モブっと異世界転生

月夜の庭

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獣耳イケメン王子達とドキドキ学園ライフ

快適学園ライフとヒロインの誤算

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「サクラちゃん、一緒にカフェでランチしましょう?」


どの学年でもX組は男子率が高いらしくて、少ない女子生徒達は実力も伴いエリート意識が高いなる。その為にプライドが高い女子生徒達多くなり、彼女達が打ち解けるのには時間が掛かります。中には6年間の学園生活の中で、無言で牽制しあい1度も話さない女子生徒も居るらしい。サクラが飛び級した2年生のX組の女子生徒5人しか居ませんでした。


今はサクラとカメリアが増え、7人の女子生徒が在籍している。


ちなみに翡翠には、先輩呼びを本気で嫌がられたので呼び捨てにさせてもらっています。


2年生は特に少ないのだと、マルカブが教えてくれました。


冒頭で私に声を掛けてくれたのは白い羽根が綺麗で、緑色の髪と目が可愛らしい鷺族の舞冬まいかです。翡翠とはタイプが違うお姫様オーラを感じる女の子です。


「はい」


「翡翠さんも行きましょうよ」


フサフサの尻尾と大きな耳が茶色で、所々黒が混じる犬族でシェパードのソフィアは、キリッとした凛々しい表情に、ピンと伸ばされた背筋が気難しそうに見えるけど、実は可愛いものが大好きな女の子で、初日にカミングアウトされて”一生のお願いです!そのラベンダー色の髪の毛をモフらせて下さい!!”と土下座されていたビックリしたけど、膝に乗せられ大人しく撫でられていると釣り上がっていた目尻が垂れ幸せそうな顔でギューッと抱き締められた。


余談だけど小型動物系の特に猫族は愛苦しい見た目もあり、毛繕いや求愛とは関係なく、モフりたい衝動に駆られる人が多いらしいです。


よほど相手の猫族が嫌がってない限り、微笑ましい光景として暖かい目で見られる傾向にあります。


私をモルふらせてと懇願するソフィアを見て、好みが合うと判断した翡翠が話し掛け、即効で打ち解け、よく2人で話し込んでいる事が増えました。


サクラとカメリアが可愛いと盛り上がっているのは、本人達以外はクラス全員が知っていた。


「仲間外れ………イヤ」


舞冬よりも大きな翼は白地に黒い羽根が斑にまじり、大きな青い目が闇夜に輝くようにキラリと輝く梟族のエーナーも闇属性でカメリアと打ち解けるのが早かった。


「狡いわ。私にも声を掛けてよ!」


最後に来たのが、人間に近い風貌のゴリラ族のディエリは、少し浅黒い肌に黒い髪の毛の身長が1番高い。動物のゴリラみたいにムキムキなんてことは無くモデル体型の母性溢れる優しい女の子です。


ただ力が強過ぎて扉や壁を壊してしまう事が多いとかで、私とカメリアが飛び級してくるまでは大人しくしていたそうです。


でも2人を可愛がりたい衝動には勝てずに寝ているカメリアを抱っこしていました。


つまり、私達がクラスに来てから、7人しか居ない女子生徒は珍しく全員が仲良しなのです。


寮に案内してくれた翡翠に「こんなに早くクラスメイトの女子達と打ち解けられたのは、全てサクラとカメリアのお陰じゃ」と嬉しそうに私を抱き締める姿が可愛いかったです。


そんな微笑ましい光景を他のクラスメイト達も嬉しそうに眺めていた。X組の中で可愛い猫族の2人を年下だからと馬鹿にする生徒は1人も居ませんでした。


まさに2年生のX組は、サクラとカメリアを中心に纏まっていました。


7人の女子生徒が一緒に行動する事が多く、その光景を先生達も嬉しそう見守っていました。


「あら、今日の日替わりランチはベーグルサンドね。中身はスモークサーモンとクリームチーズね」


「美味しそう。でもエビとアボカドのサンドイッチも気になる~♡」


「なら1切れずつ」


「うん。シェアしよう」


「えぇ」


お魚が好きな舞冬とサクラは食の好みが合い、違うメニューをわざと頼んでシェアしていました。


(自分で料理するには魚って面倒くさいから、つい外で食べたくなるんだよね)


エーナーとカメリアは噛むのが面倒くさいからと麺類を頼むことが多く、翡翠とソフィアとディエリの3人は比較的 肉が多い。


最早の定番であるBOX席に7人で座れば、他の生徒たちの視線を集めるのだけど、彼女達には何処吹く風です。


そしてラベンダー色の猫族の女子生徒が注目されればされる程、飛び級した理由も広がっていきました。


「サクラちゃんが、本当はカメリアちゃんみたいに黒猫だったって本当なの?」


注文を終えて、まったりしていると心配そんな顔で舞冬が聞いてきた。


「あ」


「サクラの腕とか肋骨がボキボキに折れてて、熱や痛みに1週間くらい苦しんでる間に色が抜け落ちたの」

言葉を失った私の代わりにカメリアが話し始めてビックリしました。


「そんなに酷かったのかえ?」


「えっと「あの女だけは許さない」」


私が大丈夫だと言って話を終わらせようとしたけど、被せるようにカメリアがハッキリ言い放った。


「あたしは突き飛ばさて意識を失っていたから、あまり殴られなかったけど。目が覚めて血塗れの包帯だらけのサクラを見て死ぬほど後悔した。お父様の部下で治癒魔法が使える人達が近くに居たから治せたけど、痛みと熱は取ってあげられなかった。見てるしか出来なくて悔しかった」


「やめよ。カメリアの気持ちは嬉しいけど、もう終わった事だよ。大丈夫、私は元気だもの。それに人が多いカフェで話す様な内容じゃないから」


「サクラは優し過ぎるから心配」


「「「「「………」」」」」


5人が恐い顔をしているので、とりあえず話題を逸らしたくてカフェの入口に視線を向けると、赤いリボンタイを結んだアンジェが立っていました。


なんてタイミングで現れるのよ!お願いだから大人しくしててよ?!


そんな私の気持ちも知らずに、視線が合うと不機嫌そうに眉間に皺を寄せて睨まれた。恐くて慌てて視線を外すとズカズカと足音を立てながら近寄って来ました。


「気持ち悪い腐った色の猫がイキがりやがって。目障りなんだよ、モブのくせに。あの時に死ねば良かったのに」


鋭い言葉に胸が痛んだ。なんで、あんなに優しかったアンジェが豹変したのか分からなかったけど、ハッキリと私を”モブ”と呼んだので、自分がヒロインと自覚しているみたいです。


「気持ち悪い」


言うだけ言って去って行きました。


カメリアが怒りをあらわにした直後のアンジェの行動は、瞬く間に学園中に広まり、彼女が孤立する原因になったのです。
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