32 / 73
31話 家宅捜索・上
しおりを挟む
案内されたターナーの書斎では、手紙に書かれていた通りのにダイヤルを回せば金庫が開いた。浮気しているメイドの生年月日をキーにするなんて、浮気を公言したかったのか。
すぐに帳簿も発見に至り、どんどん回収していく。あれだけ証拠が揃っているのだ、今回の仕事は、簡単に終わるだろう。
「行かないって言ってるでしょ!! 私に命令しないで!!」
開け放ったままのドアから女児の声が聞こえてきた。サニアが、エルフィールド家の次女のアリアだと説明する。随分、元気なお子様だ。
「ターナー様が行方知れずになる前に、アリア様が会っているようなのですが……私達も詳しく聞き出せなくて」
「行きたくねぇー……」
「頑張って下さい」「ファイトー」
キャシーとユリウスから応援された。ユリウスは特に他人事だ。ヴォルグは盛大な溜息をもらしてから、ぎゃんぎゃん騒いでいるアリアの元へヴォルグは向かう。会話が無理なら記憶を読み取ってとっととトンズラしよう。
*
さっきまでぎゃんぎゃん騒いでいたアリアはヴォルグが自分が騎士団の人間であると話せばコロッと態度を変えた。
しがみついて来るなり、エマは両親を殴っり自分にさえ暴力を振るうような酷い人間だと、悪口三昧。過去にはどれだけエマがアリアに酷い仕打ちをしたことかと悪口三昧。
数分も保っていないアルカイックスマイルが限界を迎え、ヴォルグはスキルを使って記憶を掘り出す……――見れば見るほど腹の立つ記憶しか流れてこなくて殴り殺してやろうかと思った。ただ、ターナーがマリアエルの衣裳部屋でエマを殴ったのは分かった。
わざとだが、無理矢理記憶を引き抜くように記憶に干渉されたせいでアリアはぼーっとしたようで、何も言わなくなった。執事長にはここでアリアと共に残るように言って部屋を後にする。騎士にアリアの部屋の監視を頼んで戻ると、さっと顔色を変えたキャシーが足早に駆け寄ってきた。
「ちょっと、来て下さい!」
*
キャシーのスキルは『思念読取』。読み取れる思念というのは、存外多い。現場検証では、『物』の思念を読み取る。『物』の思念は人間が残す残留思念よりも純粋な情報源だ。そこで起きた事実を覚えているだけだな上、状況について問い掛ければ『物』はその言葉に応じる。大事にされていた物が主人を庇うように、彼らは使用者や人間に純粋な思いでいる。こちらの世界の物は『ツクモガミ』になるのは早いそうだ。
ユリウスのスキル『映写』には過去の映像などを映し出すことができる。スクリーンも必要なく、自分のスキル好きな所に映し出せる。情報量が多ければ、ホログラムとして現場を再現も可能だ。
ユリウスはキャシーの頭に手を乗せて、ターナーの書斎で起きたエマとマリアエルの交戦シーンを映し出していた。衝撃的だったのは二度にわたって全ステータスを総計600ポイントも奪い取ったこと。
その後、気絶したマリアエルに呆然としているアリアが喚いた瞬間、エマが頬をぺちんと叩いただけで失禁したのはさておき、エマが書斎に戻ろうとしたところで男が2人、現れた。
エマは瞬間的に距離を詰めて、男の一人を殴り飛ばす。先程から使っているそれは『縮地』だろう。その拍子に、ウィンドウが現れる。
『スキル【速度上昇】を入手しました』
そして抜き身の剣を握るもう一人の男に怯むことなく間合いに入り込み、みぞおちを殴り飛ばす。
『スキル【剣技】を入手しました』
30秒も立たない間に行われたアクションシーンは少女の圧勝で終わった。
『同一スキルがあります』とウィンドウが現れ、エマはステータスを操作していく。
レベル17程度ではあり得ないステータス数値、そして大量のスキルとアビリティ。
スキルの統合、という指示ウィンドウ。それを押した彼女のスキル欄から、3つの剣シリーズスキルが消え、その代わりアビリティに『聖剣』が追加された。
