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美怜の中の殺人鬼の人格
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榊がククリナイフを遠心力で振り下ろし、鋭く威力のある一撃を放っていた。受け損なえばナイフの斬撃で腕をもぎ取られそうな威力であった。
「どうした? その程度か?」
榊はそう叫び、体をくねらせながらナイフを構えていたのだ。
そうする事で相手の攻撃から自身の中心線や急所を逸らさせたり、攻撃の軌道を予測させにくくしていたのである。
しかも、相手の攻撃を受け流しつつ有利な位置に移動することが出来るのである。彼の動きは素人の動きでなく、熟練された者の動きであった。
彼は外国の傭兵部隊に属していたことがあり、そこで銃火器の扱いだけでなくナイフ術も習得していたのだ。
実戦でナイフを使って人を殺した時に彼は無上の喜びを感じたのである。傭兵を辞めて帰国しても、ナイフによる殺しに魅入られていたのだった。
日本に帰って来てナイフを使った殺し屋として生計を立て、殺人の喜びも得ていたのである。
そして、ナイフを持つと性格が変わり獰猛で冷酷な殺人鬼になってしまうのだ。今の彼の眼には美怜の姿は映っておらず獲物としか見えていないのであった。
「……」
美怜は無表情で黙々と彼の攻撃を受けていたが、腕や体には徐々に切り傷が出来て出血し体力を奪われていたのだ。
「そろそろ終わりだ! もう死ね!」
彼の素早い渾身の突きが美怜の腹部を捉えようとした瞬間、彼女の目が光り素早い動きで回避したのである。
「何っ!」
驚きの声を上げると、攻撃が空を切ったのだ。だが、彼もすぐにナイフを返し避けた方へ切り付けたのだ。
避けた方向に、湾曲した刃先が美怜の首筋に向かってきたのである。
「くっ!」
彼女はそう声を漏らすと、咄嗟に左腕で首を守るように防御したのだ。そして、ナイフがサクッと掠る音が響き血が飛び散っていたのだ。
美怜の左腕からポタポタと血が床に滴り落ち、二の腕に切り傷が刻まれていたのだった。
(この女……返しの一閃から咄嗟に腕で首を守っただと!)
榊は信じられない様子で彼女の姿を見つめていたのだ。彼の目に映った美怜の表情は先程までとは違い目が鋭く光り戦いへの渇望と興奮が入り混じった顔付きになっていたのである。
ククリナイフが掠った腕に痛みが走り出血していたのだが、彼女の表情からは苦痛はなく口角が僅かに上がっていたである。そして、獲物を狙う猛獣のような目つきに変わっていた。
「良いぞ……もっと、私を楽しませろ! そして、お前の最後だ!」
美怜はそう叫び、右手に持つククリナイフを振り下ろしたのだ。その攻撃に反応して榊が後ろに飛び躱し距離を取っていたのである。
(こいつ……殺気が増したぞ。更に力も増した……?)
彼は彼女の変化に衝撃を受け、頭の中で警鐘が鳴っていた。先程とは明らかに動きが違うのである。
「危険な匂いがする……」
そう呟くと、攻撃に移るために身構えたのだ。しかし、彼が動く前に彼女がククリナイフを薙ぎ払ってきた。
その攻撃を榊は後ろに飛び躱し距離を取ろうとするが、それよりも速く美怜がナイフを薙ぎ払ってきたのである。
「ぎっ!!」
苦悶の声を上げ、後ろに飛び退いたのだが、その攻撃で彼の左手の小指・薬指・中指・人差し指の第1関節が薙ぎ払われてしまったのだった。
「ぐううっ!」
そう呻き声を漏らすと、左手からポタポタと血が滴り落ち床が赤く染まっていったのである。
そして、切断された指の痛みを我慢しながらも、背筋に冷たいものが走ったのだ。
(この女……とんでもなくヤバい!)
