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男達との死闘

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 2人の内、俺に近い方が「グアアァーッ!!」と叫びながら襲い掛かってくる。

「グウゥッ!!」と苦しそうな表情で男はもがく。

 俺は、さらに力を込めていく。

 俺は、素早く後ろに回り込んで首に腕をかけて締め付ける。

「グ……グガ……ガッ……」と男は口から泡を吹き始める。

 しかし、背後からもう一人の男によって背中を掴まれ振り解かれて地面に叩き付けらてしまう。

 俺は起き上がり、男の方を向く。

 2人の男が俺を挟み込むような形になった。

 そして、同時に攻撃を仕掛けてくる。

 俺は攻撃を避けつつ、1人目の男の顔面に蹴りを入れる。

 男はよろけて膝をつくが、すぐに体勢を立て直す。

 だが、もう1人の方が隙を狙って突進してきた。

 俺は咄嵯に避けるが、バランスを崩してしまう。

 そこに、すかさず2人がかりで攻撃してくる。

 俺は攻撃をくらい吹っ飛んだ。

 倒れたところに2人は追い打ちをかけようと走ってきた。

 俺はすぐに立ち上がり、1人を殴り飛ばした。

 殴られた男は怯んだ様子を見せる。

 その瞬間、もう1人に思い切り蹴られた。

 俺は地面の上を転がり倒れる。

 そこに、また男は襲いかかる。

(まずいな……)と思いながら俺は立ち上がろうとすると男は俺の首を絞めようとした。

 俺は避けて腹を思いきり殴った。

 男は倒れそうになるが踏み止まる。

 そして、再び俺に向かってきた。

 俺は何度も殴りつける。

 すると、男は怯みながらゆっくりと後退していく。

 すると、背後からもう一体の男から羽交い締めされた。

 俺は抵抗するが、力が強すぎて振り解けない。

 すると、今度は正面から先程殴りつけた男が現れた。

 男はそのまま勢いよく殴りかかってくる。

 俺は避けきれず顎を殴られてしまう。

 その衝撃で俺は頭がふらついてしまう。

「ぐっ……!」と俺は痛みに耐えながら必死に抵抗する。

 だが、やはり羽交い締めはビクともしない。

 そこで、俺はあることを思いついた。

「はぁ……はぁ……」と息を切らしながら俺は自分の胸に手を当てる。心臓が激しく鼓動していた。

「ふぅ……」と深呼吸をする。

「グルルルル……」と2匹の獣は威嚇している。

 俺は覚悟を決めて、集中した。

 体中が熱くなる感覚に襲われる。

「ぐぉぉぉぉっ!!」と雄叫びを上げ、全身に力を入れる。

 次の瞬間、羽交い締めしている男の肩関節が抜け俺は拘束を振りほどき立ち上がった。

 どうやら俺の力に、さらなる力が加わったようだ。たぶん、ユナの父親の力のおかげだろう。

 俺は脱臼した男の背後に回り込み腕で首を締め付けた。ポイントが良かったのか暫くして意識を失いその場に崩れ落ちた。

 俺は、もう一人の男の方を見て「残りはお前だけだ!」と言った。

 男は動揺していたが、すぐ我に返り突っ込んできた。

 俺は冷静に動きを見極め、最小限の動きでかわす。

 そのまま、カウンターで拳を突き出した。

 男は顔に当たり、よろける。

 さらに、回し蹴りを食らわせる。

 男は壁に激突し、気を失ったようだ。

 俺は一安心して「終わったか……」と呟いた。

 しかし、まだ美和を連れ去った男が残っていた。

 俺は急いでスーツの男の後を追おうとしたが何処に行ったか分からなくなってしまった。

(一体、どこへ連れて行ったんだ?)と俺は考えていた。

 その時、後ろから声が聞こえてきた。

「隆司さん! 大丈夫!?」とマヤの声だった。

 振り返ると彼女が立っていた。

「ああ……。大丈夫だ。それよりも美和が誘拐されて、ユナが男に付いていった。早く助けないと……」と焦りながら言い

「なぜ、ここにいるのが分かったのか?」と気づきながら尋ねた。

「さっき、ユナから簡単な思念を貰ったのよ」

「そうなのか……」と俺はユナ、マヤのような異世界の人間にとっては普通なんだろうと思い納得する。

「とりあえず、私は今から彼女の後を追うわ」

「ユナ達は何処に行ったんだ?」

「ここから少し離れた所にある廃工場だと思う……」

「じゃあ、急がないと……」

「えぇ……」と彼女も同意してくれた。

「よし、行くぞ……」と言って走り出そうとしたが「待って……」と彼女に止められる。

「なんだ? 何か問題でも……」

「空を飛んだら、すぐに行けると思うけど……」とマヤは提案してきた。

「確かにな……」

「だから、私があなたを抱えて飛ぶから……」とマヤは続けて言ってくれた。

「ああ……。助かる」と俺は言って、マヤに抱えられて飛び上がった。

 そして、あっという間に目的地に着いた。

 そこには大きな廃工場が建っていた。

 俺は着地してから「ここにいるんだな?」と言う。

「うん……。行きましょう……」とマヤは建物の入口に向かって歩き出す。

 俺たちは建物に入った。

 中は薄暗く、埃っぽい臭いが充満していた。

 奥へと進んでいくと、鉄格子の檻が見えてきた。

 その中には美和がいた。

 他に人は見当たらなかったが、嫌な雰囲気が漂っている。

 俺は警戒しながら歩いていく。

 すると、美和がこちらに気付いたようで、怯えた表情を見せた。

 俺は急いで駆け寄った。

「美和!! 無事か!?」

「う、うん……。大丈夫だけど……この女の人は……誰……?」と震えながら聞いてきた。

「この人は敵じゃない……味方だ。それより、怪我とかしていないか……?」

「だ、大丈夫だよ……」

「そっか……良かった……」

 すると、背後から足音が聞こえてきて「ようこそ、いらっしゃいました……。」と男の声が響いた。

 振り返るとスーツ姿の男が立っていた。
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