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かまをかけてみた
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次にエクトル様が屋敷へ遊びに来たときは、赤い薔薇の花束を抱えて来た。こんなに薔薇の花が似合うとはさすが王子だと感心しつつ、私はまたもらった花を飾るようマリンに頼んだ。
結局アネモネは復活しなかったようで、一日しか見ることができなかった。その事実をエクトル様に言うのははばかられるので黙っておく。この薔薇は、長く一緒にいられたらいいけど。
「あぁ、羨ましいですわ。リアム様、私も婚約者から花をプレゼントされたいです」
今日はネリーもいつもの如く屋敷に来ていた。私が薔薇を貰っている姿を羨ましそうに見つめ、お兄様に花をねだっている。そしてお兄様は――。
「じゃあ、好きな花を庭から勝手に持っていけば?」
恋人ごっこをしたあの日から、ちょっとおかしい。
今だって、婚約者のネリーになんて対応だ。呆然と言葉をなくし口をあんぐりと開けるネリーが哀れに思えてくる。
このように、ネリーへの態度は急に冷たいものになり、更には。
「ミレイユ! 今から庭園に花を見に行くんだけど一緒に行こう!」
「え? あの、私は……」
「ネリー、花が欲しいんだって。俺はミレイユに似合う花をまた新しく選ぶよ。俺的にはさ、ミレイユに赤い花はあんまり似合わないと思うなぁ」
エクトル様への嫌味のクオリテイも、かなり上がっている。
「リアム、それはネリーと君とのふたりの時間を邪魔することになるんじゃないか? だから庭園にはふたりで行ってくればいいと思うよ」
「邪魔だって? 俺がミレイユに来てほしいだけですよ」
「……いやぁ、でもそれは逆に、僕とミレイユの時間を邪魔することになるとは思わない?」
「思ってます。だから邪魔してる」
「そんなはっきり言われてもな……」
なんの悪びれもないお兄様の態度を見て、エクトル様は苦笑する。
このように、最近はお兄様大暴走状態。ヤンデレというよりしつこいストーカーというか、度の超えたシスコンというか……なんか惜しい。
そんな暴走の止め方もわからないまま、今日もエクトル様とあまりじっくりと話す時間がないまま終わった。
お兄様ともキス未遂事件があって以来、一度もふたりきりになっていない。お兄様はあの日のことを、どう考えているのだろう……。
さすがに今の状況はエクトル様にも悪いし、もうネリーとお兄様を見てつらい気持ちにならないので、私が王宮に行ったほうがいいのかしら。
でも、絶対お兄様がついてきそうだ。おまけにネリーまでついてきたら、王宮に多大な迷惑をかけることが目に見えている。
何度目かわからないけど改めて言わせてもらう。どうしてこうなった。
「……あら?」
次の日、目が覚めて部屋を出ると、飾られていた薔薇がなくなっていることに気づく。
さすがに不審に思い、私は早急にマリンに薔薇のことを問いただした。
「マリン、薔薇はどうしたの?」
「お嬢様、えっと……その件については」
「この前のアネモネも、私は結局見られずに終わったじゃない。私になにか隠してることでもあるの?」
薔薇のことを聞くと口ごもるマリンを見て、絶対になにかあると思い、私はマリンに詰め寄った。
「お嬢様! ……話しますので、もう少しお静かに」
部屋の外で騒ぎだした私をマリンは制止する。周りを見渡すと、誰もいないことを確認してすぐに私の部屋へと一緒に入るマリン。
「マリン。一体なにがあるの?」
「……誰かが、エクトル王子からいただいたお花に悪さをしているのです」
「悪さ?」
「はい。飾った次の日、いつもぼろぼろで、無残に踏み潰されていて……。他の花は無事なんです。エクトル王子がくれたアネモネと薔薇だけがこんなことに……。勝手ではありますが、自己判断でお嬢様の目に入る前に処理させていただきました。隠していて、申し訳ございません」
ぼろぼろで、踏み潰されている? エクトル様がくれた花だけが?