榊は美怜の熾烈な攻撃に驚愕していたのである。だが、彼女はそんな隙を与えなかった。
今度は彼女の攻撃が早くなり次々と攻撃を繰り出し始めたのだ。
彼は彼女の攻撃に押され、必死に受け流し反撃のタイミングを狙っていたのである。
しかし、彼女の動きが速く追撃するスピードも上がっており攻撃を捌くだけで精一杯になっていたのだ。そして、徐々に壁際に追いやられていたのだった。
攻撃により彼の胴体には切り傷が無数に出来ており出血が酷くなっていたのだ。彼女は徐々に壁際へと追い詰めていくと、最後の一閃で彼を斬り裂こうとしてきたのである。
「くたばれ!」
彼女はそう叫び、ナイフを薙ぎ払い彼はその攻撃を受けようとした。
2人のナイフが交差し、ぶつかり合い金属音が響くと美怜のナイフは彼の刃を滑るように進み腕の下を彼女の刃が通り抜け脇に突き刺さったのだ。
「ぐあっ!」
悲鳴が聞こえると同時に、脇に刺さった刃を抜き、即座に彼の首筋に斬り付けたのだ。
「ぐはっ!」
斬り付けられた傷を手で押さえていたが、ブシュ――ッと血が噴き出して飛び散り、やがて膝から崩れ落ちたのだった。
「うっ……ううっ……」
彼は床に倒れ込み苦悶の声を上げ、大量の出血により意識が薄れかけていった。
(俺は……死ぬのか……?)
榊はそう思いながらも意識が遠退いていき、命の灯火が消えようとしていたのだ……。
美怜は倒れた彼を見て何も感じなかったのである。ただ、無感情に見下ろしていただけだったのだ。
「この程度か……」
彼女はそう呟くと、床に倒れている榊の体を足で蹴り仰向けにさせたのだ。そして、無表情で彼を見下ろしていたのである。
「ひゅ……ひゅ……ひゅ……」
顔に死相が表れ呼吸が浅くなり、既に死にかけていたのである。何を思ったのか美怜はククリナイフを逆手に持つとその刃先を彼の首に向けていたのだった。
「お前の首を貰うぞ……」
そして、彼女はその刃先を彼の首に突き刺したのである。ゴリ……ゴリ……ゴリ……と刃で骨を断っていく音が響き渡っていのだった。
榊の首が切断されると左手で髪を掴み頭部を掲げていたのである。そして、何処にあるのか分かっているのかカメラの方向に向かってニヤッと笑う。
その様子が、カメラによる配信で視聴者の目に映っていたのであった……。
「どうした? その程度か?」
榊はそう叫び、体をくねらせながらナイフを構えていたのだ。
そうする事で相手の攻撃から自身の中心線や急所を逸らさせたり、攻撃の軌道を予測させにくくしていたのである。
しかも、相手の攻撃を受け流しつつ有利な位置に移動することが出来るのである。彼の動きは素人の動きでなく、熟練された者の動きであった。
彼は外国の傭兵部隊に属していたことがあり、そこで銃火器の扱いだけでなくナイフ術も習得していたのだ。
実戦でナイフを使って人を殺した時に彼は無上の喜びを感じたのである。傭兵を辞めて帰国しても、ナイフによる殺しに魅入られていたのだった。
日本に帰って来てナイフを使った殺し屋として生計を立て、殺人の喜びも得ていたのである。
そして、ナイフを持つと性格が変わり獰猛で冷酷な殺人鬼になってしまうのだ。今の彼の眼には美怜の姿は映っておらず獲物としか見えていないのであった。
「……」
美怜は無表情で黙々と彼の攻撃を受けていたが、腕や体には徐々に切り傷が出来て出血し体力を奪われていたのだ。
「そろそろ終わりだ! もう死ね!」
彼の素早い渾身の突きが美怜の腹部を捉えようとした瞬間、彼女の目が光り素早い動きで回避したのである。
「何っ!」
驚きの声を上げると、攻撃が空を切ったのだ。だが、彼もすぐにナイフを返し避けた方へ切り付けたのだ。
避けた方向に、湾曲した刃先が美怜の首筋に向かってきたのである。
「くっ!」
彼女はそう声を漏らすと、咄嗟に左腕で首を守るように防御したのだ。そして、ナイフがサクッと掠る音が響き血が飛び散っていたのだ。
美怜の左腕からポタポタと血が床に滴り落ち、二の腕に切り傷が刻まれていたのだった。
(この女……返しの一閃から咄嗟に腕で首を守っただと!)