すぐに帳簿も発見に至り、どんどん回収していく。あれだけ証拠が揃っているのだ、今回の仕事は、簡単に終わるだろう。
「行かないって言ってるでしょ!! 私に命令しないで!!」
開け放ったままのドアから女児の声が聞こえてきた。サニアが、エルフィールド家の次女のアリアだと説明する。随分、元気なお子様だ。
「ターナー様が行方知れずになる前に、アリア様が会っているようなのですが……私達も詳しく聞き出せなくて」
「行きたくねぇー……」
「頑張って下さい」「ファイトー」
キャシーとユリウスから応援された。ユリウスは特に他人事だ。ヴォルグは盛大な溜息をもらしてから、ぎゃんぎゃん騒いでいるアリアの元へヴォルグは向かう。会話が無理なら記憶を読み取ってとっととトンズラしよう。
*
さっきまでぎゃんぎゃん騒いでいたアリアはヴォルグが自分が騎士団の人間であると話せばコロッと態度を変えた。
しがみついて来るなり、エマは両親を殴っり自分にさえ暴力を振るうような酷い人間だと、悪口三昧。過去にはどれだけエマがアリアに酷い仕打ちをしたことかと悪口三昧。
数分も保っていないアルカイックスマイルが限界を迎え、ヴォルグはスキルを使って記憶を掘り出す……――見れば見るほど腹の立つ記憶しか流れてこなくて殴り殺してやろうかと思った。ただ、ターナーがマリアエルの衣裳部屋でエマを殴ったのは分かった。
わざとだが、無理矢理記憶を引き抜くように記憶に干渉されたせいでアリアはぼーっとしたようで、何も言わなくなった。執事長にはここでアリアと共に残るように言って部屋を後にする。騎士にアリアの部屋の監視を頼んで戻ると、さっと顔色を変えたキャシーが足早に駆け寄ってきた。
「ちょっと、来て下さい!」
*
キャシーのスキルは『思念読取』。読み取れる思念というのは、存外多い。現場検証では、『物』の思念を読み取る。『物』の思念は人間が残す残留思念よりも純粋な情報源だ。そこで起きた事実を覚えているだけだな上、状況について問い掛ければ『物』はその言葉に応じる。大事にされていた物が主人を庇うように、彼らは使用者や人間に純粋な思いでいる。こちらの世界の物は『ツクモガミ』になるのは早いそうだ。
ユリウスのスキル『映写』には過去の映像などを映し出すことができる。スクリーンも必要なく、自分のスキル好きな所に映し出せる。情報量が多ければ、ホログラムとして現場を再現も可能だ。
ユリウスはキャシーの頭に手を乗せて、ターナーの書斎で起きたエマとマリアエルの交戦シーンを映し出していた。衝撃的だったのは二度にわたって全ステータスを総計600ポイントも奪い取ったこと。
その後、気絶したマリアエルに呆然としているアリアが喚いた瞬間、エマが頬をぺちんと叩いただけで失禁したのはさておき、エマが書斎に戻ろうとしたところで男が2人、現れた。
エマは瞬間的に距離を詰めて、男の一人を殴り飛ばす。先程から使っているそれは『縮地』だろう。その拍子に、ウィンドウが現れる。
『スキル【速度上昇】を入手しました』
そして抜き身の剣を握るもう一人の男に怯むことなく間合いに入り込み、みぞおちを殴り飛ばす。
『スキル【剣技】を入手しました』
30秒も立たない間に行われたアクションシーンは少女の圧勝で終わった。
『同一スキルがあります』とウィンドウが現れ、エマはステータスを操作していく。
レベル17程度ではあり得ないステータス数値、そして大量のスキルとアビリティ。
スキルの統合、という指示ウィンドウ。それを押した彼女のスキル欄から、3つの剣シリーズスキルが消え、その代わりアビリティに『聖剣』が追加された。
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
