転生したら魔力ゼロの魔術師に・ロリ系美少女の愛の大冒険旅

ヤクモ　ミノル

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第３章：魔人

ドール（機械人形）との出会い（５）

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　私は逃げようとしていました。
　必死で手足を動かし、機械の外へ出ようと・・・
　体をねじり、私を拘束している器具を外そうと・・・
　
　ドールはそれをじっと見ていました。
　彼女は隣の機械の点検を始めようとしていたのですが、私のところに戻ってきたのです。
　それから、彼女は右手を振り上げて、殴ろうとしました。
　・・・どうして？　どうして私を殴るの？・・・
　・・・私が逃げようとしているから？　やっぱり、あなたは監視人なの？・・・

　ドールは右手を振り下ろし・・・その拳は、私の頭の横に接続されている機械を壊しました。
　彼女は私の頭を・・・。

　ドールは私を見ています。
　彼女はまた右手を振り上げ・・・私が治してあげた右手を・・・そして私を・・・
　・・・殺される・・・狂った機械に殺される・・・
　・・・こんな機械、助けなきゃよかった・・・せっかく修理してあげたのに・・・修理してあげた腕で私を殺すなんて・・・ひどい・・・

　でも、彼女がやろうとしていたことは・・・それは、私の予想とは違いました。
　決して私を殺そうとしていたわけではなかったのです。
　ただ、私を拘束している機械を壊そうとしていただけ・・・

　でも、そんな乱暴なやり方ではなく、もっと違う方法はないのでしょうか。
　ドールはこの機械の仕組みや使い方を知っているのです。
　私の拘束を解除するような機能がこの機械にもあるはず・・・ちゃんと機械を操作して、静かに私を逃がしてくれればいいのに・・・
　でも、なぜか、ドールは物理的に装置を壊そうとしているのです。
　きっと、この機械人形も頭がおかしくなっているのでしょう。仕方ありません・・・
　ドールは、私を拘束していた部品を乱暴に壊し、引きちぎり・・・
　でも、長い間体を固定されていたので、起き上がれないのです。
　足腰に力が入らない・・・

　その時、部屋中で警報のようなものが鳴り始めました。いや、部屋の外でも・・・建物中で・・・
　きっと、何かが機械の異常を検知したのでしょう。
　大きな音がしています。
　異常を通知するサイレンなのです。
　大勢の人間の足音が・・・
　まずいです・・・また、つかまってしまいます・・・

　すると、ドールはいきなり、私の体を肩の上に担ぎ上げて、走り出したんです。
　しかも、部屋を飛び出すと、やってきた人間を何人も殴りつけて・・・
　それから、外に出ると・・・外は真っ暗でした・・・夜中のようでした・・・
　暗闇の中でも、ドールにはちゃんと周囲が見えているようでした。

　やはり、ここは軍の工場だったんです。
　私は軍の武器工場の地下に閉じ込められていたのです。
　
　ドールは私を肩に担いだまま走っていました。
　でも、敷地の外へ逃げようとはしないのです。
　なぜか、別の建物の中に入り、また、地下に降りていきました。
　その間にも、何人もの人間を蹴飛ばしたり、殴ったりして・・・
　ドールは恐ろしいほどひどいことをしているんです。でも、それは私を逃すため・・・

　地下に降りると、そこには牢がありました。
　ドールは私を担いだまま、牢の中を走りました。
　そして、一つの牢の前に・・・そこにはルークが捉えられていて・・・
　その牢の鍵をあけると、ドールはまた、建物の外に向かって走り始めて・・・

　ルークも後ろからついてきます。
　彼は私と違って元気そうでした。
　取り返した自分の剣を振り回しながら、追ってくる人間を次々に倒し・・・

　ドールは私を担いだまま、高い塀をよじ登り、乗り越え・・・
　それから、魔人に襲われて焼け野原になった街を走りました。
　しばらく逃げてから、追ってくる人間がいないことを確認すると、やっと立ち止まり、私を地面にそっと下ろしてくれました。

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