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58話 スキルを乱用させていただきます!
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エマはぺたりと触ってみる。スキルを使ってみる。でも、うまくいかない。
『対象に触れてください』
「んぐぅうう! ガイアさん、この人達の石取って!!」
《何故だ》
「うわああああ! 聞こえたぁあああああ!?」
びっくりした、びっくりしたと呟いてエマは事情を説明する。
すると、一つの石がするすると溶けていく。その中から、意識を失った人が現れる。さっきはどれも結晶のような肌触りだった石がそんな風に溶けるのは何だか変な感じがした。
しかし、今はとにかく盗用レベル80を目指して、スキルを乱用するしかない!
「すみません!」と叫んでエマはその人から奪えるだけ奪う。アビリティも、スキルも、ステータスも。一度の上限はレベルに100をかけた値のようで、2100しか奪えないようだ。
何度も繰り返していけば、『スキルが使用できません』とウィンドウが現れる。またガイアにお願いして、エマはどんどんスキルを使って、彼らが戦い、生きてきた証であるステータスを全て奪い取る。
着々と『盗用』レベルが上がっていく。スキル統合のウィンドウを無視して、ひたすら誰かの力を強奪していく。
10人、20人、とエマの犠牲者が増えていく中、いつの間にか胃袋には結晶で出来た広い足場が出来上がっていた。その中で、人々が横たわっている状態になる。
最後の石が溶ける。根こそぎ全てを奪い取る。スキルが使えないと拒否するウィンドウが浮かぶまで、続けたエマはステータスを確認する。
*
スキル『盗用』Lv.62
*
「全然足りない!」
これ以上彼らのは奪えない。一度戻してみる? でも、今まで奪ったものがどれだったか、まったく覚えていない。それでもエマのスキルとアビリティの欄は無限なのか、ステータス画面をスクロールしないと何が入ってるのか分からないほど大量に文字が並んでいる。
「まだ何か、まだ何かあるはず……!」
もう結晶を再生させるほどガイアには力が残っていない。命の灯も、おそらくこの胃液から辛うじて上にある石を作るだけで手いっぱいに違いない。
だから、彼からスキル諸々を奪うのは得策ではない。彼の能力が失われたら、エマもみんなも胃液の中で骨となる。
なら、どうする?
他に、何か奪えるものって何……?
ステータスを前に、いらいらと統合のボタンを連打する。どんどんシリーズスキルが統合されていく。
「剣聖、見せて」
口からそうポロっと出てきて、エマの指が止まる。
再度アビリティ欄にある『剣聖』を見る。
*
・剣聖 Lv.42
*
「……あれ?」
今、レベル80と、レベル71の『剣光』と、レベル88、レベル98の『剣技』を統合したはずだ。何で、『剣聖』のレベルが全然上がらないんだろう?
「レベル加算じゃない? うん? 単純計算したら……えっと、?」
(336かな)
「あれ?」
そうだ、思い出せば、初めて統合した時『剣聖』になって首を傾げていたが、レベルは17だ。単純計算で合わせたら、100くらいになってもおかしくないのに……。
(統合ってもしかして……同じシリーズの『何か』を統合しているだけ?)
統合したから剣聖になったのではない、たまたまあの時は、『剣聖』に進化する条件が整ったから……。
「そうだ、進化だ?!」
そして、進化するためには大前提の条件がある。
ドームのようなドラゴンの胃袋をエマは見上げる。熱い胃袋の淵に、両手を叩きつける。
「持ってる経験値全部寄越しなさい!!」
『対象に触れてください』
「んぐぅうう! ガイアさん、この人達の石取って!!」
《何故だ》
「うわああああ! 聞こえたぁあああああ!?」
びっくりした、びっくりしたと呟いてエマは事情を説明する。
すると、一つの石がするすると溶けていく。その中から、意識を失った人が現れる。さっきはどれも結晶のような肌触りだった石がそんな風に溶けるのは何だか変な感じがした。
しかし、今はとにかく盗用レベル80を目指して、スキルを乱用するしかない!
「すみません!」と叫んでエマはその人から奪えるだけ奪う。アビリティも、スキルも、ステータスも。一度の上限はレベルに100をかけた値のようで、2100しか奪えないようだ。
何度も繰り返していけば、『スキルが使用できません』とウィンドウが現れる。またガイアにお願いして、エマはどんどんスキルを使って、彼らが戦い、生きてきた証であるステータスを全て奪い取る。
着々と『盗用』レベルが上がっていく。スキル統合のウィンドウを無視して、ひたすら誰かの力を強奪していく。
10人、20人、とエマの犠牲者が増えていく中、いつの間にか胃袋には結晶で出来た広い足場が出来上がっていた。その中で、人々が横たわっている状態になる。
最後の石が溶ける。根こそぎ全てを奪い取る。スキルが使えないと拒否するウィンドウが浮かぶまで、続けたエマはステータスを確認する。
*
スキル『盗用』Lv.62
*
「全然足りない!」
これ以上彼らのは奪えない。一度戻してみる? でも、今まで奪ったものがどれだったか、まったく覚えていない。それでもエマのスキルとアビリティの欄は無限なのか、ステータス画面をスクロールしないと何が入ってるのか分からないほど大量に文字が並んでいる。
「まだ何か、まだ何かあるはず……!」
もう結晶を再生させるほどガイアには力が残っていない。命の灯も、おそらくこの胃液から辛うじて上にある石を作るだけで手いっぱいに違いない。
だから、彼からスキル諸々を奪うのは得策ではない。彼の能力が失われたら、エマもみんなも胃液の中で骨となる。
なら、どうする?
他に、何か奪えるものって何……?
ステータスを前に、いらいらと統合のボタンを連打する。どんどんシリーズスキルが統合されていく。
「剣聖、見せて」
口からそうポロっと出てきて、エマの指が止まる。
再度アビリティ欄にある『剣聖』を見る。
*
・剣聖 Lv.42
*
「……あれ?」
今、レベル80と、レベル71の『剣光』と、レベル88、レベル98の『剣技』を統合したはずだ。何で、『剣聖』のレベルが全然上がらないんだろう?
「レベル加算じゃない? うん? 単純計算したら……えっと、?」
(336かな)
「あれ?」
そうだ、思い出せば、初めて統合した時『剣聖』になって首を傾げていたが、レベルは17だ。単純計算で合わせたら、100くらいになってもおかしくないのに……。
(統合ってもしかして……同じシリーズの『何か』を統合しているだけ?)
統合したから剣聖になったのではない、たまたまあの時は、『剣聖』に進化する条件が整ったから……。
「そうだ、進化だ?!」
そして、進化するためには大前提の条件がある。
ドームのようなドラゴンの胃袋をエマは見上げる。熱い胃袋の淵に、両手を叩きつける。
「持ってる経験値全部寄越しなさい!!」
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