転生したら魔力ゼロの魔術師に・ロリ系美少女の愛の大冒険旅

第２章：魔道

人殺しの魔人（６）

　宿の外に吹き飛ばされ、路上に散乱した私の体は蘇生し・・・立ち上がり・・・
　私は、すぐに魔法の杖とルークの魔剣をつかむと、全速力で階段をかけあがり、ルークとクティカのいる部屋へと・・・

　しかし、部屋の中には男が・・・クティカに襲い掛かろうとしている男が・・・
　私は反射的に魔剣を振り上げ・・・
　すると、男は振り向いて大声で・・・
「俺を斬るな・・・封印が・・・魔剣の封印が・・・」

　クティカに襲いかかっていたのは・・・いえ、クティカを助け起こそうとしていたのはルークでした。
　ルークは魔剣で斬りつけようとしている私を大声で制止し・・・
　それはそうでしょうね・・・彼の言う通りです・・・魔剣の封印を解いているのですから・・・今、この剣で斬られれば死ぬのですから・・・ルークが慌てるのも、ごもっともです・・・ごめん、ちょっと慌てちゃって・・・

　私はルークとクティカを一緒に抱きしめて・・・
　ルークは不思議そうな表情で私に言うのです。
「どうやって、生き返ったんですか？　だって、蘇生魔法は難しいって・・・蘇生したら、別人になっちゃうって言ってたでしょう」

　私はまだ少し息が荒いまま説明しました。

　私は《魔人》の足元に落ちているルークの魔剣を拾い上げようとした瞬間に、もう一つの重要なことに気がついていたのです。
　確かに蘇生魔法は非常に難しいのです。
　体の隅々まで、しっかりとイメージしていなければ、元の人間を再生できない・・・しかも、それは体だけではなく、思考や感情も・・・だから、他人を蘇生させるのはとても難しいのです。
　他人を蘇生させると大抵は別人になってしまうのです。記憶や性格が変わってしまう・・・
　でも・・・自分を蘇生させることはできるのです・・・
　なぜなら、自分のことなら隅々まで知っていますから・・・何を考えているのか、何を感じているのか・・・肉体だけではなく、頭の中や心の中まで、全部知っているのです・・・何しろ自分のことですから・・・だから・・・
　でも、自信はありませんでした。
　自分が蘇生できる確率は五分五分だと思っていました。
　それでも、やってみる価値はあると・・・二人を救えるのなら、やってみる価値が・・・・

　ルークはまだ信じられないような顔で私を見ていました。
「でも、もしかしたら、やっぱり別人になってしまったかも・・・ソフィアさん・・・胸を触らせてくれませんか・・・胸を・・・どのくらい柔らかいか・・・本当に本人かどうか確かめたいんです・・・」
　私は近づいてくるルークの手を叩きながら・・・でも、ちょっとうれしかったりして・・・

　しかし、残念なことに、私は自分の命をかけて戦ったのですが、《魔人》には勝てなかったようです。
　何本もの光の矢が彼の心臓を貫いたものの、彼が倒れることはなく、そのまま逃げ去ったのだと。

　結局、彼が誰だったのか、何のために私たちに付きまとい、殺そうとまでしたのかは、わからないままでした。

　ルークは、その《魔人》をとても恐れていました。
　あんな魔物は見たことがないと・・・
　魔人にしても魔物にしても、恐ろしいほどの魔力があります。
　だから、強い・・・人間なんか太刀打ちできないほど強い・・・
　でも、あの《魔人》の強さは魔力だけではなかっのだと。
　武術の訓練を受けた者の剣の使い方だったのだと。
　
「あんな強い魔人には会ったことがありません。
　きっと、彼に魔力がなかったとしても、私は負けて斬られていたでしょう。
　魔物のなかに、あんな者がいるなんて・・・」

　それから、彼はつぶやくように言いました。
「彼の目的が何なのかわかりません・・・でも、私たちを追っていることは確かですね・・・
　だから、きっといつかまた会うことになるのでしょう」
　それから、ルークは少し苦しそうな声で言いました。
「助けてくれてありがとうございます。
　でも・・・でも、もうこんな危ないことはしないでほしい。
　俺は、あなたが死ぬのを見るのは、自分が死ぬよりも辛いんです」