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第1話 チュートリアル
2日目①
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『チュートリアル2日目です。誰かに話かけてみましょう』
目が覚めて見えた慣れない景色に、寝ぼけた頭で何が起きているのか必死に考えていると、ステータス画面が自動で出てきた。
異世界転移からのギャンブラーに転身したことを思い出させられる。
やっぱりチュートリアルには続きがあったんだ。どうやら人に話しかける必要があるらしい。誰かを巻き込んでギャンブルをするってこと?傍迷惑な力だな。話しかけるのが申し訳ない。とは言っても、チュートリアルを終わらせなければ先に進めないからするしかない。
誰に話しかけるべきか。チュートリアル上では、誰に話しかけろという指示はない。
報告相手になら【BET】が発動しても、私のスキルの説明も合わせて出来て便利かもしれない。様子見の現段階ではそれがいい気がする。
考えがまとまったところで、ドアをノックされた。
「どうぞ」
「失礼いたします」
クラシカルメイド姿の女性がタブレットに似た形のものを手に持ち部屋に入ってくる。
人当たりよく、にこやかに話しかけてくれるため、こちらも緊張せずに済む。
「おはようございます」
「おはようございます」
「本日はまず、朝食の前にステータスの確認をさせていただきます」
「分かりました」
『チュートリアルギャンブル【リサーチ】ルーレットを開始します』
早速始まった。
視線が動く様子のないメイドさんの様子を見るに、このステータス画面は本人にだけ見えるものと考えたらいいのかな。
「まずあなたの名前は?」
「リーナです」
『番号は【1】~【5】です。成功すると、相手のステータス情報を手に入れられます。何番にいくら【BET】しますか?』
「リーナさんのご職業は何ですか?」
得られるものは変われど、手順的には昨日と同じ通りのアナウンス。他の人を巻き込みはしないのか?
「・・・ギャンブラーです」
メイドさんの眉間に一瞬力が入った。けど、直ぐに柔らかい表情に戻る。今の一言で印象は悪くなったんだろう。
「スキルはどういったものでしょうか?」
「スキル名は【BET】です。ステータス画面にお金をかざすと、ルーレットが開始されます。お金は前の世界の物も使用可能のようなので、それを使っています」
100円玉をステータス画面にかざし、100円玉で【1】をタップする。
『【BET】金額【100ギン】を確認しました。No more bet. ルーレットを開始します』
メイドさんにはただコインが目の前で消えただけだろうけど、たぶんそれで説明の証明としては足りるだろう。100円が消えた瞬間、メイドさんが少しだけ目を見張っていた。
報告をこと細かく正確にするのは抵抗がある。目の前にいる人が一使用人として、実際に私達の存在を管理しようとしている人達がどんな人物か分からない段階では、慎重に情報を扱うべきだろう。
ただ、嘘発見器的なものがあっても困るから、嘘はつかず、核心に触れずにいくしかない。辻褄が合わなくなって、墓穴を掘るなんて真似はしたくないし。
『チュートリアルボーナスが発生しました。ホイールの数字が全て【1】に変化しました。ルーレットを再開します』
出た!当たり確定!ということは、私はこのメイドさんから情報を引き出せるってことだ。
非常にありがたい結果だけど、これを言ったら確実に危険視される。機密情報を簡単に探ることが出来るなんて思われても困る。
「ルーレットに当たるとどうなるんですか?」
「えっと、ステータスポイントが貰えたりします」
「いくら貰えるんですか?」
『結果【1】。リーナの勝利です。いかなる手段を用いても、目の前の相手のステータス情報を手に入れることが可能になりました』
いかなる手段を用いてもって不穏な言い回しだな。
「昨日は全部で3回【BET】を行いました。その中で、得られたステータスポイントは500です」
「3回で500ですね」
『初期注意事項です。不自然な手段を用いると、相手に不信感を抱かせます。ご注意ください』
つまり、適切な言い回しとかは自分で考えろってことね。やっぱりこのスキルってハードじゃない?
