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2021

「遠すぎた橋」登場人物一覧 その1

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 現在SFカテゴリーに投稿中の「遠すぎた橋」の登場人物を遅ればせながら一覧に供します。多分に筆者のアタマの整理のためです(笑)。あまりにも風呂敷を広げ過ぎた結果登場人物が多数に及び、書いている本人も訳が分からなくなりそうになっております。


 


 

 帝国皇帝直属特務部隊 通称「ウリル機関」関係


 


 

 ヤヨイ・ヴァインライヒ


 

 突如発生したポールシフトにより滅亡しかけた人類の千年後の世界。最大にして最強の国家「帝国」の首都に生まれ育った二十歳の大学生。本作の主人公。

 帝国の最高学府「バカロレア」で電波工学を専攻し院生として電波の研究に当たっていたところ二十歳を迎え、帝国の国法に従って徴兵される。新兵訓練を受けている途中で特務機関のウリル少将に見いだされリクルートされてエージェント兼、アサシンとなる。平民出身。ヤーパン系の母とドイツ系の父を持つ。母は国母貴族、レディー・マリコ・フォン・シュトックハウゼン。空手の達人でそれをさらに磨きあげ、最強の殺人技を持つ。

「レオン少尉反乱事件」「戦艦ミカサ拿捕事件」など数々の事件を経て正式に士官に任官。特務少尉としての最初の任務で、対チナ戦において一時的に空挺部隊に転属され一小隊の指揮官を務めている。

 いつの日か宇宙船に乗って月まで行くのを夢見ている。帝国の他の平民と同じく実の父を知らずに育ったが、任務中に実父ヴァインライヒ男爵の消息を耳にし、いつか会える日が来るのを願っている。


 


 

 ウリル少将


 

 皇帝直属の特務機関の責任者。敵国に浸透するスパイ網を統括するスパイ・マスターであり、国内にあっては帝国の存立と将来に障害となる、あるいは障害となりそうな人物を調査し、排除する。

 ヤヨイのエージェントとしての素質を見出し徴募する。少数民族出身の平民。帝国皇帝の甥でもある。ギターでバッハをピアノでベートーベンを奏でるミュージシャンでもある。



 


 

 シャルル・リヨン中尉


 

 ウリル少将の副官兼ヤヨイの先輩エージェント。日ごろは無口だが常に陰でヤヨイを見守り、支え、重要な場面で彼女に示唆を与える貴重な存在。貴族出身。元の名は、シャルル・キャピュレット・ド・リヨン。ヤヨイと数々の任務を共にするうちに密かな思慕を持つにいたる。


 


 

 マーガレット・サッチャー准尉


 

 ウリル機関の女番頭。機関のことなら何でも知っている。機関の中で唯一ウリル少将にタメ口を利けるとの噂があるが、真偽のほどは定かではない。帝国と手を結ぼうとする北の野蛮人の案内係を務める。


 


 

 イマム先生(第二作「戦艦ミカサを奪還せよ」に登場)


 

 ヤヨイのリセ(中学高校)時代の体育の先生であり、ヤヨイにカラテを仕込んだ恩師であり、ヤヨイの初体験の相手でもある。ウリル少将の異父弟。ウリル少将は彼を通じてヤヨイを発見、発掘した。特務部隊の武道の指導員を兼ねている。


 


 


 

 帝国政府関係


 


 

 ヤン元老院議員


 

 帝国の最高立法機関であり最高議決機関であり最高司法機関である元老院には約600名ほどの議員がいる。ヤンはその一人であるとともに、皇帝の子息として内閣府を主導し、帝国の内政・外交・軍事に渡り皇帝を補佐する「国務長官」でもある。皇帝の人となりと心の内を誰よりも熟知し、その理想のために奔走する。

 帝国皇帝との血の繋がりはない。三十年ほど前にチナ王国との戦争で保護された「盾の子供たち」のひとり。ヤヨイに軍人最高の勲章である「アイゼネス・クロイツ(鉄十字章)」を授与した人で、ウリル少将と共に早期の戦争終結のために尽力する。