「誰がそんなことを……」
「犯人を目撃したわけではないのでわかりませんが、恐らく、屋敷内の人間かと」
あんなに人が通る廊下に飾られている花にそんなことができるタイミングなど、屋敷の人間が寝静まった夜以外考えられない。それも含め、屋敷の人間の誰かであることは確実だ。
……まさか、いや、別にまさかでもないか。
こんなことするの、お兄様くらいしかいないんじゃないのか。私の頭に、そんな考えがよぎる。
花を踏み潰すなんて最低な行為だし、管理していた人への冒涜ともいえる。
それなのに……なんで私、ちょっと興奮してるんだろう。
お兄様がやってると思うと、なんだかぞくぞくしてきた。忘れかけていたけど、私は頭のおかしい人が好きだ。とても好きだ。愛に狂って周りが見えない男なんて最高だ。
「お嬢様、どうかしました?」
「……えっ? なんでもないわ! それより私、犯人に心当たりがあるからちょっと今から探ってみる! エクトル様の花にそんな無礼なことをするなんて、放っておけないわ!」
「心当たりって……お嬢様、できればこのことは内密に。慎重に犯人を見つけたほうが」
「じゃあ行ってくる!」
「聞いてますかお嬢様!?」
マリンの助言も聞かず、私は部屋を飛び出しすぐ近くにあるお兄様の部屋をノックした。
「……ミレイユ? どうしたんだ。俺の部屋に来るなんて」
「いいから早く中に入れて」
「まだ外は明るいのに大胆だな」
部屋を訪ねることのなにが大胆なのか知らないが、お兄様は私の訪問に気をよくして、自らお茶を淹れ始めている。
「お兄様、ちょっと質問があるんだけど」
「なに? なんでも聞くから言ってごらん」
「エクトル様がくれたお花が起きたらなくなってたんです。花瓶に飾ってたのに。お兄様、なにか知りません?」
私はかまをかけてみることにした。すると、お兄様のお茶を淹れる手がピタリと止まる。
「……ああ。知ってるよ。君には言いづらいことだけどね」
含みのある言い方だ。
「なにが言いづらいの?」
なにか、見に覚えでも?
そう続けようとしたら、お兄様は振り向いて深刻な顔をしている。
「……あれ、マリンの仕業なんだ」
「……マ、マリンですって?」
「俺見ちゃったんだよね。夜中寝つきが悪くて一度部屋を出たら、マリンが花を踏んでるところ…」
「う、嘘よ! マリンがそんなことするはずないわ。私とエクトル王子の婚約をとても喜んでくれたもの」
「マリンは昔からエクトル王子に憧れていたんだよ。内心嫉妬してたんじゃないかな……。ミレイユはマリンのことが好きみたいだから、あんまり言いたくなかったけど……」
「……」
確かにマリンは前からよくエクトル王子のことをやたら褒めてたし、かっこいいと言っていたけどーー。
「俺が知ってるのはこれだけ。信じるか信じないかはミレイユ次第だ。だけどこれだけ言わせて?」
お兄様は私に歩み寄ると、両肩に手をそっと置いた。
「俺はいつだって、ミレイユのことを想ってるよ」
……その言葉の真意が、私にはまだわからなかった。
絶対にお兄様だと思ったのに、ここへ来て考えてもみなかった容疑者が浮上するなんて。
お兄様の部屋を出て自分の部屋に戻ると、そこには私のベッドのシーツを直しているマリンがいた。
「お嬢様! おかえりなさいませ。話も聞かず出ていくものですから心配いたしました。その……犯人は、わかりましたか?」
なんでだろう。お兄様の話を聞いてから、このマリンの態度が急に白々しく見えてしまう。
マリンなはずがないと思っていても、どこかで僅かな可能性を抱いている自分がいるのも事実だ。
お兄様だったらちょっとうれしいかもとか思っていたが、マリンだったら私は人間不信に陥りそう。
「結局、はっきりわからなかったわ……」
「……そうでしたか。お嬢様が誰と思ったのかは、また聞いてもいい話でよければ聞かせてください」
「ええ。そうする。あの、マリン。マリンはエクトル様のことどう思ってる?」
「エクトル王子ですか? ……王家の方でありながら私たち使用人にもとてもお優しく、華やかで明るく完璧な殿方だと思います。あんな素敵な方に愛されるお嬢様が、少し羨ましいですわ。ふふ」
「そ、そう……」
「では、私は仕事に戻りますので、なにかあればお申し付けくださいませ」
マリンはそのまま、私の部屋を出て行った。
エクトル様のことをべた褒めで、話しているときは見たこともない乙女な顔をしていた。
――これ、本当に犯人マリン説あり得たりする?
はっきりしない犯人に怯えながら、とりあえず私は犯人がわかるまで、エクトル様に花を持って来させないようにすることを決めた。
結局アネモネは復活しなかったようで、一日しか見ることができなかった。その事実をエクトル様に言うのははばかられるので黙っておく。この薔薇は、長く一緒にいられたらいいけど。
「あぁ、羨ましいですわ。リアム様、私も婚約者から花をプレゼントされたいです」
今日はネリーもいつもの如く屋敷に来ていた。私が薔薇を貰っている姿を羨ましそうに見つめ、お兄様に花をねだっている。そしてお兄様は――。
「じゃあ、好きな花を庭から勝手に持っていけば?」
恋人ごっこをしたあの日から、ちょっとおかしい。
今だって、婚約者のネリーになんて対応だ。呆然と言葉をなくし口をあんぐりと開けるネリーが哀れに思えてくる。
このように、ネリーへの態度は急に冷たいものになり、更には。
「ミレイユ! 今から庭園に花を見に行くんだけど一緒に行こう!」
「え? あの、私は……」
「ネリー、花が欲しいんだって。俺はミレイユに似合う花をまた新しく選ぶよ。俺的にはさ、ミレイユに赤い花はあんまり似合わないと思うなぁ」
エクトル様への嫌味のクオリテイも、かなり上がっている。
「リアム、それはネリーと君とのふたりの時間を邪魔することになるんじゃないか? だから庭園にはふたりで行ってくればいいと思うよ」
「邪魔だって? 俺がミレイユに来てほしいだけですよ」
「……いやぁ、でもそれは逆に、僕とミレイユの時間を邪魔することになるとは思わない?」
「思ってます。だから邪魔してる」
「そんなはっきり言われてもな……」
なんの悪びれもないお兄様の態度を見て、エクトル様は苦笑する。
このように、最近はお兄様大暴走状態。ヤンデレというよりしつこいストーカーというか、度の超えたシスコンというか……なんか惜しい。
そんな暴走の止め方もわからないまま、今日もエクトル様とあまりじっくりと話す時間がないまま終わった。
お兄様ともキス未遂事件があって以来、一度もふたりきりになっていない。お兄様はあの日のことを、どう考えているのだろう……。
さすがに今の状況はエクトル様にも悪いし、もうネリーとお兄様を見てつらい気持ちにならないので、私が王宮に行ったほうがいいのかしら。
でも、絶対お兄様がついてきそうだ。おまけにネリーまでついてきたら、王宮に多大な迷惑をかけることが目に見えている。
何度目かわからないけど改めて言わせてもらう。どうしてこうなった。
「……あら?」
次の日、目が覚めて部屋を出ると、飾られていた薔薇がなくなっていることに気づく。
さすがに不審に思い、私は早急にマリンに薔薇のことを問いただした。
「マリン、薔薇はどうしたの?」
「お嬢様、えっと……その件については」
「この前のアネモネも、私は結局見られずに終わったじゃない。私になにか隠してることでもあるの?」
薔薇のことを聞くと口ごもるマリンを見て、絶対になにかあると思い、私はマリンに詰め寄った。
「お嬢様! ……話しますので、もう少しお静かに」
部屋の外で騒ぎだした私をマリンは制止する。周りを見渡すと、誰もいないことを確認してすぐに私の部屋へと一緒に入るマリン。
「マリン。一体なにがあるの?」
「……誰かが、エクトル王子からいただいたお花に悪さをしているのです」
「悪さ?」
「はい。飾った次の日、いつもぼろぼろで、無残に踏み潰されていて……。他の花は無事なんです。エクトル王子がくれたアネモネと薔薇だけがこんなことに……。勝手ではありますが、自己判断でお嬢様の目に入る前に処理させていただきました。隠していて、申し訳ございません」
ぼろぼろで、踏み潰されている? エクトル様がくれた花だけが?