「今のルーレットの結果は出ましたか?」
「あー、今のルーレットではステータスポイントは得られませんでした」
ひきつった感じで笑って見せる。ハズレのように見えるといいんだけど。
「それは残念ですね」
乗り切れただろうか?追及してこなければ十分か。
「私からも質問していいですか?」
「はい。皆さんの質問への解答は許可されているので、大丈夫ですよ」
「ステータスって一般人だと大体どのくらいなんですかね?昨日、自分の見ただけじゃ全然分からなくて。ステータスポイントをどうやって割り振るか悩んでるんです」
「そうですね。まず、この世界ではステータスに職業が刻まれる方とそうではない者がおります。世間的には後者を一般人と言っています。一般人の平均ステータスは成人女性で50、成人男性で60といったところです。男女のこの差は、主に腕力から生まれているものです」
平均換算か。この情報ではまだまだ、それぞれの目指すべき数値の目処を立てにくい。
「魔物と戦う人は大体どのくらいのステータスになりますか?」
「対魔物の戦力としては、王国所属の騎士や兵士、ギルド所属の冒険者に主に別れています。それぞれ強さにランクをつけていますが、組織としての在り方が異なるためランクの基準も両者で異なります。兵士の場合、攻撃と防御が最低300はなければ、見習いの基礎訓練についていくことすら困難です」
「一般人とかなり差がありますね」
「ステータスの平均が200あれば、Fランク冒険者として安全地帯での素材集めで生活をしていくことは可能です」
つまり、一般人として生活するならば、全ステータスを100にまで上げておけば、ある程度安全に過ごしていける。
けど、この世界に召喚された立場を踏まえると、全ステータス300程度だと使い捨ての駒として扱われる可能性も考慮する必要がある。といったところか。
これは、国の要人に良心がないことを前提とした話になるけど。まぁ、用心するに越したことはない。
「そう言えば、王宮で働く人達はいわゆる一般人なんですか?」
「いえ、王宮に仕える者にはあらゆる不足の事態に対応出来ることが要されるため、掃除婦であっても平均ステータスが400に達しておくことが求められます」
王宮掃除婦は新人見習い兵士より強いことがあるってわけね。調べたら他にも意外な話が出てきそうだな。
「じゃあ、メイドであるお姉さんはもっとステータスが高いとか?」
「はい。メイドのステータスは基本的に平均500はあります。私は王女様の護衛を賜ることもありますので、戦闘面に関しては3000はありますけど」
「とってもお強いのですね・・・」
「騎士の皆様に比べれば、足下にも及びませんよ」
これは私は間違いなく戦力外だな。成長見込みを踏まえると、どうなるか分からないけど。
よし、賭け金100円で得られる情報はこのくらいで十分じゃないかな?身の安全のためにも、ギャンブルの報酬以上の利益は求めない方がいい。相手が格上の強さを誇るとなれば尚更だ。
「ありがとうございます。参考になりました。この世界のことをもっと知りたいんでけど、ここって図書館とかありますか?」
「ありますよ。後で他の者に案内をさせますね。では、こちらの質問を再開しますね」
「お願いします」
「HP、MP、攻撃、防御、速さ、回避、知能、精神の数値を教えてください」
「えっ・・・」
まさか聞き覚えのないステータス名が登場するとは。
回避は私のステータスにはない。代わりにあるのは幸運だ。幸運はギャンブラーの特別仕様なのか?
それに知能も私のステータスと少し違う。私のステータスにあるのは、知能ではなく知性だ。この違いは何で生まれるんだろう?
「どうかしましたか?」
「あー、えっと、私のステータスに回避と知能がないので、ちょっと戸惑ったと言いますか」
「・・・そうですか。では、あるものだけでいいのでお答えください」
「はい。HP50、MP30、攻撃20、防御20、速さ30、精神300です」
メイドさんの目付きがやや冷たくなる。知能のステータスがないっていうのが、それだけで能無しと見なされた感がある。
私が伝えた情報を振り返ると、私は戦闘能力が低く、頭の悪い、メンタルだけは強い浪費家って感じだな。
最悪だよ。こんなの王宮から、一日でも早く追い出したくなるでしょ。
まぁ、大人しくしとけば毒にも薬にもならない存在程度には思われるかな。
知性について教えるべきか否か。定期報告はこの後もあるらしいし様子を見よう。
「ありがとうございました。朝食はこちらのお部屋に運ばせていただきます。朝食が終わる頃に図書館への案内役が訪れるよう手配いたします」
「分かりました。お願いします」
「では、失礼いたします」
メイドさんが退室し、足音が遠くなったのを確認したところで、大きく息を吐いた。
「強制ギャンブルのせいで無駄に緊張させられた」
昨日のチュートリアルで、報酬の受け取り拒否は不可能と説明文された。
それを踏まえると、今回の報酬であるあのメイドさんのステータス情報は、私の方から聞き出そうとしなかったら、メイドさんの方から脈絡なく喋り始めるということが起こると考えられる。
そんな不自然なことが起これば、私に特殊な能力があるのではないかと、後でメイドさんに不審がられるっていうのをチュートリアルから注意された。
チュートリアルの説明が本当かどうかは一回試した方がちゃんと確認出来るんだろうけど、それで怪しい者として目をつけられたら元も子もない。
「当たってラッキーとはなんないよ・・・疲れた」
しばらくして運ばれてきた、この世界で食べる初めての料理はまぁまぁ美味しかった。
目が覚めて見えた慣れない景色に、寝ぼけた頭で何が起きているのか必死に考えていると、ステータス画面が自動で出てきた。
異世界転移からのギャンブラーに転身したことを思い出させられる。
やっぱりチュートリアルには続きがあったんだ。どうやら人に話しかける必要があるらしい。誰かを巻き込んでギャンブルをするってこと?傍迷惑な力だな。話しかけるのが申し訳ない。とは言っても、チュートリアルを終わらせなければ先に進めないからするしかない。
誰に話しかけるべきか。チュートリアル上では、誰に話しかけろという指示はない。
報告相手になら【BET】が発動しても、私のスキルの説明も合わせて出来て便利かもしれない。様子見の現段階ではそれがいい気がする。
考えがまとまったところで、ドアをノックされた。
「どうぞ」
「失礼いたします」
クラシカルメイド姿の女性がタブレットに似た形のものを手に持ち部屋に入ってくる。
人当たりよく、にこやかに話しかけてくれるため、こちらも緊張せずに済む。
「おはようございます」
「おはようございます」
「本日はまず、朝食の前にステータスの確認をさせていただきます」
「分かりました」
『チュートリアルギャンブル【リサーチ】ルーレットを開始します』
早速始まった。
視線が動く様子のないメイドさんの様子を見るに、このステータス画面は本人にだけ見えるものと考えたらいいのかな。
「まずあなたの名前は?」
「リーナです」
『番号は【1】~【5】です。成功すると、相手のステータス情報を手に入れられます。何番にいくら【BET】しますか?』
「リーナさんのご職業は何ですか?」
得られるものは変われど、手順的には昨日と同じ通りのアナウンス。他の人を巻き込みはしないのか?
「・・・ギャンブラーです」
メイドさんの眉間に一瞬力が入った。けど、直ぐに柔らかい表情に戻る。今の一言で印象は悪くなったんだろう。
「スキルはどういったものでしょうか?」
「スキル名は【BET】です。ステータス画面にお金をかざすと、ルーレットが開始されます。お金は前の世界の物も使用可能のようなので、それを使っています」
100円玉をステータス画面にかざし、100円玉で【1】をタップする。
『【BET】金額【100ギン】を確認しました。No more bet. ルーレットを開始します』
メイドさんにはただコインが目の前で消えただけだろうけど、たぶんそれで説明の証明としては足りるだろう。100円が消えた瞬間、メイドさんが少しだけ目を見張っていた。
報告をこと細かく正確にするのは抵抗がある。目の前にいる人が一使用人として、実際に私達の存在を管理しようとしている人達がどんな人物か分からない段階では、慎重に情報を扱うべきだろう。
ただ、嘘発見器的なものがあっても困るから、嘘はつかず、核心に触れずにいくしかない。辻褄が合わなくなって、墓穴を掘るなんて真似はしたくないし。
『チュートリアルボーナスが発生しました。ホイールの数字が全て【1】に変化しました。ルーレットを再開します』
出た!当たり確定!ということは、私はこのメイドさんから情報を引き出せるってことだ。
非常にありがたい結果だけど、これを言ったら確実に危険視される。機密情報を簡単に探ることが出来るなんて思われても困る。
「ルーレットに当たるとどうなるんですか?」
「えっと、ステータスポイントが貰えたりします」
「いくら貰えるんですか?」
『結果【1】。リーナの勝利です。いかなる手段を用いても、目の前の相手のステータス情報を手に入れることが可能になりました』
いかなる手段を用いてもって不穏な言い回しだな。
「昨日は全部で3回【BET】を行いました。その中で、得られたステータスポイントは500です」
「3回で500ですね」
『初期注意事項です。不自然な手段を用いると、相手に不信感を抱かせます。ご注意ください』
つまり、適切な言い回しとかは自分で考えろってことね。やっぱりこのスキルってハードじゃない?
