「大丈夫。この日のために気力強化してきたから、今度は絶対幻夢に負けたりしない」
「パパの大丈夫は、あてにならないよ」
パパの意気込みは相当なもので堅い決意と分かっても、その言葉を聞いた瞬間嫌な予感がよぎり頷けず。
久しぶりに聞く信用のない大丈夫。
戦闘モードを使わなくても、みんながいるから勝てるはず。いくらシノブでも一対七……お母さんがシノブ側に着いたとしても、二対七。一溜りがない。
それともパパは怠慢でシノブとやろうとしている? なんで?
「そんなこと言わないでくれ。ちゃんと仲間とは連携を取るが、相手をするのはシノブ一人じゃないんだ。少なくてもマヒナとニシキと言う仲間がいるだろう?」
「? 三人同時戦になるの? 一人一人」
「そんなわけないだろう? なんでそんな効率が悪いことをするんだ? 魔王戦の時だって直近の部下達と魔王五人だったぞ」
「え、そうなんだ。その時パパ達は三人だったよね?」
ゲームの知識はここでも無意味だった。
言われてみれば確かに一人一人で戦うのはあまりにも不利。最強クラスが一気に襲った方がいいに決まっている。
ゲームは所詮プレイヤー有利になるよう作られた物か。
でもそしたら三対五ってパパ達の方が不利だった?
「あの時は何度も死を覚悟したが、星歌の顔を見るまでは死ねないとも思った。だから勝てたんだと思う。全力で挑まなければ、やられるんだ。だから許して欲しい」
「……分かった……。でも絶対に死なないで。私を一人にしないで。パパがいない未来なんて考えたくもない」
そこまで言われたら認めざる負えない。
屁理屈を言えばそれでも今回は七人なんだから、四人になった所でたかが知れている。だけどそう言うことでもなさそう。
魔王戦は機会があったら詳しく聞いてみたかったけれど、たぶん聞いたらいけない怖い内容なんだろう。少なくても仲間が一人死んでいる。だから聞かずが花と言う奴だ。
「ありがとう。父さんにとって、何よりも勇気が湧いてくる魔法の言葉だよ。明日は一緒に頑張ろうな」
「うん。絶対お前は下がってろとか言わないでよ?」
「努力はするよ。でも最後は星歌に任せるから」
パパにしては珍しく一緒に頑張ろうと言ってくれる。
でもやっぱり私には前線には行かせたくない。美味しいとこだけ持っていけ。
という気持ちがバンバン伝わってくるけれど、そこはあえてスルー。
私は当初通り私に出来ることを精一杯頑張ろう。
「え、してないけど」
「だったらどこか調子が悪いのか? 審判の花で何かあったのか?」
「? 元気だけど、なんで?」
メッチャ私を心配するパパだけど、心当たりがまったくなくって眉を曲げて問い返す。
むしろ審判の花のおかげで絆は深まった。
幸せいっぱいのなのに、どうして検討違いなことばかり聞くんだろう?
そんな風に見える?
「夕食の時、微妙な表情を太くんとしてたから」
「あ、それでか。それはフェイリルの友達の肉だと思ったら、躊躇してただけ。でも残すのは悪いと思って、全部食べたけどね」
「それなら良かった。変なことを聞いて悪かったな」
理由が分かるとパパはホッと笑みを浮かべ、私の頭をワシワシとなでる。
本当にパパはどこまでも心配性なんだからね。
そんな些細なことにすぐ気づいて必要以上に心配する。親ってみんなそう言う者なのだろうか?
「ねぇパパ。ちょっと変な話をするけれど、気を悪くしないでね」
「それって母さんのことか?」
お母さんについて話をしようとすると、察しがついているのか言い当てられてしまった。笑顔から覚悟した表情に変わる。
パパは知ってる?
「母さんの身体はシノブが作ったホムンクルス。マヒナがシノブの協力者ならば、高い確率で罠を仕掛けているだろうな?」
「知ってたんだね? そんなことなったら大丈夫?」
「それはなんとも言えないな。だが父さんの役目は星歌を守り抜くことだから、見失ったりはしない。そう言うことはすべてが終わらせてからだ」
迷いない瞳で私を見つめながら強く言うけれど、まったくと言って良いほど安心はできない。不安が積もるばかり。
もしお母さんに裏切られたらパパはどうなっちゃうのかな?
