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「わたしと、夫婦でいたいなら、舐めて」

 達彦はやっと親指をしゃぶるのをやめた。

「わたしはあなたを愛してた」

 と、加奈子は言った。

「だからあなたに心も身体も愛されたかった。だから、あなたを求めた。

 それなのに、あなたはわたしを遠ざけた。

 知ってるのよ。あなたが気にしてたこと。あなたは、わたしを満足させられないことをずっと気にしてた。気にしてくれてた。それは知ってる。

 でもね、それでもよかったの。それでも、なんとかコイツを感じさせてやろうって。悦ばせてやろうって。そう思っていてくれさえすれば、わたしはそれでもよかったの。

 でも、あなたはわたしを幸せにするより、自分のプライドを守る方を選んだ。

 渋谷さんと出会って、わたしはそれを知ったの。

 わたしは女よ。

 気持ちよくなりたい。愛されたい。そう思う気持ちはある。

 でも、それ以上に、あなたに、求められたかったの。

 わたしで気持ちよくなって欲しかった。悦んでほしかった。何度も何度も、わたしの中で果てて欲しかった。それがあれば、十分だったのに・・・。

 渋谷さんは、わたしを死ぬほど感じさせて悦ばせてくれる。でもそれだけじゃないの。

 わたしをたくさん、いっぱい、求めてくれるの。ずっと中にいたいっていってくれる。わたしと里香のことをとても心配してくれてる・・・。

 女は、求められたいの。必要とされたいの。あなたに、必要とされたかったの。

 わかる?

 見たでしょ。

 わたしはもう、渋谷さんにほとんど染められちゃった。たぶん99パーセント。わたしはもう、渋谷さんの女なの。あなたの妻じゃなくなってしまったの。もう、引き返すことはできないの。

 でも、最後にチャンスをあげる。

 彼の精のついたわたしの足が舐められるなら、それほどまでにわたしを求めてるのを証明できるなら、これからも夫婦でいてあげる。それが今、わたしがあなたに一番してもらいたいことだし、わたしがあなたにあげられる、ただひとつのチャンスなの。

 もう、わたしの心も身体もほとんどが渋谷さんのものなの。彼のものになっちゃった。

 でも、願いをかなえてくれるなら、下半身だけなら、それも、舌で舐めてくれるだけなら許してあげる。

 ねえ、わたしの願いをかなえてよ。

 さあ、どうするの?

 舐めるの? 舐めないの?

 時間が無いの。延長料金がもったいないわ。それに、脚も疲れてきた。

 早く決めて。

 そして、わたしを悦ばせて。

 どうするの? ねえ、どうするの!」

 達彦は加奈子の足をとった。そして眼を閉じて、その指を舐め、しゃぶり始めた。

 爪先からぞわぞわした快感の虫たちが這い上ってきて頭のてっぺんまて覆いつくしたとき、加奈子は軽く絶頂した。

 それからもう片方の脚で達彦の頭を払い、ソファーに倒した。

 と、彼の股間の変化に目を留めた。

「勃ってるじゃないの。私の足の指舐めて、昂奮しちゃったの?」

 右足を舐めさせながら、左足で彼の乳首を刺激しつつ、徐々に滑らせ、すでに彼の白い涙でヌルヌルしている、そこで固くなって天を突いている彼の分身を掴み、擦った。

「ああうっ!・・・はあああっ!」

「感じてるの? 自分の妻だった女に、足の指でこすられて感じちゃってるのね。気持ちいいのね。気持ちいいんでしょ? ねえ、何とか言ってよ!」

「気持ちいい・・・。ああ、もう出そうだあ・・・」

 加奈子は舐めさせていた右足も追加して両足で勢いをつけてシゴいた。

「はあうっ、で、出るっ!」

 亀頭の先端からの迸りを足の裏で受け、それを再び達彦の顔に塗りたくった。彼の舌が加奈子の足指や足の裏を舐め、それを舐めとろうとしているのがわかる。

「達彦」

 加奈子は結婚して初めて、彼の名を呼び捨てにした。

「合格よ。頑張ったね。ご褒美に、ここ、舐めさせてあげる」

 そして両脚を一杯に開き、彼の舌を待った。
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