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11話 余計な物まで盗んでしまった…

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「貴様、ロレンスを気絶させた上にアリアに手を出すとは! 誰のお陰で今までここにいられたと思って……――」

 ターナーが唾を飛ばしながら怒鳴ってきたその直後、エマは身体強化と縮地を使ってターナーの頬を殴り飛ばした。次いで、無様に転がった父親に容赦なく股間を蹴り上げる。最後、のたうちまわる男の頭をわし掴んで頭を床に渾身の力を込めて叩き付けた。頭が床にめり込んだ。

 最後の一打で気絶したターナーからスキルと属性魔法を吸い上げる。父は2属性持ちデュオで、エマと同じ闇と風を持っている。

 スキルを使って【絶対的中】スキルと、風属性魔法を入手できたというウィンドウが現れた。

「スキルしょぼ」

 仮にも公務員たる王立魔法師団の第4部隊の現副団長なのに、この程度なのか。貴族だけで成り上がった雑魚なんだろうか。

 加えて、闇属性は既に持っているというウィンドウが現れた。マリアエルからも聖属性を奪っておこうかと思ったが無理らしい。奪っておくならアリアの方だ。

(そういえば、アビリティから奪えるかな?)

 エマは再度、気絶したままのターナーからアビリティへ向けてスキル使う。
 ウィンドウが同じ場所、同じ大きさで現れては消えた。そこには、ターナーが使っていた魔法達。そして、

『契約の呪を入手しました』
「へ……――うっ?!」

 突然の激痛にエマは跪いた。何度も何度も荒い呼吸を繰り返して、ようやく痛みが引く。

 *

 エマ・エルフィールド  9歳
 
 Lv 3
 体 力 70   魔 力 6740
 攻撃力 15  魔法攻撃 322
 防御力 19  魔法防御 270
 速 度 7
 属 性 闇
 スキル『盗用』Lv.2
 ・清掃 Lv.MAX ・気配察知 Lv.42
 ・身体強化 Lv.36 ・裁縫 Lv.22
 ・縮地 Lv.62 ・槍術 Lv.27
 ・剣術 Lv.30 ・鑑定 Lv.48
 ・浄光 Lv.1 ●剣光 Lv.52※
 ・念写 Lv.28 ・絶対命中 Lv.MAX

 ※スキルが重複しています。スキルの統合をしますか?

 アビリティ
 ・ウィンドスラッシュ ・ダーク
 ×ウインドブラスト ×ダークブレイド
 ×ウインドバレット ×ダークバインド
 ×テンペスト    ×ダークグラビティ
 ×フライ      ×隠蔽魔法
 ・エアリッスン  !契約の呪い!

 *

(まさか、コイツが魔法で契約した呪いまで奪ったの?! やだ私のスキル超優秀じゃない……て、いらねぇーわ!!)

 ぶん殴りながらスキルを叩き返して、再度ステータスを確認すればなくなっていた。
 はっと顔を上げる。アリアはぽかんと口を開けていたが、エマと目が合うとはっとしたように指を差す。

「あ、アンタ! お父様に何てことすんのよ!」

 喚き続けるアリアにどんどん詰め寄っていく。アリアは近寄るな、汚い! と暴言を吐き続けながらエマから離れようとするが、壁にぶつかってエマを見上げる。

「何様のつもりよ、使用人の分際で! 私に酷いことしたら、どうなるか分かってるの?!」
「黙れ、クソガキ」

 渾身の力を込めて頬をぶっ叩く。次の瞬間、体の中から微熱を伴う衝動が沸き上がった。
 痛みで混乱しているアリアは泣きながら、

「や、やめなさいよ! お父様と
お母様に――ぶっ!」

 顔面に拳を叩き入れて、歪んだアリアの顔に、心の底から快楽が沸き上がってくる。
 もうこんな奴に媚びなくて良い、何て清々しいんだろう。

 アリアの胸倉を掴み上げて拳を振りかぶったところで、エマは口を開く。

「こんな雑魚と遊んでる時間なんてないよ」

 はっとしてエマは手を離す。
 そうだ、もうこんな奴らに構っている時間なんてないのだ。
 その隙にアリアは逃げ出したが、エマは転がっている父親を見る。近くにストールやリボンがあった。それを漁ってエマはターナーを後ろ手に親指と両足を縛って、後は口に入りそうなもの全部入れて布で塞げばしばらく見つからないはず……。

「……」

 エマはターナーの身ぐるみを全てはがすと、水色の豪奢なドレスを着せて、アリアのデカリボンを頭に縛り付けた。それから、親指と両足、口に布製品を詰めて塞ぐと、最後、適当な衣装箱に押し込んだ。

 ターナーが着ていた服は途中で立ち寄ったリネン室のゴミ袋に詰めて捨てた。もちろん、パンツも一緒に捨ててやった。

 見つかった時、死ぬほど恥ずかしい思いをしてしまえ!
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