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80.めでたい奴

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「何でもする。とにかく助けて」
溺れる者は藁をも掴むだ。

「チッ!妙な邪魔が入ってきたな~」
ジュノンが舌打ちをした。

「このイケメン君は?」
「凌さんの従弟なんだ」
「ジュノンでーす!ヨロ乳首~!」

「なんだコイツ?」
「ハーフなの?スゴいドハンサムね!頭悪そーだけど」
「いーから!彼は放っておいて!凌さんを!」
「ハムサンド!ハムサンド!」

艶子さんはフラフラとその場に倒れ込んだ。
「おっと!」
真琴さんが抱き上げる。

「仕様がないねえ。斗夢。約束だぞ。何でもするって?」
「わかった。わかったよ!」

エスペランサが艶子さんをひょいと持ち上げ背中におぶった。
お尻がまだ丸出しだ。

僕はパンツを履かせ、ジュノンの方に向き直った。
「ちょっと話がある」

「いいよ。手短にね」

僕は艶子さんと三人組を見送った。
「お騒がせしました。どうもすいません!」
そして皆んなに謝った。

「なーんだ。終わりか」
「つまんねーの」

「つまんなくってゴメンね、ゴメンねー!」
アッカンベーをするジュノン。

「ジュノン」
「なーに?斗夢さん」

「トボケるな。お前、艶子さんに何をしたんだ?」
「僕は何にもしてないよ」
「艶子さんの部屋でお前が僕にした事、僕はしっかり覚えてるんだからな。いったいお前何なんだ?何のつもりだ?」

「斗夢さん。まるで正義の味方みたいだね~」
「そんなつもりじゃないよ」
「だけどあんまり調子に乗らないでよ。あの時みたいに足でイカしちゃうぞ?」
「このヤロー!やっぱり!」
僕はジュノンに掴みかかった。

「逆ギレはよしてよー。不法侵入しておいて、艶子姐にエッチな事したのは斗夢さんでしょう?おまけに僕を罠にハメよーとしてさ。あの時、助けてあげた恩を忘れちゃったみたいだね~?」

「あの時はあの時だ。せっかく艶子さんと仲直り出来たってのに」

「仲直り?笑わせないでよー。艶子姐はただ覚えてないだけだよ~。お前はホントにめでたい奴だねえ~」

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