もう二度と笑ってくれない?
「パパはここで待ってる?」
却下されると分かっていても、一応ダメ元で聞いてしまう。
もし万が一頷かれたら、それはそれで結構困る。パパ抜きでシノブには多分勝てない。
「それは無理だよ。星歌だって待ってるのは無理だろう?」
「うん。私はシノブの魂を浄化する。二度と転生しないように」
パパが強く決意をしたように、私だってそう強く決意する。
聖女としての役目とかトゥーランを助けたいとかじゃなく、私自身のためシノブの魂を浄化してすべてを終わらせよう。
「魂を浄化? そんなこと出来るのか?」
「審判の花の加護は、悪しき物だけ浄化出来るんだ。だからもしシノブに良心が残っていれば、いい人になるってこと」
信じられないと言う表情になっていた。
流石のパパも、シノブに良心が残っているとは思えないらしい。
そうだよね?
今まで散々苦しめられてきたんだから、そうなるのは当然。パパも人の子だった。
「それはつまりスピカがシノブの罠だとしても、悪しき部分を浄化をすれば正常に戻るんだな」
「は、そうだね。もしお母さんに何かあっても、シノブと一緒に浄化の光を浴びせればいいんだ。そしたらお母さんは元に戻るね。パパって天才!!」
私には全然思いつかなかった解決策をすんなり導き出すパパ。
私って結構薄情な奴? それとも愛の深さの違い?
そんなことを思いながらも、嬉しさのあまりパパにダイビング。
これで親子三人仲良く暮らせるし、パパの笑顔は消えない。
本当の意味で幸せになれる。
「明日は絶対に負けられないな。──戦闘モードを使っていいか?」
「え」
「大丈夫。この日のために気力強化してきたから、今度は絶対幻夢に負けたりしない」
「パパの大丈夫は、あてにならないよ」
パパの意気込みは相当なもので堅い決意と分かっても、その言葉を聞いた瞬間嫌な予感がよぎり頷けず。
久しぶりに聞く信用のない大丈夫。
戦闘モードを使わなくても、みんながいるから勝てるはず。いくらシノブでも一対七……お母さんがシノブ側に着いたとしても、二対七。一溜りがない。
それともパパは怠慢でシノブとやろうとしている? なんで?
「そんなこと言わないでくれ。ちゃんと仲間とは連携を取るが、相手をするのはシノブ一人じゃないんだ。少なくてもマヒナとニシキと言う仲間がいるだろう?」
「? 三人同時戦になるの? 一人一人」
「そんなわけないだろう? なんでそんな効率が悪いことをするんだ? 魔王戦の時だって直近の部下達と魔王五人だったぞ」
「え、そうなんだ。その時パパ達は三人だったよね?」
ゲームの知識はここでも無意味だった。
言われてみれば確かに一人一人で戦うのはあまりにも不利。最強クラスが一気に襲った方がいいに決まっている。
ゲームは所詮プレイヤー有利になるよう作られた物か。
でもそしたら三対五ってパパ達の方が不利だった?
