Maria

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変化に対しての対応

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キリストの妻であるからにして
誰も彼女には何も言わなかった。
ただ
マリアの言うとおりにするだけだった。

***********

キ「……これはどういうことだ」

大広間に来るや否や、
そこでは
とてもこの文章では書く事の出来ない
酷い光景が広がっていた。

キリストは一瞬眉間にしわを寄せると
冷静にその場で一発、
銃声を響かせた。

その場が静まることも必然で
皆がこちらをじっと見つめた。
キリストは冷静な瞳で
皆を見つめ返した。
どうやら彼らの本望ではないようだ。

キ「俺の判断無しで
  我がキリシャ内の安定を乱した
  不届き者はどこのどいつだ?」

キリストは怒っていないようだが、
少し面倒臭そうに辺りを見つめた。
皆の意識が玉座に集まる。
キリストは銃の引き金に指を掛けた。

***********

キ「っ………」

来てみて目に入ったのは
すっかり姿の変わってしまった
マリアだった。
昨日も何ら普通で変化などなかった。

皆はキリストの顔を見て
大いに驚いた。
彼がここまで感情を顔に出したのは
何年ぶりだろうか。

彼がただマリアをじっと見つめ、
悲しそうに泣いていたのだ。

あぁ、違う。
彼女じゃない。
あの色気のある、
そして優しげな彼女の艶やかで甘える瞳が
どこにも含まれていない。
自分の事しか考えていないようで
皆のことをちゃんと愛していた彼女が、
どこにも、
そう、
どこにも、どこにもいなかった。

マ「動かないで?」
キ「っ」

悲しむキリストを前に、
マリアは楽しそうに拳銃を彼に向けた。

マ「以降、
  このキリシャの主の位は
  私に寄越して下さらない?」

マリアはその赤く青い瞳を光らせ
キリストに微笑みかけた。
しばらく考えた後、
キリストは悔しそうに、
そして悲しそうに答えた。

キ「助手にアフロディーテと
  ヘルメスを付けるのか?」
マ「勿論」
キ「なら………構わん。」
ク「キリスト教?!」
キ「黙れ。」
ク「っ?!」

憤慨の様子で近付くクロノスを遮り、
キリストは眉間に皺を寄せ
目を瞑り言う。

キ「マリア様の…………
  御前で失礼だろう……」
 「…っ…………」

あのキリストなら
どうにかしてくれると、
皆が信じていたものだから
彼の言動にほとんどの者が力無く返事、
もしくはその場に崩れ落ちた。

あぁ、マリアよ。
お前は本当に変わってしまったのか。

高笑いを見せつけるマリアに跪き、
キリストはそんな事を考える。

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