3 / 50
序章
魂の傷
しおりを挟む
私は同級生に殺された。
赤茶色の縮れた髪が原因で酷い虐めにあった。
子供とは残酷な生き物。
絡まって伸ばせない髪を馬鹿にし、蔑むだけでは済まない。
行為はエスカレートしていき、身も心もボロボロだった。
親は仕事に夢中で、お金さえ与えれば責任を果たしていると勘違いしていた。
物を壊されても、服は切られても、身体中が傷や痣だらけでも助けてはくれない。
いつしか外に出なくなり、ゲームの世界にハマっていった。
同級生達は、隠れてる事すら許してはくれなかった。
彼等は、私の家まで押し掛けてきた。
殴り飛ばされた私は、ガラスのテーブルに頭を打ち付け死んだ。
でも人為的な事故で処理されるかもしれない。
もしくは自殺にされるかも。
両親や周りの人間に期待するだけ無駄。
神様だって信じない。
薄れる意識の中、私は海の夢を見た。
その人は海の匂いがする高貴な方だった。
水底の様な蒼い髪に、波打つ水面のようにキラキラした水色の瞳で私を見詰め。
白く大きな手は、私の自慢だった美しい黒髪を撫でながら愛を囁いてくれた。
私はとても幸せだった。
ところが、あの人の妹さんの自慢の庭園で愛しあっていたところに、妹さんが激怒しながら乗り込んできて、事態は一変した。
怒り狂った彼女は、私の頭に薬品を浴びせかけた。
肌は爛れ、髪は溶け、彼が愛してくれた私とは掛け離れた姿に発狂した。
私は牢屋に入れられたけど、彼は隠れて逢いに来てくれた。
暗い石造りの牢屋で、顔や肌が出ないように大きめなローブを纏っていた。
肌が焼ける苦しみも彼が来てくれたら、忘れられた。
そんな、ささやかな幸せも、彼女は許してくれなかった。
私の為に抗議してくれた優しい姉達と共に、ありもしない罪を被せられ、醜い姿を晒されて首を切り落とされた。
愛する人の目の前で………。
時の権力者とは、自分の行いを正当化して広めるものなのだと知った。
童話や神話の真実を知る者は少ない。
私はメデューサ.ゴルゴン。
髪が蛇ではなかったし、目で石になど出来なかった………ただ、愛する人と引き裂かれ処刑された貴族の娘だった。
転生した身体にも影響が出るくらいに、私の魂は傷付いていた。
ダダでさえ傷が酷く転生までに、かなりの年月が過ぎ、やっと生まれ変わっても、その傷は赤茶色の縮れ髪に現れてしまった。
これは天罰なのだろうか。
勝てば官軍とは、よく言ったものです。
処刑された私は、悪者………化け物として伝えられている。
私は、大好きな人と愛し合っただけなのに。
赤茶色の縮れた髪が原因で酷い虐めにあった。
子供とは残酷な生き物。
絡まって伸ばせない髪を馬鹿にし、蔑むだけでは済まない。
行為はエスカレートしていき、身も心もボロボロだった。
親は仕事に夢中で、お金さえ与えれば責任を果たしていると勘違いしていた。
物を壊されても、服は切られても、身体中が傷や痣だらけでも助けてはくれない。
いつしか外に出なくなり、ゲームの世界にハマっていった。
同級生達は、隠れてる事すら許してはくれなかった。
彼等は、私の家まで押し掛けてきた。
殴り飛ばされた私は、ガラスのテーブルに頭を打ち付け死んだ。
でも人為的な事故で処理されるかもしれない。
もしくは自殺にされるかも。
両親や周りの人間に期待するだけ無駄。
神様だって信じない。
薄れる意識の中、私は海の夢を見た。
その人は海の匂いがする高貴な方だった。
水底の様な蒼い髪に、波打つ水面のようにキラキラした水色の瞳で私を見詰め。
白く大きな手は、私の自慢だった美しい黒髪を撫でながら愛を囁いてくれた。
私はとても幸せだった。
ところが、あの人の妹さんの自慢の庭園で愛しあっていたところに、妹さんが激怒しながら乗り込んできて、事態は一変した。