「あの時は何度も死を覚悟したが、星歌の顔を見るまでは死ねないとも思った。だから勝てたんだと思う。全力で挑まなければ、やられるんだ。だから許して欲しい」
「……分かった……。でも絶対に死なないで。私を一人にしないで。パパがいない未来なんて考えたくもない」
そこまで言われたら認めざる負えない。
屁理屈を言えばそれでも今回は七人なんだから、四人になった所でたかが知れている。だけどそう言うことでもなさそう。
魔王戦は機会があったら詳しく聞いてみたかったけれど、たぶん聞いたらいけない怖い内容なんだろう。少なくても仲間が一人死んでいる。だから聞かずが花と言う奴だ。
「ありがとう。父さんにとって、何よりも勇気が湧いてくる魔法の言葉だよ。明日は一緒に頑張ろうな」
「うん。絶対お前は下がってろとか言わないでよ?」
「努力はするよ。でも最後は星歌に任せるから」
パパにしては珍しく一緒に頑張ろうと言ってくれる。
でもやっぱり私には前線には行かせたくない。美味しいとこだけ持っていけ。
という気持ちがバンバン伝わってくるけれど、そこはあえてスルー。
私は当初通り私に出来ることを精一杯頑張ろう。
0
お気に入りに追加
62
あなたにおすすめの小説
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
転生調理令嬢は諦めることを知らない
eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。
それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。
子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。
最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。
八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。
それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。
また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。
オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。
同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。
それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。
弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。
主人公が酷く虐げられる描写が苦手な方は、回避をお薦めします。そういう意味もあって、R15指定をしています。
追放令嬢ものに分類されるのでしょうが、追放後の展開はあまり類を見ないものになっていると思います。
2章立てになりますが、1章終盤から2章にかけては、「令嬢」のイメージがぶち壊されるかもしれません。不快に思われる方にはご容赦いただければと存じます。
はじまりはいつもラブオール
フジノシキ
キャラ文芸
ごく平凡な卓球少女だった鈴原柚乃は、ある日カットマンという珍しい守備的な戦術の美しさに魅せられる。
高校で運命的な再会を果たした柚乃は、仲間と共に休部状態だった卓球部を復活させる。
ライバルとの出会いや高校での試合を通じ、柚乃はあの日魅せられた卓球を目指していく。
主人公たちの高校部活動青春ものです。
日常パートは人物たちの掛け合いを中心に、
卓球パートは卓球初心者の方にわかりやすく、経験者の方には戦術などを楽しんでいただけるようにしています。
pixivにも投稿しています。
神隠しの子
ミドリ
ホラー
【奨励賞受賞作品です】
双子の弟、宗二が失踪して七年。兄の山根 太一は、宗二の失踪宣告を機に、これまで忘れていた自分の記憶を少しずつ思い出していく。
これまで妹的ポジションだと思っていた花への恋心を思い出し、二人は一気に接近していく。無事結ばれた二人の周りにちらつく子供の影。それは子供の頃に失踪した彼の姿なのか、それとも幻なのか。
自身の精神面に不安を覚えながらも育まれる愛に、再び魔の手が忍び寄る。
※なろう・カクヨムでも連載中です
天使の住まう都から
星ノ雫
ファンタジー
夜勤帰りの朝、いじめで川に落とされた女子中学生を助けるも代わりに命を落としてしまったおっさんが異世界で第二の人生を歩む物語です。高見沢 慶太は異世界へ転生させてもらえる代わりに、女神様から異世界でもとある少女を一人助けて欲しいと頼まれてしまいます。それを了承し転生した場所は、魔王侵攻を阻む天使が興した国の都でした。慶太はその都で冒険者として生きていく事になるのですが、果たして少女と出会う事ができるのでしょうか。初めての小説です。よろしければ読んでみてください。この作品は小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも掲載しています。
※第12回ネット小説大賞(ネトコン12)の一次選考を通過しました!
出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
玲子さんは自重しない~これもある種の異世界転生~
やみのよからす
ファンタジー
病院で病死したはずの月島玲子二十五歳大学研究職。目を覚ますと、そこに広がるは広大な森林原野、後ろに控えるは赤いドラゴン(ニヤニヤ)、そんな自分は十歳の体に(材料が足りませんでした?!)。
時は、自分が死んでからなんと三千万年。舞台は太陽系から離れて二百二十五光年の一惑星。新しく作られた超科学なミラクルボディーに生前の記憶を再生され、地球で言うところの中世後半くらいの王国で生きていくことになりました。
べつに、言ってはいけないこと、やってはいけないことは決まっていません。ドラゴンからは、好きに生きて良いよとお墨付き。実現するのは、はたは理想の社会かデストピアか?。
月島玲子、自重はしません!。…とは思いつつ、小市民な私では、そんな世界でも暮らしていく内に周囲にいろいろ絆されていくわけで。スーパー玲子の明日はどっちだ?
カクヨムにて一週間ほど先行投稿しています。
書き溜めは100話越えてます…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる