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秘密にして *
しおりを挟む「リヒトさん、ちょっと」
「何ですか?」
博士が行ってしまうと直ぐに、星來はリヒトを自室へ連れて来た。
彼をキッチンへ座らせると、自分はその正面へ立つ。
「正直に話して下さいね。博士にリヒトさんと俺の事、どこまで話しましたか?」
「どこまで? あー……」
思い当たる節があるのだろう、リヒトは恥ずかしそうに笑った。
「いつか『結婚』したいって言いました」
「結婚!?」
いきなり話が飛んで、星來は混乱した。
リヒトが星來に好感を持っているのは分かる。
でも、それは食料としてであって、人間のそう言うものと同じではないと思っていた。
美味しいばっかりで、好きとか、愛してるとか言われた事もないし。
もしかしたら結婚という形式にしておけば毎日気兼ねなく食欲を満たせると考えているのかもしれないと思い至って、星來はちょっと寂しくなった。
(そうか、リヒトさんにとってこれはセックスではないんだ。それなら博士に話していたとしても、恥ずかしい事ではない?)
「星來さん、ボクの事嫌いですか? 食べられるの嫌でしたか?」
「え、嫌では……ないです」
俯き加減になっていると、リヒトに頬を軽く撫でられて、星來の背中が泡立つ。
見上げると、またリヒトの目のキラキラが強くなっていた。
正直、星來はリヒトに食べられるのが嫌ではない。
気持ち良いし、心が満たされる。
事後も人間とした時みたいな怠さや痛みが無くて、スッキリしているくらいなので、たまになら食べさせても良いかな、とは思う。
「……でも、結婚は考えられないです」
「だったら、ずっと側にいるのは良いですか? ボクは間違いなく貴方より長く生きるでしょう。だから貴方が星になるまで見守りたいんです」
「そ……、俺のどこが良いんですか? 食べると美味しいからですか?」
「そればっかりじゃないですよ。他の人が貴方にこんな事したら怒りますよ」
「それは大変な」
星來の言いかけた言葉はリヒトに遮られた。
ピトっと少し粘着力のある唇が自分のものに張り付いたと思ったら、隙間から舌を捻じ込まれる。
彼の舌は人間のものとは思えない動きで星來の舌を弄んだので、離れる頃には口が痺れてしまった。
「ひどい」
やっとの事でそういうと、リヒトは楽しそうに自分の舌を出して見せた。
彼の舌はピンクラメのスライム色。
太さを変えてうねうねと蠢くのは、人間では絶対に出来ない動きだ。
今まで細かい部分は見せてくれなかったので、分からなかったが、こうやって改めて見ると、やはり彼はスライムなのだ。
例え外側が人間であっても中身は違う。
それを知って受け入れられるのは、星來だけだったのかもしれない。
そんなの、いくら長く生きられても孤独だ。
可哀想になって、星來は彼を抱きしめた。
「見守ってくれるのは嬉しいです。そのお礼に、たまになら食べてもいいですよ」
「やった! じゃあ、早速」
「今はダメですよ。隣に人がたくさんいるんですよ。声とか聞こえたら恥ずかしいじゃないですか」
「ボクの中に入ってしまえば、外に音が聞こえなくなりますよ」
そう言うと、突然リヒトの人型が崩れてスライムに変わる。
引っかかりがないので、着ていた服が滑り落ちた。
「星來さん眠いでしょう。このまま一緒に横になりましょうね」
そう言って、有無を言わさず空中へ浮かべられると、そのまま星來の部屋へ運ばれる。
そっとベッドへ下ろされ、サイコキネシスで服が次々に脱がされる、というより剥がされていった。
「待って、待って! 考紀を迎えに行かなくちゃ! 隣の人達が来るかもしれないし」
星來はこの後、考紀と楓をホテルから学校まで送って行くつもりだった。
それに、学校が終わったら、ここへ帰ってきて良いと伝えたい。
脱がされて行く服を押さえながら、星來は慌てた。
「大丈夫、彬が全部やってくれますよ。貴方が眠ってしまったら、ボクが全部対応しますし」
「そんな、彬さんだって疲れているでしょうに」
「どうせここに来るんだから平気ですよ」
珍しく皮肉なことを言って、リヒトは下着を履いたままの星來を、性急にスライムの身体へ包み込んだ。
「あぁ、やっぱり美味しい……」
下着を片足に引っ掛けたまま、足を折りたたんで、体の上に持ち上げられる態勢で星來は動けなくされた。
