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47.先輩!色っぽいです!

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願ったり叶ったりじゃないか!

いいいっけええええええええっ!!!!!

ゴロゴロゴロゴロ…!!
ビッタ~~ンッ!!

イッテテテテテ…

そこは倉庫と事務所を隔てた直線通路の真ん中辺りだった。
すかさず立ち上がり身だしなみをチェック。

VANSのOFF THE WALL 7分袖白ロゴTにadidasのコンプレッションロングタイツ。
足元はサロモンのハイキングシューズ。ブラックとターコイズブルーの洒落たデザイン。
現実ではちょっと手が出ないけど欲しかったやつだ。

なーんだ。ぜんぜんフツーじゃん!
僕は安心した。

「あの…」
ギックーッ!
若い社員の男の子が立っていた。
「ヘルメット落としましたよ」

あ、ピンクのヘルメット。僕のだ。
「ありがと」

そのコはモジモジしたまま突っ立ってる。
ダッサイ上下紺の作業衣に白いヘルメット。
「社員、だよね?」
「はい。今年の四月から」
新卒かー。どーりで初々しい。
腰のポーチにはマーカーやらカッターやらテープやらがぎっしり詰まってる。
名札を見ると、さだまさき。
菅田将暉、さだまさし。どっちよー?的な。

容姿も見る角度によっては将暉に見えたり、まさしに見えたりのどっちつかずな顔と雰囲気。

「お笑い芸人みたいな名前だね」
「はい。あっちは漢字。僕は平仮名なんです。名前以外は何の変哲もない奴です」

おいおい、いきなりネガティヴだなー。

「先輩は斗夢さんですよね?」

先輩って。まあこっちが年上だからいーか。
本当は社員の君の方がエライんだよ。

「僕を知ってるの?」
「動画で見ましたから」
「あ、そー」またか。

「毛、剃ってるんですか?」
「え、あー、まあね」
「あの動画、すごいエッチでしたよね」
「んー。そうかな?そーでもないんじゃない?」

「僕、けっこーオカズにしました」
「お、オカズに?いやー。そう?よかったね。あはは…」
「あのー」
「何?」

「普段はノーパンて本当だったんですね?」
「噂で止めといてw」
「お尻出てますもん」
「はあ?」

僕は首をねじって自分のケツを見た。
お尻だけ丸出し。

Oバックかよー!
なんでタイツがケツワレなんだよー!!

「先輩!すごく色っぽいです!」

僕はちょっとウキウキした。

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