「誰がそんなことを……」
「犯人を目撃したわけではないのでわかりませんが、恐らく、屋敷内の人間かと」
あんなに人が通る廊下に飾られている花にそんなことができるタイミングなど、屋敷の人間が寝静まった夜以外考えられない。それも含め、屋敷の人間の誰かであることは確実だ。
……まさか、いや、別にまさかでもないか。
こんなことするの、お兄様くらいしかいないんじゃないのか。私の頭に、そんな考えがよぎる。
花を踏み潰すなんて最低な行為だし、管理していた人への冒涜ともいえる。
それなのに……なんで私、ちょっと興奮してるんだろう。
お兄様がやってると思うと、なんだかぞくぞくしてきた。忘れかけていたけど、私は頭のおかしい人が好きだ。とても好きだ。愛に狂って周りが見えない男なんて最高だ。
「お嬢様、どうかしました?」
「……えっ? なんでもないわ! それより私、犯人に心当たりがあるからちょっと今から探ってみる! エクトル様の花にそんな無礼なことをするなんて、放っておけないわ!」
「心当たりって……お嬢様、できればこのことは内密に。慎重に犯人を見つけたほうが」
「じゃあ行ってくる!」
「聞いてますかお嬢様!?」
マリンの助言も聞かず、私は部屋を飛び出しすぐ近くにあるお兄様の部屋をノックした。
「……ミレイユ? どうしたんだ。俺の部屋に来るなんて」
「いいから早く中に入れて」
「まだ外は明るいのに大胆だな」
部屋を訪ねることのなにが大胆なのか知らないが、お兄様は私の訪問に気をよくして、自らお茶を淹れ始めている。
「お兄様、ちょっと質問があるんだけど」
「なに? なんでも聞くから言ってごらん」
「エクトル様がくれたお花が起きたらなくなってたんです。花瓶に飾ってたのに。お兄様、なにか知りません?」
私はかまをかけてみることにした。すると、お兄様のお茶を淹れる手がピタリと止まる。
「……ああ。知ってるよ。君には言いづらいことだけどね」
含みのある言い方だ。
「なにが言いづらいの?」
なにか、見に覚えでも?
そう続けようとしたら、お兄様は振り向いて深刻な顔をしている。
「……あれ、マリンの仕業なんだ」
「……マ、マリンですって?」
「俺見ちゃったんだよね。夜中寝つきが悪くて一度部屋を出たら、マリンが花を踏んでるところ…」
「う、嘘よ! マリンがそんなことするはずないわ。私とエクトル王子の婚約をとても喜んでくれたもの」
「マリンは昔からエクトル王子に憧れていたんだよ。内心嫉妬してたんじゃないかな……。ミレイユはマリンのことが好きみたいだから、あんまり言いたくなかったけど……」
「……」
確かにマリンは前からよくエクトル王子のことをやたら褒めてたし、かっこいいと言っていたけどーー。
「俺が知ってるのはこれだけ。信じるか信じないかはミレイユ次第だ。だけどこれだけ言わせて?」
お兄様は私に歩み寄ると、両肩に手をそっと置いた。
「俺はいつだって、ミレイユのことを想ってるよ」
……その言葉の真意が、私にはまだわからなかった。
絶対にお兄様だと思ったのに、ここへ来て考えてもみなかった容疑者が浮上するなんて。
お兄様の部屋を出て自分の部屋に戻ると、そこには私のベッドのシーツを直しているマリンがいた。
「お嬢様! おかえりなさいませ。話も聞かず出ていくものですから心配いたしました。その……犯人は、わかりましたか?」
なんでだろう。お兄様の話を聞いてから、このマリンの態度が急に白々しく見えてしまう。
マリンなはずがないと思っていても、どこかで僅かな可能性を抱いている自分がいるのも事実だ。
お兄様だったらちょっとうれしいかもとか思っていたが、マリンだったら私は人間不信に陥りそう。
「結局、はっきりわからなかったわ……」
「……そうでしたか。お嬢様が誰と思ったのかは、また聞いてもいい話でよければ聞かせてください」
「ええ。そうする。あの、マリン。マリンはエクトル様のことどう思ってる?」
「エクトル王子ですか? ……王家の方でありながら私たち使用人にもとてもお優しく、華やかで明るく完璧な殿方だと思います。あんな素敵な方に愛されるお嬢様が、少し羨ましいですわ。ふふ」
「そ、そう……」
「では、私は仕事に戻りますので、なにかあればお申し付けくださいませ」
マリンはそのまま、私の部屋を出て行った。
エクトル様のことをべた褒めで、話しているときは見たこともない乙女な顔をしていた。
――これ、本当に犯人マリン説あり得たりする?
はっきりしない犯人に怯えながら、とりあえず私は犯人がわかるまで、エクトル様に花を持って来させないようにすることを決めた。
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