怒り狂った彼女は、私の頭に薬品を浴びせかけた。
肌は爛れ、髪は溶け、彼が愛してくれた私とは掛け離れた姿に発狂した。
私は牢屋に入れられたけど、彼は隠れて逢いに来てくれた。
暗い石造りの牢屋で、顔や肌が出ないように大きめなローブを纏っていた。
肌が焼ける苦しみも彼が来てくれたら、忘れられた。
そんな、ささやかな幸せも、彼女は許してくれなかった。
私の為に抗議してくれた優しい姉達と共に、ありもしない罪を被せられ、醜い姿を晒されて首を切り落とされた。
愛する人の目の前で………。
時の権力者とは、自分の行いを正当化して広めるものなのだと知った。
童話や神話の真実を知る者は少ない。
私はメデューサ.ゴルゴン。
髪が蛇ではなかったし、目で石になど出来なかった………ただ、愛する人と引き裂かれ処刑された貴族の娘だった。
転生した身体にも影響が出るくらいに、私の魂は傷付いていた。
ダダでさえ傷が酷く転生までに、かなりの年月が過ぎ、やっと生まれ変わっても、その傷は赤茶色の縮れ髪に現れてしまった。
これは天罰なのだろうか。
勝てば官軍とは、よく言ったものです。
処刑された私は、悪者………化け物として伝えられている。
私は、大好きな人と愛し合っただけなのに。
0
お気に入りに追加
1,434
あなたにおすすめの小説
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
扇 レンナ
恋愛
スパダリ系執着王太子×愛を知らない純情令嬢――婚約破棄から始まる、極上の恋
伯爵令嬢テレジアは小さな頃から両親に《次期公爵閣下の婚約者》という価値しか見出してもらえなかった。
それでもその利用価値に縋っていたテレジアだが、努力も虚しく婚約破棄を突きつけられる。
途方に暮れるテレジアを助けたのは、留学中だったはずの王太子ラインヴァルト。彼は何故かテレジアに「好きだ」と告げて、熱烈に愛してくれる。
その真意が、テレジアにはわからなくて……。
*hotランキング 最高68位ありがとうございます♡
▼掲載先→ベリーズカフェ、エブリスタ、アルファポリス
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
一途な皇帝は心を閉ざした令嬢を望む
浅海 景
恋愛
幼い頃からの婚約者であった王太子より婚約解消を告げられたシャーロット。傷心の最中に心無い言葉を聞き、信じていたものが全て偽りだったと思い込み、絶望のあまり心を閉ざしてしまう。そんな中、帝国から皇帝との縁談がもたらされ、侯爵令嬢としての責任を果たすべく承諾する。
「もう誰も信じない。私はただ責務を果たすだけ」
一方、皇帝はシャーロットを愛していると告げると、言葉通りに溺愛してきてシャーロットの心を揺らす。
傷つくことに怯えて心を閉ざす令嬢と一途に想い続ける青年皇帝の物語
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
果たされなかった約束
家紋武範
恋愛
子爵家の次男と伯爵の妾の娘の恋。貴族の血筋と言えども不遇な二人は将来を誓い合う。
しかし、ヒロインの妹は伯爵の正妻の子であり、伯爵のご令嗣さま。その妹は優しき主人公に密かに心奪われており、結婚したいと思っていた。
このままでは結婚させられてしまうと主人公はヒロインに他領に逃げようと言うのだが、ヒロインは妹を裏切れないから妹と結婚して欲しいと身を引く。
怒った主人公は、この姉妹に復讐を誓うのであった。
※サディスティックな内容が含まれます。苦手なかたはご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる