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第3章:魔人
殲滅(3)
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私は歩きながら、ふと言いました。
「ねえ、昔、ルークって、私に言ったでしょう。
私たちは魔王を倒しに行くんだって。
いろんな人が言ってたよね、魔王がいるって・・・魔王が悪いんだって・・・
でも、結局、魔王なんていなかったの?
あれって全部、嘘なの?
みんな魔王がこの世界を壊してるって言ってたけど、でも、図書館で歴史書を調べてみても、そんな記録はどこにもなかったよ・・・結局は人間が作った魔道が全部悪いの?」
ルークは少し困ったような表情で・・・
「そうなんでしょうね。
俺も最初はそう思ってたんですよ。
魔城があって、そこに魔王がいて、その魔王が悪の根源で、魔王を倒せば全て解決するって・・・
でも、だんだんわかってきたんです。
わかってきたというか、思い出してきたというか・・・自分でもよくわからないんだけど・・・
いろんな人が大陸に魔王がいるって言ってたけど・・・ 本当はそんなものはないんだって、わかってきたんです・・・
魔王なんていないんですね・・・それは戦争を正当化するための嘘だったんですね・・・
人間は戦争したいから、わかりやすい敵を作り出しているだけなんでしょうね・・・もしかしたら、嘘をついているうちに、何が本当なのか、自分でもわからなくなってきたのかもしれませんね・・・」
そうなんだ、とつぶやいてから、私はしばらく黙って歩いていました。
D地区を出てから、しばらく魔人や魔物が現れていません。
でも、いたるところに戦いの跡が残されていました。
ここは戦場なのです。
しかも、ビドラカの街に近づくにつれて、その数は多くなり・・・
これから、多くの敵と戦わなければならないのです。
この大陸に上陸した時に港で見たような、大勢の兵隊と・・・
私たちはもっと強くならなければなりません。
ルークの魔剣の光の矢にしても、私の中級攻撃魔法にしても、高が知れているのです。
大勢の兵隊と・・・つまり大きな部隊と戦うことはできないのです。
相手は大勢いて、しかも訓練されていて、武器も持っていて・・・そういう敵と、これから戦わなければならないのです。
もちろん、なるべく戦いは避けるべきなのでしょう・・・
魔人の部隊のような強敵と真っ向からぶつかり合ったのでは、私たちに勝ち目はありません。
それに、私たちの目的は戦うことではないのです。
戦って勝つことではないのです。
ドルト遺跡の中にある、巨大な魔道を塞ぐこと・・・それが私たちがやるべきこと・・・
そのためには、まず、遺跡に辿り着かなければなりません。
だから、途中での戦闘はなるべく避けるべきなのです。
でも・・・そうだとしても・・・
・・・もっと強くならないと・・・
「ねえ、昔、ルークって、私に言ったでしょう。
私たちは魔王を倒しに行くんだって。
いろんな人が言ってたよね、魔王がいるって・・・魔王が悪いんだって・・・
でも、結局、魔王なんていなかったの?
あれって全部、嘘なの?
みんな魔王がこの世界を壊してるって言ってたけど、でも、図書館で歴史書を調べてみても、そんな記録はどこにもなかったよ・・・結局は人間が作った魔道が全部悪いの?」
ルークは少し困ったような表情で・・・
「そうなんでしょうね。
俺も最初はそう思ってたんですよ。
魔城があって、そこに魔王がいて、その魔王が悪の根源で、魔王を倒せば全て解決するって・・・
でも、だんだんわかってきたんです。
わかってきたというか、思い出してきたというか・・・自分でもよくわからないんだけど・・・
いろんな人が大陸に魔王がいるって言ってたけど・・・ 本当はそんなものはないんだって、わかってきたんです・・・
魔王なんていないんですね・・・それは戦争を正当化するための嘘だったんですね・・・
人間は戦争したいから、わかりやすい敵を作り出しているだけなんでしょうね・・・もしかしたら、嘘をついているうちに、何が本当なのか、自分でもわからなくなってきたのかもしれませんね・・・」
そうなんだ、とつぶやいてから、私はしばらく黙って歩いていました。
D地区を出てから、しばらく魔人や魔物が現れていません。
でも、いたるところに戦いの跡が残されていました。
ここは戦場なのです。
しかも、ビドラカの街に近づくにつれて、その数は多くなり・・・
これから、多くの敵と戦わなければならないのです。
この大陸に上陸した時に港で見たような、大勢の兵隊と・・・
私たちはもっと強くならなければなりません。
ルークの魔剣の光の矢にしても、私の中級攻撃魔法にしても、高が知れているのです。
大勢の兵隊と・・・つまり大きな部隊と戦うことはできないのです。
相手は大勢いて、しかも訓練されていて、武器も持っていて・・・そういう敵と、これから戦わなければならないのです。
もちろん、なるべく戦いは避けるべきなのでしょう・・・
魔人の部隊のような強敵と真っ向からぶつかり合ったのでは、私たちに勝ち目はありません。
それに、私たちの目的は戦うことではないのです。
戦って勝つことではないのです。
ドルト遺跡の中にある、巨大な魔道を塞ぐこと・・・それが私たちがやるべきこと・・・
そのためには、まず、遺跡に辿り着かなければなりません。
だから、途中での戦闘はなるべく避けるべきなのです。
でも・・・そうだとしても・・・
・・・もっと強くならないと・・・
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