大学生の俺に異世界の妖女が娘になりました

nene2012

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ユナの姉

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翌日、大学の講義を終え帰宅する。ドアを開けるとそこにはユナの姿は無く代わりに手紙が置いてあった。

『ちょっと出かけてきます。心配しないでください。』

俺はそれを不思議に思ったが特に気にせず部屋の中に入った。そして夕食を作り食べようとした時、インターホンが鳴る。

ドアを開けると女性がいた。それも、飛び切り綺麗で妖艶な雰囲気を持っていた。

女性は２０代前半ぐらいだろうか。顔はアジア人でも欧米人でもないユナと似たような面影があった。

綺麗な黒髪のショートヘアー。顔は整っておりスタイルも抜群である。

その女性が微笑を浮かべ話しかけてきた。

「こんにちは。私はあなたの娘の姉です。」

俺は驚いて声を上げる。

「は！？姉ってどういう事だ！」

すると、彼女はクスリと笑い言った。

「詳しい説明は後です。とりあえず家に入れてください。」

その迫力に押され俺は家に入れることにした。

「さっきの件について詳しく聞かせてくれ。」

俺はソファーに座っている女性の向かい側の椅子に座りながら言った。

「えぇ、わかりました。」

彼女は落ち着いた口調で語り始める。

「まず初めに、私はユナと血の繋がった実の姉です。私はあなたとは血の繋がらない他人です。」

俺は困惑しながらも話を聞く。

「どういう意味なんだ？」

「私も異世界からやってきたんです。妹を返してください。」

そう言われ俺はますます混乱した。

「意味がわからないな。ちゃんと説明しろよ。」

そう言うと彼女は淡々と話し始めた。

「実は、私の世界で妹が家出をしたのです。そして、それを追って私もこの世界にやってきました。」

「……なるほど。それで、お前の妹が俺のところに来た理由は何だ？どうして俺を選んだ？」

俺がそう聞くと彼女は真剣な表情になる。

「単刀直入に言いましょう。妹の居場所を教えて下さい。」

「それは無理な相談だな。」

俺がそう答えると彼女は睨むようにこちらを見てくる。

「そうですか……。それなら力ずくでも吐かせます！」

そう叫ぶと同時に彼女から凄まじい殺気が溢れ出す。俺は慌てて制止するように言った。

「まて！落ち着け！」

すると彼女は少し落ち着きを取り戻し冷静な声で言った。

「じゃあ教えて下さい。妹はどこにいますか？」

俺は少し考える素振りを見せ、それから答えた。

「悪いが言えない。ただ、今は一緒に暮らしている。」

すると彼女は驚いた様子で俺に詰め寄る。

「嘘ですよね？あの子が人間と一緒に住んでいるなんて……」

「本当なんだ。あいつにも色々事情があって俺のところに居るんだ。」

彼女はしばらく黙っていたが、やがて諦めたような顔をして言った。

「そうですか。それなら仕方ありませんね。あなたを殺します。」

俺は驚きのあまり大声を上げた。

「おい待ってくれ！どうしてそうなるんだ！」

彼女は静かに答えた。

「だって、あなたが居なくなればあの子は家に帰ってくるんでしょう？それなら殺すしかないじゃない。」

そう言って彼女は立ち上がり俺の方に向かってくる。そして俺の腕を掴んだ。

「やめろ！離せ！」

抵抗するがびくともしない。

彼女の掴んだ手から俺の腕を介して強烈な痛みと痺れが全身を襲った。

「ぐああぁっ！！」

あまりの痛さに悲鳴を上げてしまう。

彼女はそんな俺を見て嘲笑うかのように言った。

「ふふ、苦しいでしょう？普通の人間では耐えられない。気が狂って死んでいくのよ。」

俺は必死に抵抗するが全く歯が立たない。

「さて、そろそろ終わりにしましょうか。」

俺は薄れゆく意識の中で考えた。このまま死ぬのか？嫌だ！死にたくない！！俺は最後の力で叫んだ。

「助けてくれぇー！」

すると、玄関の扉を開けてユナが入ってきた。

「パパー！帰ってきたよ！」

彼女は嬉しそうな顔でこちらに近づいて来る。しかし、俺の様子を見ると急に顔色を変えた。

「パパ！どうしたの！？」

彼女は俺に駆け寄り、そして腕を掴んでいる女性を見た。