 筆者の敬愛する田中芳樹の「銀河英雄伝説」に登場する「自由惑星同盟」の司令官「ヤン・ウェンリー」から名前をいただいた。


 


 

 マーサ


 

 ヤン議員の秘書。容姿端麗頭脳明晰。帝国最高学府「バカロレア」出の才媛。貴族の出でありながら、ヤンの人となりを慕い議員秘書を務め、公私ともにヤンを支える。


 


 

 帝国皇帝


 

 ヤヨイたちの生きる帝国の最高権力者。

 帝国の皇帝は専制君主ではない。ドイツ語の「カイザー」ロシア語の「ツァーリ」の語源であるラテン語の「カエザル」が帝国皇帝の尊称になる。同時に元老院議員中の第一人者を指す「プリンチェプス」であり、英語の「エンペラー」の語源である帝国軍全軍の最高司令官「インペラトール」をも兼ねる。この「カエザル」にして「プリンチェプス」であり「インペラトール」という、帝国の権威と立法行政の長であり軍事の長でもある存在が帝国皇帝なのである。帝国は皇帝の子が皇帝になる「世襲」も認めていない。古代ローマの顰(ひそみ)に倣(なら)う帝国は、その指導者の選出についても古代の大帝国のやり方を踏襲した。元老院議員の中から抜擢され承認を受けた皇帝である。しかもかつて帝国と敵対し後に併合した南の国の出身である。帝国初の平民出の皇帝でもある。

 本作の帝国皇帝にはモデルがいる。

 古代ローマ帝政期の第二代皇帝ティベリウス帝である。

 何人もの軍団長や執政官を輩出した名門クラウディウス一門出身の貴族であり、初代皇帝アウグストゥスの死の十年前に彼の養子となった。

 彼の正式名は「ティベリウス・ユリウス・カエサル(Tiberius Iulius Caesar)」であるが、この「ユリウス・カエサル」という名前は以降代々の皇帝に引き継がれる尊称となる。因みに第三代皇帝である有名なカリグラ帝の正式名は「ガイウス・ユリウス・カエサル・ゲルマニクス」で、初代皇帝アウグストゥスのひ孫になる。

 ティベリウスは長くゲルマニア戦線を担当する司令官をしていたが、アウグストゥスによって後継者に指名され元老院と市民による承認を受けて即位した。謹厳実直軍人気質のカタマリのような人だった。元老院の堕落と腐敗が許せない真面目過ぎる皇帝でもあった。

 七月は英語で「July」八月は「August」であるが、これはそれぞれ七月生まれの「julius」カエサルと八月「Augusta」生まれのアウグストゥスに因んだことは有名な話である。

 ある時元老院で、「陛下の御名も月の名に」という提案が持ち上がった時、

「では皇帝が十一人になったらどうするのか」

 そう言って下らない提案を退けたという話もある。

 長く連れ添ったヴィプサーニアという愛妻がいたが、アウグストゥスの命によって無理やり離別させられ、かれの娘であるユリアと娶わせられた。良妻だったヴィプサーニアに比べ初代皇帝の娘ユリアはとんでもない悪妻だった。何度も浮気を繰り返し、果ては不満分子を集めて帝国の転覆を図ろうとまでした。ティベリウスは妻を流刑に処し、晩年自らも地中海に浮かぶ孤島にヴィラを建てさせて隠遁してしまった。公私ともに現実世界に嫌気がさしてしまったのだという人もいる。だが退位したのではなくそこから「リモート」で腐敗した元老院を操縦し七十七歳で老衰で亡くなるまで政務を執り続けた。

   彼の施政方針は質素倹約を旨としていて経費のかかる剣闘士試合や戦車レースを開催したりもしなかったので市民にはすこぶる評判が悪かった。後に歴史家のタキトゥスから酷評され長きに渡って最悪の皇帝と言われ続けた。

   彼の死後国庫の残高が空前の黒字額になっているのがわかったがそれらは第三代皇帝カリグラによってことごとく無駄遣いされ、消滅してしまった。

   孤島に隠棲してからは女人を近付けることもなく一度もローマに帰ることもなかったという。


 


 

「遠すぎた橋」登場人物一覧はまだ続きます。
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