ハウスDr.園子

MIKAN🍊

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8.事務所

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個室に入り便座に座って用を足した。
男女兼用の一つきりのトイレ。皆が出払った後のシンとした事務所の隅。
運動靴が床を踏みしめるキュッキュッという音が横切る。
足音が途絶えペーパーホルダーを回す乾いた音が続く。
やがて個室のドアを開けて男が入ってくる。

「皆んなは?」
本当はそんな事わかってるのに事務員早苗は男を見上げて訊いた。
「誰もいねえよ。なんだ生理か?」
男が仁王立ちになり早苗を見下ろす。
「うん。今始まっちゃった」
「しょうがねえなあ」
他の営業職と同様、いやそれ以上にホーハンの連中はゲンを担ぐ。タマが成約に繋がる前に生理中の女とヤルのはまずい。
「立っちまったもんは出さねえとな」
所長尾形美佐夫はズボンのチャックを下げた。

「なんか変な匂いする。他の女の匂いだったりして?」
早苗は美佐夫に疑いの目を向けた。
「んなわけねーだろ。ほら、奉仕しろ」
「あん… 本当?」
「本当だよ。馬鹿野郎」
「わかった。アーン…」

美佐夫は腰をかがめて鼻息を荒げた。
「はぁ… いいぞ。早苗、もっとだ」
「うん… もっとね」

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