榊は信じられない様子で彼女の姿を見つめていたのだ。彼の目に映った美怜の表情は先程までとは違い目が鋭く光り戦いへの渇望と興奮が入り混じった顔付きになっていたのである。
ククリナイフが掠った腕に痛みが走り出血していたのだが、彼女の表情からは苦痛はなく口角が僅かに上がっていたである。そして、獲物を狙う猛獣のような目つきに変わっていた。
「良いぞ……もっと、私を楽しませろ! そして、お前の最後だ!」
美怜はそう叫び、右手に持つククリナイフを振り下ろしたのだ。その攻撃に反応して榊が後ろに飛び躱し距離を取っていたのである。
(こいつ……殺気が増したぞ。更に力も増した……?)
彼は彼女の変化に衝撃を受け、頭の中で警鐘が鳴っていた。先程とは明らかに動きが違うのである。
「危険な匂いがする……」
そう呟くと、攻撃に移るために身構えたのだ。しかし、彼が動く前に彼女がククリナイフを薙ぎ払ってきた。
その攻撃を榊は後ろに飛び躱し距離を取ろうとするが、それよりも速く美怜がナイフを薙ぎ払ってきたのである。
「ぎっ!!」
苦悶の声を上げ、後ろに飛び退いたのだが、その攻撃で彼の左手の小指・薬指・中指・人差し指の第1関節が薙ぎ払われてしまったのだった。
「ぐううっ!」
そう呻き声を漏らすと、左手からポタポタと血が滴り落ち床が赤く染まっていったのである。
そして、切断された指の痛みを我慢しながらも、背筋に冷たいものが走ったのだ。
(この女……とんでもなくヤバい!)
榊は美怜の熾烈な攻撃に驚愕していたのである。だが、彼女はそんな隙を与えなかった。
今度は彼女の攻撃が早くなり次々と攻撃を繰り出し始めたのだ。
彼は彼女の攻撃に押され、必死に受け流し反撃のタイミングを狙っていたのである。
しかし、彼女の動きが速く追撃するスピードも上がっており攻撃を捌くだけで精一杯になっていたのだ。そして、徐々に壁際に追いやられていたのだった。
攻撃により彼の胴体には切り傷が無数に出来ており出血が酷くなっていたのだ。彼女は徐々に壁際へと追い詰めていくと、最後の一閃で彼を斬り裂こうとしてきたのである。
「くたばれ!」
彼女はそう叫び、ナイフを薙ぎ払い彼はその攻撃を受けようとした。
2人のナイフが交差し、ぶつかり合い金属音が響くと美怜のナイフは彼の刃を滑るように進み腕の下を彼女の刃が通り抜け脇に突き刺さったのだ。
「ぐあっ!」
悲鳴が聞こえると同時に、脇に刺さった刃を抜き、即座に彼の首筋に斬り付けたのだ。
「ぐはっ!」
斬り付けられた傷を手で押さえていたが、ブシュ――ッと血が噴き出して飛び散り、やがて膝から崩れ落ちたのだった。
「うっ……ううっ……」
彼は床に倒れ込み苦悶の声を上げ、大量の出血により意識が薄れかけていった。
(俺は……死ぬのか……?)
榊はそう思いながらも意識が遠退いていき、命の灯火が消えようとしていたのだ……。
美怜は倒れた彼を見て何も感じなかったのである。ただ、無感情に見下ろしていただけだったのだ。
「この程度か……」
彼女はそう呟くと、床に倒れている榊の体を足で蹴り仰向けにさせたのだ。そして、無表情で彼を見下ろしていたのである。
「ひゅ……ひゅ……ひゅ……」
顔に死相が表れ呼吸が浅くなり、既に死にかけていたのである。何を思ったのか美怜はククリナイフを逆手に持つとその刃先を彼の首に向けていたのだった。
「お前の首を貰うぞ……」
そして、彼女はその刃先を彼の首に突き刺したのである。ゴリ……ゴリ……ゴリ……と刃で骨を断っていく音が響き渡っていのだった。
榊の首が切断されると左手で髪を掴み頭部を掲げていたのである。そして、何処にあるのか分かっているのかカメラの方向に向かってニヤッと笑う。
その様子が、カメラによる配信で視聴者の目に映っていたのであった……。
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