「お姉ちゃん……」

ユナは小さく呟いた。そして、鋭い目つきで女性を見る。

「なんでここにいるの？」

「あら、久しぶりなのに随分な言い方をするわね。」

「ふざけないでよ。今すぐその手を離して！」とユナは怒った顔で言う。

「わかったわ。」

そう言うと彼女はあっさりと俺を解放した。俺は地面に倒れ込む。

「大丈夫！？」

ユナは心配そうに俺を抱き起こす。

「あ、ありがとう。」

俺は礼を言うとユナはホッとした表情を浮かべる。

「よかった……。怪我はない？」

俺は自分の体を確認する。確かに傷は無いようだ。すると、女性が話しかけてきた。

「ごめんなさいね。あなたの聞分けが悪かったから。」

ユナはそれを聞いて更に怒っているようだった。

「……お姉ちゃんでもパパに危害を加えると許さないよ！」

女性は呆れたようにため息をつく。

「はぁ、全くあなたはいつまで経っても子供ね。それにしても、まさかあなたが人間と一緒にいるなんてね。」

俺は2人の会話を聞きながら考えていた。この女は何者なんだ？どうして妹を探しているんだ？俺は勇気を出して聞いてみることにした。

「なぁ、お前たちはどういう関係なんだ？」

俺がそう聞くと、彼女は笑顔になって答えた。

「私は彼女の姉よ。」

「え？姉妹なのか？」

俺は驚いて聞き返す。ユナは不満そうな顔をしていた。

「そうよ。私と彼女は同じ世界から来たの。」

彼女がそう答えるとユナが質問する。

「ねぇ、どうしてここに来たの？なぜ私の居場所を知ってるの？」

そう聞かれると彼女は少し困ったような表情になる。そして答えた。

「実は……私がこちらの世界に来ることになったのには理由があるの。」

「その理由って何なの？」

ユナが尋ねると彼女は真剣な口調になった。

「それは、妹を含めて一族が襲われる可能性が出て来たからなの。」

「襲うって誰が？」と俺が聞く。すると彼女はユナをじっと見つめて言った。

「あなたもよく知っている人物よ。」

2人は黙り込んでしまった。一体誰のことなんだ？俺が悩んでいるとユナの姉が口を開いた。

「それで、これからどうするつもりなの？」

「もちろん戦うつもりよ！」

そう言ってユナは微笑む。

「そう、なら良かったわ。」

ユナの姉は安心した様子でそう言った後、俺の方を見て話し出した。

「それじゃあ、そろそろ失礼します。」

俺は慌てて引き止める。

「ちょっと待ってくれ！君の名前を聞いていないぞ。」

すると彼女は振り返ると言った。

「私の名前は……この世界ではマヤと言う名前にしておくわ。」

「そうか。分かった。」

「また会いましょう。」

そう言って彼女は家から出て行った。

「パパ、大丈夫だった？」とユナが心配そうに俺を見てくる。

「ああ、平気だ。それよりマヤはどこに行ったんだ？」

「分からない。けど多分どこか遠くへ行っちゃったと思うよ。」

「そうか。ならいいんだ。」

俺は安堵のため息をつく。しかし、これで本当に終わったのだろうか？俺は不安になっていた。

するとユナが心配そうな顔で俺を見てくる。

「ねぇ、パパ大丈夫？まだ体調悪いの？」

俺はハッとして返事をする。

「いや、もう大丈夫だ。」

「そっか、よかった。」

彼女は嬉しそうな顔で笑っていた。

俺が立ち上がろうとすると彼女は服の裾を引っ張ってきた。

「どうしたんだ？」

「あのね、お願いがあるの……。」

「ん？なんだ？」

と俺は優しく聞いた。すると彼女は俯きながら言った。

「……抱っこしてくれないかな？」

俺は予想外の言葉に驚いたが、すぐに彼女を抱き上げる。

「ほら、これで良いか？」

彼女は嬉しそうな顔で俺を見る。

「うん！」

降ろした後、俺はそんな彼女の頭を撫でてやった。ユナはとても幸せそうだ。しかし、彼女は急に真面目な顔になって言う。

「ねぇ、パパはずっと一緒に居てくれるよね？」

「あぁ、当たり前じゃないか。」

俺は彼女をベッドに寝かせてから考える。

さっきの話は本当なんだろうな……。だとしたら、近いうちにまた戦いが始まるのか……。

俺は憂鬱な気分になりながらも、ユナが幸せならいいかと思い直して眠りについた。

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