【完結】気味が悪いと見放された令嬢ですので ~殿下、無理に愛さなくていいのでお構いなく~
Rohdea
恋愛
───私に嘘は通じない。
だから私は知っている。あなたは私のことなんて本当は愛していないのだと──
公爵家の令嬢という身分と魔力の強さによって、
幼い頃に自国の王子、イライアスの婚約者に選ばれていた公爵令嬢リリーベル。
二人は幼馴染としても仲良く過ごしていた。
しかし、リリーベル十歳の誕生日。
嘘を見抜ける力 “真実の瞳”という能力に目覚めたことで、
リリーベルを取り巻く環境は一変する。
リリーベルの目覚めた真実の瞳の能力は、巷で言われている能力と違っていて少々特殊だった。
そのことから更に気味が悪いと親に見放されたリリーベル。
唯一、味方となってくれたのは八歳年上の兄、トラヴィスだけだった。
そして、婚約者のイライアスとも段々と距離が出来てしまう……
そんな“真実の瞳”で視てしまった彼の心の中は───
※『可愛い妹に全てを奪われましたので ~あなた達への未練は捨てたのでお構いなく~』
こちらの作品のヒーローの妹が主人公となる話です。
めちゃくちゃチートを発揮しています……
【完結】婚約者と幼馴染があまりにも仲良しなので喜んで身を引きます。
天歌
恋愛
「あーーん!ダンテェ!ちょっと聞いてよっ!」
甘えた声でそう言いながら来たかと思えば、私の婚約者ダンテに寄り添うこの女性は、ダンテの幼馴染アリエラ様。
「ちょ、ちょっとアリエラ…。シャティアが見ているぞ」
ダンテはアリエラ様を軽く手で制止しつつも、私の方をチラチラと見ながら満更でも無いようだ。
「あ、シャティア様もいたんですね〜。そんな事よりもダンテッ…あのね…」
この距離で私が見えなければ医者を全力でお勧めしたい。
そして完全に2人の世界に入っていく婚約者とその幼馴染…。
いつもこうなのだ。
いつも私がダンテと過ごしていると必ずと言って良いほどアリエラ様が現れ2人の世界へ旅立たれる。
私も想い合う2人を引き離すような悪女ではありませんよ?
喜んで、身を引かせていただきます!
短編予定です。
設定緩いかもしれません。お許しください。
感想欄、返す自信が無く閉じています
無能だと言われ続けた聖女は、自らを封印することにしました
天宮有
恋愛
国を守る聖女として城に住んでいた私フィーレは、元平民ということもあり蔑まれていた。
伝統だから城に置いているだけだと、国が平和になったことで国王や王子は私の存在が不愉快らしい。
無能だと何度も言われ続けて……私は本当に不必要なのではないかと思い始める。
そうだ――自らを封印することで、数年ぐらい眠ろう。
無能と蔑まれ、不必要と言われた私は私を封印すると、国に異変が起きようとしていた。
異世界召喚に巻き込まれたエステティシャンはスキル【手】と【種】でスローライフを満喫します
白雪の雫
ファンタジー
以前に投稿した話をベースにしたもので主人公の名前と年齢が変わっています。
エステティックで働いている霧沢 奈緒美(24)は、擦れ違った数人の女子高生と共に何の前触れもなく異世界に召喚された。
そんな奈緒美に付与されたスキルは【手】と【種】
異世界人と言えば全属性の魔法が使えるとか、どんな傷をも治せるといったスキルが付与されるのが当然なので「使えねぇスキル」と国のトップ達から判断された奈緒美は宮殿から追い出されてしまう。
だが、この【手】と【種】というスキル、使いようによっては非常にチートなものだった。
設定はガバガバ+矛盾がある+ご都合主義+深く考えたら負けである事だけは先に言っておきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる