大学生の俺に異世界の妖女が娘になりました

nene2012

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ストーカー撃退

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 次の日の朝、俺は登校中に美和に声をかけられた。

「おはよう」

「ああ、おはよう!」

 そのまま一緒に歩き始める。すると美和が話し出す。

「昨日、話した事なんだけどさ通学帰宅中にまた、あの男が現れたら気持ち悪いわ」

「たしかにそうだな。俺も不審な奴に注意するようにするよ」

「お願いね。それともう一つお願いがあるんだけど」

「なんだ?」と俺が言うと美和は顔を赤面させながら、小さな声で「今日は私と一緒に帰ってくれない?」と頼んできた。

 俺はその言葉を聞いてドキッとした。

 だが、「いいぜ!」と答えた。そして、俺と美和はそのまま大学まで歩いていった。

 その日の放課後、俺と美和は一緒に帰宅していた。

 俺は緊張しながら横にいる美和を見た。

「どうしたの?」と美和が不思議そうに聞いてくる。

「いや、なんでもないよ……」と答えて前を向いた。

 しばらく歩いていると、俺は異変に気づいた。

 後ろから誰かが尾行しているような気がするのだ。

 俺は立ち止まり、美和の方を向き「ちょっと先に行っててくれないか?」

 美和は「どうしたの?」と尋ねる。

「後をつけてる人がいるみたいだ」

 と俺は答え、後ろを振り返り確認する。

(誰もいない……)と思っていると、電柱に隠れていた男が飛び出し、襲ってきた。

「死ねぇー!!」と叫び、ナイフを突き刺してきたが、俺はそれを軽々と避けた。

「くそっ! 外したか……」と男は悔しそうに言い、再び襲いかかってくる。

 俺は攻撃をかわすとナイフを持った相手の腕を取り、背負い投げをした。

「ぐはぁ!」と相手は地面に叩きつけられた。

 俺はすかさず男の腕を後ろに捻り上げ肩と腕を極め抑え込むと、相手が叫んだ。

「痛てぇ!! 放せよクソ野郎!!」

 俺は相手に話しかける。

「おい、お前誰だよ? なんで俺たちの後をつけた?」

「うるせえ! いいから早く放しやがれ!」

 俺は少し力を入れて男の腕をさらに締め上げた。

「ぐあっ!……わかった、話すから勘弁してくれ!」と男は苦しそうに言った。

 美和はその男の顔を見ると驚いた表情になった。

「あなたは、この前の!!」

「以前、無理やり誘おうとしていた男か?」

「うん、間違いない。こいつよ」

「お前が美和のストーカーだな?」

「俺はその子が好きだったんだ!」と男は言う。

「それで強引に誘おうとしたのか?」

「そうだ」と男が答える。

「お前最低だな」

「うるせぇ! 男がいたとは知らなかったがな」と言い返される。

 すると美和が口を開く。

「あんたみたいなのは最低よ」

「そんな……」と男がショックを受けている。

「もう二度と近づかないと約束しろ」

「……わかった」と男は答える。

「じゃあ、解放してやるよ」と言って俺は手を離した。

 無言で男は去って行った。

「大丈夫だったか?」

「うん、ありがとう」

「気にすんなよ」と俺は答え歩き出した。

「ねえ、一つ聞いていい?」

「なんだ?」

「どうして、男につけられてるのが分かったの?」

「実は俺には人の気配を感じる能力があってさ……」

 俺はそう言って説明した。

「そうなんだ。なんか凄いね」と美和が感心したように言った。

 その後、俺と美和は何事もなく帰宅した。


 その頃、美和にストーカーをしていた男は「あの男、強すぎる。武器を持ってても敵わなかった。どうすれば、あの男に邪魔されずに……」

 と呟きながら歩いていた。

「もしよろしければ私が、あの男に勝てるようにする力を与えましょうか?」とスーツを着た端正な顔をした男が近づきながら話してきた。

「誰だ!?」とストーカー男は驚いて声を上げた。

「私は、あなたの願いを叶える者です」

「本当なのか?」とストーカー男は半信半疑の様子で言う。

「はい。ただし、条件があります」

「どんな事だ?」

「私の望みをかなえて欲しいのです」

「何をさせる気だ?」

「それは、まだ言えません……。ただ、その代償としてあなたは強くなれます」

「……わかった。どうしたらいい?」

「まずは、こちらに来てください」と男が手招きをする。

 ストーカー男は恐る恐る男の方に近づいていく。

「そのまま動かないで下さい」と言われてストーカー男は立ち止まった。

 すると、男の手から黒い霧のようなものが現れ、ストーカー男を包み込んだ。

「うわぁー!」とストーカー男は叫び、もがき苦しむ。

 しばらくすると、黒い霧は消えていった。

「今のはなんだったんだ?」とストーカー男が不安げに言う。

「今からあなたは力を手に入れました。試しに私を攻撃してください」と男が言い、右手を前に出して構える。

「こうか?」とストーカー男が拳を振り上げて殴りかかる。

「それでは駄目ですね。もっと力を入れないと」

「難しいな」

「イメージしなさい。あなたは、あの男よりも強いと念じるのですよ」

「そうか。わかった。やってみる!」とストーカー男は言うと目を閉じた。

 すると、身体中に力がみなぎってくるような感覚があった。

 そして目を開けると、目の前にいるはずの男の姿は見えなくなっていた。

「あれっ?」とストーカー男は周りを見渡すが見当たらない。

「どこを見てるんですか?あなたは、もうすでに強くなっているんですよ」と背後から声が聞こえてきた。

 振り返ると、いつの間にか先程まで目に映らなかったはずの男が立っていた。

「本当に強くなったのか?」

「はい、もちろんです」

「よし、ならもう一度あいつを倒してやるぜ!」

「頑張って下さいね」と男が言った瞬間、ストーカー男は走り出していた。

「待ってろよ! クソ野郎!!」とストーカー男は叫ぶと、あっという間に姿を消した。

「私の役に立ってくれればいいんですがね……」
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