「今のルーレットの結果は出ましたか?」
「あー、今のルーレットではステータスポイントは得られませんでした」
ひきつった感じで笑って見せる。ハズレのように見えるといいんだけど。
「それは残念ですね」
乗り切れただろうか?追及してこなければ十分か。
「私からも質問していいですか?」
「はい。皆さんの質問への解答は許可されているので、大丈夫ですよ」
「ステータスって一般人だと大体どのくらいなんですかね?昨日、自分の見ただけじゃ全然分からなくて。ステータスポイントをどうやって割り振るか悩んでるんです」
「そうですね。まず、この世界ではステータスに職業が刻まれる方とそうではない者がおります。世間的には後者を一般人と言っています。一般人の平均ステータスは成人女性で50、成人男性で60といったところです。男女のこの差は、主に腕力から生まれているものです」
平均換算か。この情報ではまだまだ、それぞれの目指すべき数値の目処を立てにくい。
「魔物と戦う人は大体どのくらいのステータスになりますか?」
「対魔物の戦力としては、王国所属の騎士や兵士、ギルド所属の冒険者に主に別れています。それぞれ強さにランクをつけていますが、組織としての在り方が異なるためランクの基準も両者で異なります。兵士の場合、攻撃と防御が最低300はなければ、見習いの基礎訓練についていくことすら困難です」
「一般人とかなり差がありますね」
「ステータスの平均が200あれば、Fランク冒険者として安全地帯での素材集めで生活をしていくことは可能です」
つまり、一般人として生活するならば、全ステータスを100にまで上げておけば、ある程度安全に過ごしていける。
けど、この世界に召喚された立場を踏まえると、全ステータス300程度だと使い捨ての駒として扱われる可能性も考慮する必要がある。といったところか。
これは、国の要人に良心がないことを前提とした話になるけど。まぁ、用心するに越したことはない。
「そう言えば、王宮で働く人達はいわゆる一般人なんですか?」
「いえ、王宮に仕える者にはあらゆる不足の事態に対応出来ることが要されるため、掃除婦であっても平均ステータスが400に達しておくことが求められます」
王宮掃除婦は新人見習い兵士より強いことがあるってわけね。調べたら他にも意外な話が出てきそうだな。
「じゃあ、メイドであるお姉さんはもっとステータスが高いとか?」
「はい。メイドのステータスは基本的に平均500はあります。私は王女様の護衛を賜ることもありますので、戦闘面に関しては3000はありますけど」
「とってもお強いのですね・・・」
「騎士の皆様に比べれば、足下にも及びませんよ」
これは私は間違いなく戦力外だな。成長見込みを踏まえると、どうなるか分からないけど。
よし、賭け金100円で得られる情報はこのくらいで十分じゃないかな?身の安全のためにも、ギャンブルの報酬以上の利益は求めない方がいい。相手が格上の強さを誇るとなれば尚更だ。
「ありがとうございます。参考になりました。この世界のことをもっと知りたいんでけど、ここって図書館とかありますか?」
「ありますよ。後で他の者に案内をさせますね。では、こちらの質問を再開しますね」
「お願いします」
「HP、MP、攻撃、防御、速さ、回避、知能、精神の数値を教えてください」
「えっ・・・」
まさか聞き覚えのないステータス名が登場するとは。
回避は私のステータスにはない。代わりにあるのは幸運だ。幸運はギャンブラーの特別仕様なのか?
それに知能も私のステータスと少し違う。私のステータスにあるのは、知能ではなく知性だ。この違いは何で生まれるんだろう?
「どうかしましたか?」
「あー、えっと、私のステータスに回避と知能がないので、ちょっと戸惑ったと言いますか」
「・・・そうですか。では、あるものだけでいいのでお答えください」
「はい。HP50、MP30、攻撃20、防御20、速さ30、精神300です」
メイドさんの目付きがやや冷たくなる。知能のステータスがないっていうのが、それだけで能無しと見なされた感がある。
私が伝えた情報を振り返ると、私は戦闘能力が低く、頭の悪い、メンタルだけは強い浪費家って感じだな。
最悪だよ。こんなの王宮から、一日でも早く追い出したくなるでしょ。
まぁ、大人しくしとけば毒にも薬にもならない存在程度には思われるかな。
知性について教えるべきか否か。定期報告はこの後もあるらしいし様子を見よう。
「ありがとうございました。朝食はこちらのお部屋に運ばせていただきます。朝食が終わる頃に図書館への案内役が訪れるよう手配いたします」
「分かりました。お願いします」
「では、失礼いたします」
メイドさんが退室し、足音が遠くなったのを確認したところで、大きく息を吐いた。
「強制ギャンブルのせいで無駄に緊張させられた」
昨日のチュートリアルで、報酬の受け取り拒否は不可能と説明文された。
それを踏まえると、今回の報酬であるあのメイドさんのステータス情報は、私の方から聞き出そうとしなかったら、メイドさんの方から脈絡なく喋り始めるということが起こると考えられる。
そんな不自然なことが起これば、私に特殊な能力があるのではないかと、後でメイドさんに不審がられるっていうのをチュートリアルから注意された。
チュートリアルの説明が本当かどうかは一回試した方がちゃんと確認出来るんだろうけど、それで怪しい者として目をつけられたら元も子もない。
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