スライムの中で支えられているので辛くは無いが、もしも他の人に見られたらどうしようという格好である。
リヒトのラメが光り輝いて星來から外が見えないように、外から中で身悶える姿は見えないと思いたい。
「この奥が一番美味しいんです」
頭の中で声が響いて視線を上げると、尻を高く上げて晒した後孔の中を、柔らかいスライムが奥深くまで入り込んでかき回しているのが見える。
くちゅ、くちゅっと、滑ったスライムが奥を舐めるように蠢いて、今まで届いた事がない場所を柔く柔く舐められると、段々お腹の中が温かくなってきた。
(……気持ち良い)
こうやって、リヒトのする事は全部気持が良いと教え込まれている気がする。
そのうち抗えなくなって、リヒトの中から出られなくなってしまうかもしれない。
散々奥を舐められると、脚を下ろされて今度は横向きに寝かされた。
とたんに後ろに入っているものがさっきより太く、硬度を増し、中を埋められた事によって星來は満足感を覚えた。
しかも、今度は一部が細くなって、前の尿道部分にそろりと入り込んできた。
(あ、そこはダメ……)
初めてそこを許した星來は、いけない事をされている状態に興奮して、リヒトを強く締め付ける。
すると、後ろはそのままに、前に入り込んだ方が尿道の中を奥に進んだ。
少しの圧迫感とムズムズする刺激。
そちらに気を取られて後ろの力を抜くと、両方から精巣を狙って刺激されてしまう。
直接的な快感に叫びたいほどだが、喉奥も侵されているので声が出せない。
しかも、自分の自由にならないのが、また星來を興奮させる。
(あっ、イっちゃう、すごい、中……イイ!)
星來は何度も、何度も上りつめた。
リヒトの中で、食べられている。
太く固いものでゆるゆると浅い所にある良い場所を突かれながら、前に入っている細いものを一気に引き抜かれると、溜まっていた精子がドロリと後を追って出てきた。
(あっ、あっ、ああ~~~)
「いっぱい出た」
そう言うと、リヒトはそれを体内に取り込んで分解する。
全部出終わると、また尿道に細くなって入り、今度は中に残ったものまでチュルルっと吸い上げた。
(!!!)
星來がそんな事をされるのはもちろん初めてだ。
途轍もない快感に、脳内が真っ白になって、目の前がパチンと弾ける。
身体が勝手に痙攣し出し、体中の力が抜けていく。
弛緩したついでに、またもや色々な液体が体内から出たが、星來にそれを気にする余裕はなかった。
(すごいよ……こんなの、癖になったらどうしよう……)
今までで一番深くイった星來は、意識を手放し、そのまま眠ってしまった。
「……來さん、星來さん。起きられますか? そろそろ帰ってきますよ」
優しく揺り起こされて目を開けると、眩しい笑顔を湛えた、人間の姿のリヒトがベッドの端に座っている。
星來はハッとして起き上がり、身体を見るとどこにも情事の後は無く、キチンと服を着てエプロンまで付けていた。
「あ、あれ? 夢?」
「夢じゃないですよ」
リヒトが下腹部へ触れると、事後特有の怠さと甘い疼きがある事に気付く。
「はわ、あぁ……」
星來は今朝の事を思い出して真っ赤になってしまった。
「隣に人がいるのに……」
相変わらず、流されまくりな自分に頭を抱える。
そんな星來を気遣うように、リヒトが頭を撫でた。
「大丈夫です。ボクが全部吸収したので、音は絶対に聞こえていませんよ」
「吸収」
「今日も美味しかったです。ありがとうございます」
そう言ってリヒトは星來の唇に唇を重ねる。
暫くその感触を堪能していたが、このままでは最初から繰り返しになると思い、星來は無理やりリヒトから離れた。
「あー……」
リヒトが残念そうな声を上げる。
「もう、リヒトさんがこんな事してるって博士が知ったらびっくりしちゃいますよ。こんな事を教えて、俺、嫌われちゃうかも」
「え? こんな事って愛を確かめ合う行為でしょう? 博士にはちゃんと話してますよ。そうしたらとても喜んでくれて、星來さんを大切にしなさいって。それに、誰が星來さんを嫌いになるんですか? ボクが行って、どれだけ素敵な人か説明してきます」
嬉しそうにそう話すリヒトを見て、星來は硬直する。
――リヒトさん、意味を知ってた。しっかり話してた。
次から博士とどんな顔をして会えばいいのか。
星來は恥ずかしすぎて、そのままベッドへ撃沈した。
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